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121話:名犬? サビという名の獣の王女様

「サビが好きそうな昼寝の場所は……」


 協力関係となったイリエとはしばらく離れ。俺はモンスター牧場内を歩き回っていた。目的はそうあいつの昼寝している場所を探すために。一応ハンターの技術で痕跡探しをしているけれど。それを使っても見つからないのは何故だ?


「足の形がわからんな。もしかすると高台で寝ているのか?」


 よくある話だ。モンスターには高台を寝床にする習慣のある奴がいる。モンスターの考えは様々だけど、天敵が登ってこられないような場所で身を守るのが大きな理由だと学者から教えてもらった事がある。サビも同じタイプの女の子なのか? あいつの事をあまり知らなさすぎるな自分って。


「んー……」


 コレは時間のかかる作業になりそうか……。と思ったのだが。


「あれご主人? どうしたんだ?」

「あ、サンデー。なぁサビを見なかったか?」

「ああ、サビならあいつ。あそこのハンモックで寝てるぞ」

「ん? あぁ、そこなんだね」


 木の上に設けられているハンモックでゆらゆらと、可愛らしい顔で気持ちよさそうに眠るサビの姿を遠目に見つけた。起こしたら申し訳ないかな……? と思っていると。


「なあご主人。あのオスはどうなんだ?」

「どうなんだって? ああ、あいつとは仲良しになってホワイエットを探す手伝いをしてくれるようになった」

「本当か!? 私も嬉しいぞ!!」

「ははっやけに元気じゃないか」

「だって……」


 ん? 何をもじもじとしだしているだこいつ……。


「ご主人が私の為に美味しい肉を食べさせてくれたじゃないか。だから機嫌がいいの」

「おう、じゃあ次はホワイエットも一緒に同じ肉をつかってバーベキューやろうな」


 そう、俺達は4人でないといけない。彼女がいない時にこんな事をしているのは申し訳なさがあるが。それでも俺には残された2人の事を養う義務がある。笑顔を絶やすわけにはいかないんだ。


「おう! なあご主人。今日はさっすがに私もついて行っても良いよなっ!?」

「あーっ、それはちょっと難しいかな」

「えぇ……? ……なんでぇ?」

「サビを外に連れて行かないといけないんだよ。ごめんな」


 アルシェさんからの言いつけで。モンスターを外に出せるのは1体のみと制限を受けている理由上。サビを連れていく関係で彼女は出せないんだ。すると。


「ちぇ……私だってご主人の為に役立てると思ったのに……」


 彼女の中の俺に対する評価が少し下がったような気がした。


「じゃあ、明日はどうだ? 出来るなら力仕事が欲しいときに頼みたいんだ」


 明日なのはあくまで予定だけど。荒事になったときの用心棒として活躍して欲しいのだこの子には。グリムも言ってたとおり。


『お主のハンターとしての腕には限界があると思うのじゃ。年を老いていけば自ずと弱くなる。しかしモンスターテイマーの力は衰えはせん。お主の思うとおりにモンスター達は活躍してくれる。有意義に使うのじゃぞ』


「本当!? じゃあ明日ね! 約束だぞ!!」

「あ、あしたとは限らないけれど。俺の護衛をしてもらいたい時には頼むよ……」


 昼一元気なサンデー。太陽のような笑顔が眩しいな。ふと。


「なに楽しそうにお話をしてますの……?」

「ああ、起こしてごめんなサビ」

「うんですの。せっかく夢の中でホワイエットちゃんと話をしていましたのに。目がさめて残念ですわ」


 夢の中のホワイエットと話す夢か。なかなか面白いじゃないか。俺、そんな夢みれてないから羨ましいな。


「はは、どんな楽しい話をしていたんだ?」

「それが……なんだったかしら……。朧気なのですけどね。くらい檻の中にいるって言いながら奇妙な話しをしていたんですけど……」


――えっ。それって……!!!!


「サビ! その話し詳しく教えてくれよ!!」


 俺は彼女の両肩を掴んで迫り。


「なっ、いきなり何をするのですの無礼者!」


 顔を赤くし抵抗をしようとする彼女に俺は。


「ホワイエットはどこなんだっ!?」

「その……わかりませんけど……アミューズメントっていう所にいるって言ってましたわ……」

「アミューズメント……」


 娯楽施設か何かなのだろうか……? もっと詳しい話が欲しいな……。


「ちょっとついてきてくれ」

「ええ……」


 少し俺の形相に不安を感じてしまったのかもしれない。隣にいたサンデーもビックリしていたし。不安を感じているサビを連れて行き。――なぜか後ろにサンデーもついてきているけれど。


「待たせたなイリエ」

「遅かったな」

「すまんちょっと探すのに手こずった」

「それだと今後の活動が怪しいもんだな」

「素人なんだから多めに見てくれよ」

「でっ、どっちが適任のやつなんだよ?」

「ああ、こっちのサビが適任だ。この子はサンダービーストというモンスターでな。鼻が良いんだ。それに戦えば最強のモンスターでもある」

「私の取り柄がないんだけどっ!?」

「サンデーはサンデーの良いところがあるからちょっと黙っておいてくれ!? 話がややこしくなるって!?」


 うるうると涙目でピエン顔のサンデーをよそに話を続ける。サビは彼女の態度を見て呆れた様子で小さくため息をついている。


「なるほどな。犬みたいなモンスターか。意思疎通もできて手練れはいいな。役に立ってくれよサビちゃん」


 そういって手を伸ばして握手を求めてくるイリエを前にサビは。


「…………あんたの為に手を貸すつもりはないわ」

「えっサビ……?」

「あんた。嘘つきの臭いがするの。それもゲロを吐くような下品な臭いを体中に臭わせて」

「何を言い出すかと思えばそういうことか。探偵の仕事は嘘の駆け引きの連続だ。情報を上手く引き出すにはそういった技術も必要な訳でな。その臭いはそういうことだ」

「だって言っているし信じようぜ」

「ご主人様……」


 なんかサビが腑に落ちない様子だな……。気になるけれど前に進まなければならない。


「分りましたわ。ご主人様の為に頑張りますの。ただし。あたしに近付くのはここまででそれ以上は禁止ですわ。下心の臭いもしますし。私に近付いても良く、身体はご主人様のみですわ」

「おいおい……そんなのを見せつけてくるなってお前……」

「いやですの……?」


 ギュッと腕に纏わり付くように抱きついているサビ。少し怯えているようにも感じる力加減だな……。上目遣いに不安を訴えかけてくるので。


「分った。イリエすまないが。サビと行動するときはお前は距離を置いてほしい。なんだったら別行動でもいい。この子の身の安全の為にも頼む」


 と頼むと彼は。


「はぁ……仕方がねぇ。こうも警戒されると上手くいくのも無理そうだな。わかった。とりあえず行動を共にするのは止めておこう。俺は単独で色々と頑張らさせて貰うわ」


 申し訳ない感じもする。だけど。これ以上俺の大事なモンスター達が傷つく姿を見たくはない。諦めの様子を露わにするイリエには深く謝る事にした。


 

本日の加筆修正作業範囲は1章7話~10話までやらさせて貰いました。なお、9話のサブタイトルが変更となりました。改めて読み返して頂けるとありがたいです。


明日も予定通り更新いたします。よろしくお願いします。


この作品が少しでも『面白い』また『続きが気になる』と思って頂けたら是非とも広告下にある『☆☆☆☆』の所を押して頂いて高評価をお願いします! ブックマーク登録もお忘れ無くお願いします。レビューや感想もお待ちしております。


追記:2020年10月4日 70,000PV達成しました! ありがとうございます! 今後も当作品のご愛読をよろしくお願いします!! 1週間で記録達成です!

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