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108話:ホワイエットの行方は?

「はっ、はっ、はっはぁ! ホワイエットどこだ!」


 サンデーと一緒になってからずっと街中を走り続けた。しかし隈無く探したつもりだったのにホワイエットが一向に見つからない。


「衛兵の人に捜索願いを出してみたけど。朝にならないと動けないの一点張りでマジで仕えね奴らだった!」


 仕方が無く俺と隣で一緒に走るサンデーと探してはいるが。


「ご主人! このままだと時間が過ぎるだけで意味がないよ!」

「うるさい! 分ってる……!!」


 今はそんな言葉を聞きたくはない!


「あぁもうどうすればいい!! あいつの行きそうな場所とかが分らねぇ!!」


 それもそうだな。俺、つい最近まで遠征に出かけてたし。この街であいつとの時間をあまり過ごしていなかったから。


「なぁ……ご主人」

「なんだ?」

「顔が怖いよ……。怒ってる……」

「えっ」


 サンデーの表情が強張っている。


「……すまん。今は冷静にお前と会話が出来そうにない……」

「いいさ。私だって同じ気持ちで焦っているんだしな」


 お互いに同じ気持ちだったことに気づかされてはっと冷静さを少し取り戻し。


「そうだな。俺1人が焦っているとか怒っているわけじゃないもんな」

「うん。私だってご主人みたいに気持ちはあるんだから」

「サンデー……」


 モンスターにも人間と同じように気持ちや感情が存在する。俺もまだこいつらのことを理解できていなかったな……。だから俺はホワイエットを知らなさすぎて、そして見つけられないんだな……。


「ふぅ……」


 俺は走るのを止めて道のど真ん中で立ち止まり。


「力になれる人を手当たり次第に頼ってみないか?」

「誰のこと?」


 俺より少し先で立ち止まったサンデーが後ろを振り向き、そのまま首を少し傾げて俺の話に耳を傾けてきた。


「今思いつく中で2人ほど候補に挙がっているかな」

「誰なんだって?」

「アルシェさん。それにグリムだ」

「今の時間で会えるのかよ?」


 確かにもう真夜中に差し掛かっている。当に普通の人は就寝時刻に備えている時間だ。アルシェさんの生活習慣は分らない。グリムも同じくだ。だが、それでも他にいけそうな人が沢山いるかもしれないけれど。近道にたどり着けそうな人と言えばこの人達だと考えたからだ。


「思えばそうかもしれない。でもよ……。ホワイエットが今こうしている間にも危険な目にさらされているんだよ。泣いているかもしれないじゃないか」

「…………そうだよなご主人。ごめん。余計な気遣いっていうのか。よく分らない事を言ってしまったな。じゃあ、とことんご主人の思うままに付き合ってやるよ」

「ありがとうサンデー。恩に切るぞ!」


 手を伸ばして握手を求めると。


「その代わりだ。今度。私を海に連れて行ってくれよ」

「海か。泳げるのか?」

「まぁ、そこそこはな。海竜族の奴らと比べられるとアレだけど。浅瀬くらいならいけるぞ。あと、バーベキューは忘れないでよな。私がホワイエットを見つけたら特大霜降り肉をご馳走してくれよな。それがないと割に合わないかもなー」


 100グラムで100ダラーする代物を要求してくるとは……。でもお金に換えられないモノがあるしいいか。


「ああ、それでいいならそうしよう」

「うん。ありがとうご主人!」


 俺の伸ばした手に触れてサンデーは握り返してきた。


「よし、さっそくアルシェさんのところに行こうか」

「おう、いこうぜアルシェの所へ!」


 それからはざっと15分の移動時間を要してギルドの本部に向かい。受付けを通じてアルシェさんじゃなくて。ギルド長に急用がある。合わせてくれと願ったのだが。


「すみませんサトナカ様。ギルド長はあいにく別件での用でお手を話せないとの事です。改めて朝に来て頂けたら話を聞いてもよいとのことです」

「そのアマーリエさんを介して伝言とかはできそうですか……?」

「その様な言伝は私の業務外の範疇になりますのでご容赦願います……」


 ダメか……。くそ……っ!


「じゃあ、この手紙をギルド長に届けてください。お願いします」

「かしこましました。丁重にお渡しいたしますね。では失礼いたします」


 ホワイエットが行方不明になった旨を記載した手紙を受付嬢に手渡し、そのまま俺とサンデーはギルドを後にすることになってしまった……。


「……思い通りに事が上手く運ばなかった……。どうするんだよ……」

「なぁグリムはどうだ?」

「分らん。正直グリムの住んでいる場所が分ればいいが。多分。アルシェさんと一緒の所に住んでいるんじゃないかとは思うんだけどな……」


 策に溺れるとは思いもしなかった……。もうすでに積みの展開が直ぐそこに見えてきているとは……。どうすれば良いんだよ……。思わずギルド施設の出入り口でしゃがみ込んで項垂れてしまう。ふと。


「あら。新人じゃないの? どうしてそこでしゃがみ込んで落ち込んでいるわけ?」


 この声は……レフィア先輩? えっ……!?


「こ、こんばんはっ!」

「ん。こんばんはだね。ねぇ、良かったらそこの酒場で一緒に飲まない?」


 拳を作り親指を立てて、ギルド内にある酒場の方向をさしてレフィア先輩が一緒に飲まないかと突然誘ってきた。今日の彼女はラフなタンクトップ姿の格好をしている。下の方はホットパンツなのかな? あまり詳しくないから名前だけになるけど……。


「もう飲んでいらっしゃる感じですか……?」

「そうだけどー。いいでしょー有給休暇なんだし」

「ははっですよね。はは……」


 顔を赤くして軽く酔っ払っていらっしゃる。そういえばルナ先輩から聞いたけど。このひと酒豪だったよな……?


「なあご主人。そこのメスと酒を飲んでいる場合じゃないと思うけど」

「あれ、この子は誰? 君の浮気相手かな?」

「いやいやそうじゃないですよ。俺がテイムしているモンスターですって。あったことあるでしょ?!」

「あーっ、そういえばそんな記憶あったかなー」

「私もこのメスと一度あったことあるぞご主人。かなり獰猛な目をしたメスだ」


 そりゃ、人狩り専門のハンターと呼ばれているだけあるしな。


「で、私のお誘いを蹴らなければならない用ってなにかしら?」

「あの……」


 俺はいままでの説明を簡単にレフィア先輩に説明してみることにした。すると。


「……なるほどね。酒を飲んでいる場合じゃないないわね。手伝おうか?」

「良いですか!?」

「当たり前でしょ? ネメシスの家族が困っているんだから手を差し伸ばさないと。それに新人の教育を任されている身だからそれくらいの事はしないとね」

「先輩……ありがとうございます……!」

「ほぉら、そこで涙を流すな。男が廃れるぞ」

「す、すみません……!」

「ご主人が泣いているの初めて見た……」

「じゃあ、落ち合うポイントの選定と。そのホワイエットちゃんの容姿が分る何か絵みたいなのはあるかしら?」


 似顔絵での捜索か……。


「その、今手持ちにはないんですけど。絵を描くのが趣味のモンスターがいるんですよ。よかったら付き合ってくれません?」

「へぇ、それは面白い話ね」


 オランウータンが絵を描く事に対して関心をしめす人の表情を浮かべるレフィア先輩。こうなったら全員を巻き込んで探すしかないな……!


「ついてきてください!!」


 こうして俺達はそのままモンスター牧場へと向かうことにした。

 

「着いた。サビいるか!」


 モンスター牧場に到着し。さっそくあいつを呼んでみる。すると。


「ふぁ……なんですのご主人様。今は眠たい時間ですのに……」

「ごめんねサビ。いつもならこの時間は寝ていないといけないのに」


 サンダービーストは昼型のモンスターで。この時間の間。彼女は消費した体組織の電気を溜めないといけない。それが翌日の体調にもろに出てくるからだ。実際に夜更かしをしたせいもあって翌日は体調不良を訴えたことがあった。出来るだけ手短に済ませてあげないと。


「その知っているか。ホワイエットの事……」

「ええ、存じてますともご主人様……ふあぁ……眠いですわ……」

「ああ、その……少しお願いがあるんだ。ホワイエットの似顔絵を俺達の為に用意してくれないか……?」


 それは無理な相談と断られる内容だった。


「良いですわよ……。私の代わりに皆がホワイエットちゃんを探してくれるのですから……」

「……恩に切るよサビ」

「その変わり。早く私の個室を用意しなさいな。これでもまだ慣れで我慢しているほうですのよ? グリム様にも言われているでしょ?」

「沼地の環境を整えるのは少し時間が掛かるけど。頑張って俺稼ぐから。それまで待ってくれ……」

「働くオスの勤めは理解しております。しっかりなさいな」

「ああ、そうだな」


 こいつらの為にしっかり養わないとな……。責任重大だ……。


「じゃあ、書きためた絵がありますのでそれで良ければ必要枚数分用意しますわ」

「ああ、頼む」


 俺は出来るだけ可能な限り10枚を用意してくれと頼んだ。すると。


「いいですわよ。ちょっと失敗さくですが」

「いや全然最高傑作の品ばかりじゃんっ!?」


 もうこれ画伯の肖像画として売っても文句なしのできじゃないかな!?

 全て同じものばかりで。ホワイエットが木箱に腰掛けてこちらを見つめてきているという絵だ。凄い……。まるでお人形さんみたいな雰囲気があるな……。


「この子がホワイエットちゃんね。新人、もしかすると人さらいとかに狙われている可能性はあると思っておいた方がいいわ」

「人さらい……」

「もしモンスターと分れば闇のオークションで裏取引される恐れがあるわ。そこから足取りを掴むには無理ね。それまでがタイムリミットと思いなさい」


 思わずホワイエットが悪人達の前でその様な目にあっている光景を想像してしまった。なんとしても見つけ出さないと……!!


「行きましょう! ホワイエットがそうならないように!!」

土曜日分の更新予定日の記載を誤って19日と書いておりました。正しくは20日です本当にすみません。


次回の更新予定日は明日です。よろしくお願いします。こんな感じでやらせて貰いますね。

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