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123話:サビと一緒に街の探索 その2

 ギルド内に入りさっそく酒場のエリアに足を運ぶと。いつもの様に見慣れた人達が今日も昼から酒を飲み交わしていた。


「よぉ、サトナカじゃないか! おらこっちで飲まないか!」

「おっ、噂のルーキーじゃないか。期待してるぜあんたの事! こっちは300ダラーかけてあんたが来月までにミドルクラスに入るのを待っているんだからよ」

「うっす先輩の皆さん方。すんません。今日は飲めない事情があってまた今度で!」

「ほう、そのお隣にいるお嬢さんが理由かな? 相変わらず女好きでもててるねぇ……」

「モテてるわけじゃないですけど。この子は家族みたいな関係なので……ははっ」

「ぁぞくぅっ!? おい聞いたか野郎共! このお隣にいるお嬢さん。新人の野郎の家族だってよ! ちなみに野暮な事を聞くがお嬢さん。あんた名前は? こいつとはどういった関係なんだ!?」

「あぅぅ……」


 強面のバイキングクランの先輩方の質問を前にしてサビがたじろいでいる。仕方ないなここは助け船を出そう。


「多分先輩方には話した事があったと思うんですけど……。ホワイエットとかサンデーと同じで俺の妹なんですよ」

「ほう、あまりみねえからてっきりあんたの愛人かと思っちまったぞ」

「あっ、愛人だなんてそんなことっ!?」


 そんなことでもしてみろ。リリィにブチ転がされてしまうわ!? 闇リリィ(勝手な妄想)に何されるか分らんって……!!!!


「かっからかうのはよしてくださいよ……はは」

「まっ新人をイジってやるのはこれくらいにしてやるぜ。でよ、今日はどうしたんだ?」

「ああ、その。ちょっとホワイエットを探してて」

「噂になってるぜ。あんたの妹が行方不明になっているって。衛兵共もその話しをして俺達に聞いてきたんだけどよ。大丈夫なのか?」


 衛兵が動いているということはそれなりに重い腰を上げてくれているみたいだ。でも誰がそう仕向けてくれたんだ……?


「大丈夫であって欲しいんですけどねぇ……。こうしてサビと一緒にあの子が行きそうな場所を探し回ろうとして。今日はここに来たんですよ」

「うーん。あんまり酔ってて覚えてねえが……その子。見たことがあるかもしんねぇぜ?」

「本当ですかっ!?」

「ああ、そうだな。なぁお前ら」


――うぃ~。


 ジョッキ樽を掲げて返事をする先輩達。なるほど……最初にきて正解だったみたいだな。となると。


「詳しく聞かせてもらえませんか?」

「あんまり役に立たないが。俺が見た時はなんか無銭飲食でお金に困っててウェイトレスの姉ちゃんと話をしていたのは覚えてたな」

「うそだろ……?」


 いやまて。そもそもホワイエットはモンスターだ。お金の概念、特に等価交換の仕組みを彼女は知らないし、俺は教えてもいなかった。まさかそんな事が起きていただなんて……。思わずその場で申し訳なさを感じて、両目の目尻を右手の親指と人差し指で押し当てて。


「そうだよな……」

「何がですの?」

「あいつにていうか。お前らにはちゃんとお財布と金を渡すことなんてしたことがなかったもんな……」


 と反省の言葉をサビに話すと。


「仕方ないですわご主人様。でも次からはそうならないように気をつけましょうよ」

「ああ、そうする……」

「まだ話は聞きたいか?」

「ああ、そうですね。それでその後はどうなったか分ります?」

「うーん。なんだったかな……。あぁ、そうだな。なんか泣いて困っているからか知らんが。変な格好をした奴がホワイエットちゃんの元に近付いてきてよ。そこでお姉さんと話をつけたみたいで立て替えたみたいぜ」

「その変な格好をした奴の服装とか分ります?」

「なんだったけなぁ……丁度そんときにメガ盛りタワーステーキがきたからよ。そっからは飯のことで頭一杯になって覚えてないな……」

「そうですか……。ちなみにそのお姉さん。今日はこのギルドにいます?」

「ああ、ラミアちゃんならそこにいるぜ」

「あっ、じゃあ聞けそうか」


 厨房からのぞけるカウンターテーブルの手前で同僚とだべっているラミアさんの姿を捉え、俺は先輩達にお礼を告げてそのまま彼女の元へと歩いて行く。すると俺達が近付いてきたのを興味津々といった感じでお嬢様方達の視線が一点に集中している事に気づいて。


「やあ、その突然だけどラミアさんかな?」

「私だけど何かな?」

「ちょっとこの子あれよ。女ったらしのサトナカよ。新人のクセしてミドルクラス級の実力があるからって調子にのって女の子達にちょっかい掛けてるって噂の」

「ふぁっ!?」


 なんだよそれっ!? また俺の知らない所で変な伝説ができてないっ!?


「ご主人様……って」

「やめろ。そんなジト目で俺を見ないでくれよ……誤解なんだから……」


 もう大事なサビにもそう思われたら俺どうして生きていけば良いんだよっ……! それは兎も角だ!


「それはデマだ。そのちょっとラミアさん。あんたにちょっと尋ねたいことがあるんだ。あそこのバイキングクランの先輩達から聞いたんだけど。俺の妹が間違って無銭飲食をしてたっていうのは本当なのか?」


 間違ってというのはクッション言葉のつもりだ。故意にとか思われてしまえばまずいからな。すると。


「あら、そうだったの。あなたもちゃんと妹さんの事を見てあげなさいよね。なだめて上げるの大変だったんだから……。ご主人様ぁ、どこにいるのって泣きながら行ってたんだから……。てかご主人様ってどういうこと?」

「ああいや、あの子の口癖って言うかな。そこは家庭の事情だから突っ込まないでくれ……」

「そう、ふーん」


 いやそのふーんて何だよ。目を細くしてそう言われても困るな……。


「ねえ、ラミア。話しするんだったら今から休憩でもしない? どーせお客っていったってあそこのおじさん達だけだしねー」

「うんわかった。じゃあ、ちょっとあそこの奥隅でこの人と話するわ」

「じゃあ、時間の許す限りでお願いします」

「どうして平謝りするの? 間違って無銭飲食しちゃったんでしょ?」


 違う。俺がそうしたいんじゃない。彼女の事を少しでも覚えていてくれたことに対する感謝の気持ちなんだ。言葉には旨く表せなかったが……。


「ご主人様。私も一緒に隣でお話を聞いても大丈夫かしら?」

「そちらの方は?」

「ああ、妹のサビだ」

「綺麗な人ね。透き通ったお肌が羨ましいわ……。なにかいい化粧水でも使っているの?」

「いえ、何もしておりませんわ……」


 ちょっとずつだけど人見知りから抜け出しているな。もっとそう人間と話が出来るようになってくれるといいな。俺は2人のやりとりを見ながらそう思った。



明日も予定通り更新いたします。よろしくお願いします。


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