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111話:ホワイエットの捜索 その3

前回の更新分。かなり誤字脱字があったのでサイレント修正させていただきました。

『報酬は情報収集が上手くいって無事にその子があんたの所に戻ってからでいい。ただ、前金は明後日には用意しろ。それくらいの事はして貰わなければ困るからな』


 業界的には前金制度があるのだとか。雇い主がばっくれたりしたときの保険として持つべきものだとイリエはそう言っていた。誰があんたの働きを無駄にする様な事をするかっての。一応、交渉はしておいた。でないと法外な値段でぼったくられるかもしれないと思ったからだ。


「明後日までに300ダラーか……」


 銀行に行けば預金があるし下ろせる。だがちょっと気になるな。本当に日本円換算で3万円で良いのかよと思ってしまったほどに、あっさりと頷いてくれたからな。なんか裏がありそうで怖いな。俺が嘘ついていると初対面で見破ってきたくらいなんだし。


「俺、1人で探偵事務所に行くべきだったのかなぁ……」

「ご主人。大丈夫かよ?」

「ああ、いや何でも無い。ホワイエットを探すのに協力を頼んだ奴の事が気になってな」


 探偵事務所を出てから少しして最初に分かれた場所でサンデーと再会する事ができた。良かった。こいつも俺の前からいなくならなくて。今俺とサンデーがいるのはモンスター牧場に近い酒場の中だ。ここは静かなお店がウリのバーみたいな所で。訪れている客も物静かそうな人達ばかりが少数でここにいる感じだ。


「そのイリエっていう奴にホワイエットの目撃情報っていうのを集めて貰うんだな。それを明後日に聞きに行くのか。そのタンテージムショっていう所で」

「ああ、そうだ。でだ。前金が安いから不安なんだよ」

「いいじゃん。安いお金で動いてくれるんだし」

「いやいやそうじゃなくてだな」

「じゃあ何?」


 何ってアレだろ。


「大金を要求するんだよ多分」

「なんだそりゃ。ご主人なら頑張ればお金を沢山稼げるだろ?」


 あっ、俺の事こいつそういう風に思っていたんか。通りで高い高級肉を要求してくるわけだ。俺はお前のA・T・Mや年金じゃないって内心で思っておこう。口にはださんけど。


「そうなるとな……うん。その。お金を支払ったよく月からバーベキューは出来なくなるぞ」

「なぬっ!?」

「しーっ!」


 静かな店にサンデーの驚く声が響き渡ってしまった。それを受けて周りのお客さんやバーテンダーの人達に嫌な顔をされる羽目に。うちの子がマジですみませんねっ、本当!?


「……ごめんね」

「あぁ、俺に謝られてもな……。まぁそれは兎も角だ。この事はレフィア先輩には内緒にしておきたいんだ」

「どうして? 頼れる仲間が増えたのに?」

「レフィア先輩ってちょっと堅い人だから」


 ただの自分勝手な印象で物語っているのは重々承知してはいるが。彼女に探偵を雇ったと知られて何言われるか分らなくて怖いんだ。


「でも黙っててもバレると思うから嘘はダメだよ」

「うっ」


 サンデーの鋭い指摘に思わず俺の良心に傷がついて痛むな。素で言っている限り、天然なのか……? だとしたら今後が怖いぞ。


「まぁ……そうだよなぁ……」

「そうだよご主人。ここはオスらしく怖いメスでも話すべき事は話すのが一番だよ」


 なんで俺はサンデーに説得されているんだろ。マジで不甲斐なさすぎるって……。ちょっと思いっきりかつ見切り発車な形で何も考えずに即行動を起こしたのが良くなかったのかな……。


「わかった……言うよ。確かによく考えたらレフィア先輩は仕事先の上司だし信用が掛かってくるしな。こんなことの為に仕事がしづらくなるのもあれだしな」


 先輩と後輩の上下関係のやりとりってこんなに難しいんだと気づく自分。サンデーが言ってくれなかったらきっと先輩から信頼を失っている羽目になっていたかもしれんな。本当、こいつは頼れる相棒だよ。


「じゃあ行こう。ここでお酒を飲んでなんかいないで」

「そうだな。マスターさん。さっきは騒いですみませんでした。お代と迷惑料のチップ。受け取ってください」

「かしこましました。またのご来店を」


 俺はテーブルに料金を置き、そのまま店を出てモンスター牧場へと戻ることにした。そして。


「さて定時連絡の時間ね。って、新人。あんた私より酒臭いのはなぜ?」

「あの、ちょっと情報整理をしたくて近くのバーにサンデーといました」

「情報整理くらいはここでも出来ることよまったく。サボるな」

「すっ、すみません。以後気をつけます」

「ったく。じゃあ私から情報を伝えるわ」

「…………」


 今ので俺の評価が下がったような気がする。とにかくここで巻き返してみようか。


「まず。私の方では方々にいるギャングの連中共を問答無用でブチ転がしてきたわ。もちろんホワイエットちゃんの絵を見せて知っているか吐き出すまでね」


 何その新しいやり方。ブチ転がすってどんなしばき方なんだ。ようは自白するまでギャング相手に単身で暴れたということだなきっと。相変わらず容赦なく強い人だ。


「それで結果はどうでした?」

「ダメね。その子を知らないと全員がそう返事しての一点張りだったわ。腹立つくらいに同じ事をね。何かを示し合わせたかのよな感じの臭いはしたけど確証は得られなかったから深掘りするのはやめておいたわ」

「そうですか……」


 レフィア先輩でもダメだったと言うことは……もう他に残された手がかりというモノがないということになる……。


「そう落ち込まない。まだ話は続いているのよ」

「続けてください先輩」

「ええそうさせてもらうわ。そうね。ギャング連中共をしばいてきた感じ。私から見ると何かを共通で隠していたのは間違いないわ。銃を突きつけて痛めつけてもダメ。秘密は死ぬまで死守するっていう覚悟のいる何か重大な情報を握っているじゃないかとは感じたわね。ただそれぞれの口々である犯罪組織の名前が挙がったわね」

「それは」

「うん。密猟組織『レアハンターズ』よ」

「密猟組織……レアハンターズ……」


 初めて聞く名前だ。それに密猟って。


「新人は知っているんじゃない? ハンターの仕事をしているんだから。密猟っていう言葉くらいは」

「ええ、たまにレンジャーズギルドの人からコイツは知っているかって聞き込みを受けるくらいはあるので」

「懐かしい名前が出てきたわね。まあどうでもいいんだけど」

「その。レアハンターズが何か今回の事件に関係があると?」

「あくまで推測に過ぎないけれど。今回の行方不明事件。その組織が関与していると私は推察しているの。話の根拠をざっくりと言わせてもらうと。密猟品を仲介するギャング組織があったの。まぁ、結果的にはトカゲの尻尾切り。上が見えないようにレアハンターズ側の方で何重もの策がとられていたわ。これは……本腰を入れてネメシスが動かないとまずいかも……」


 じゃあ、ホワイエットはレアハンターズに関わりを持ってしまったのか? これは本格的に調べるしかなさそうだ。


 レフィア先輩の思い悩む顔に有給休暇が終わるという文字がでているのが見えた。俺も嫌だけど身内が大変な目にあっているんだから。

明日も予定通り更新いたします。よろしくお願いします。

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