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103話:出会いとか日常とかよくない出来事とか その3

「最初は何処のランドマークに連れてって行ってくれるのかなーって思ってたけど。良い感じに定番な場所に連れてきてくれたね」

「なんかそう言われるとそうじゃない何かヤバイ場所に連れて行くと思っていたみたいな感じに聞こえるんですけどね」

「もしかしてラブホとか!?」

「ちっ、ちがいますって!」

「ふふ、まだ朝だよ。そういうのは夜のお楽しみに取っておかないとねー。もうカリト君のエッチ」


 ニッコリしながら平然とそう言わないでくれないかなっ!? 周りの目と耳があるでしょっ!? いやでも……ちょっと興味はあるけれど……。まだそういうのは早い気がするんだよなって思う。


「と、とにかくこの場所に来たんですから一緒に中に入りましょうよ」


 1人で行ったことはあるけれど。女の人と一緒に行くなんて初めてだ。とりあえず手をつないで歩き、そのまま店に入る事にしよう。


「リリィ先輩」

「だめ、いまはリリィって呼んで」

「うぅ……リリィ……」

「うふふ、あぁかわいいなぁカリト君は」

「あうう……」


 リリィ先輩の事を呼び捨てするのが億劫なのに、彼女にそうイジられてしまうと余計恥ずかしいな……。この瞬間はさすがに俺でもかーっと顔が熱くなってしまってまごまごとしてしまう。


「いこカリト君。君の最初に私と過ごす時間で選んでくれたここ。私もここはあまり行ったことがなくてずっと気になっていたの。だから今日だけは一緒に楽しくすごそうね」

「は……はい……」


 リリィ先輩の優しげな表情に思わずうっとり……。って、


「お、おう行きましょう! ほら手をだしてくくください!!」

「ふふ、はぁい」


 お互いに横になって手を出し、そのままギュッと握り締めたまま目の前のランドマーク施設の入場口に足を運ぶ。そしてそのまま入場口前にある受付けに進んで前に立つと。カウンター越しに座っていたこの施設の制服を纏ったお姉さんがニッコリとスマイルに会釈をして。


「いらっしゃいませ。本日の演劇は『アリューシャンの海』でございます。大人お2人様でしたら……。申し訳ございません。特等席のみのご案内とさせて頂くことになりますが……いかがされますか?」

「特等席のみか……」


 ちなみにいくらなんだろ? そう思ってテーブルに差し出されている値段表を見てみると。


「あら、今日は女の人限定で全席割引みたいね。なるほどなるほど」

「ん? どういうことです?」

「この劇と今日の割引。この2つにはある共通点があるの。さぁなんでしょうか?」

「い、いきなり推理ゲームみたいな質問をしてきますね。えと……」


 そもそもアリューシャンの海っていう劇の内容が分らん。あとレディースデイ割引はまぁ、前の世界でもよく見かけたサービスだったし……うーん……なんだろう?


「いかがされますか? 後列のお客様の順番もございますのでなるべくお早めにお席の指定をお願いしたいのですが」

「あ、あぁ、すみません。えと、とりあえず特等席2つで構いません。座席の位置の指定とかできたりします?」

「もしかして私と人気のない席でイチャイチャしたのかなっ!?」

「うん、リリィ先輩。目の前でお姉さん困ってるから余計な口を挟まないで」

「と、とう劇場ではそのような行為につきましてはお控え願いますね……ははっ」


 あっ、こりゃぁ完全に俺達のことバカップルだと思い込まれてしまったかもしれんな……。別にそこまでの関係じゃないのに。


「じゃっ、じゃあ……真ん中の席でお願いします」

「かしこましました。当劇場のご利用は初めてでございますか?」

「えと、1度だけかな」

「私は3回だよ」

「承知いたしました」

「えと、特等席って」

「はい」

「普通の席とはどう違います?」

「そのご質問につきましてはあちらの案内スペースにおります係の者にお聞き願いますようお願いします」


 手っ取り早くお姉さんに聞きたかったけど。仕方が無いか。ちょっと面倒くさいなと思った。


「お会計はお二人様で250ダラーでございます」


 割と結構な値段だった。とりあえずポケットから財布を取り出して丁度分の金額をお姉さんに提示した。


「ありがとうございます。それではこちらのチケットをお受け取りください。開演までごゆっくりとロビー内にございますラウンジルームでおくつろぎくださいませ」


 そのままぺこりとお姉さんが丁寧な挨拶をしてきたので、俺もそれに応じて軽く会釈し。


「行きましょう先輩。ラウンジルームはあっちみたいです」

「うん、行こう」


 ふと先輩が俺の腕に身を寄せて腕組みをしてきた。ちょっと歩きずらいなと思いながらも身を任せてそこまで行くことにした。ふとリリィ先輩が、


「ねぇねぇカリト君。さっきからずっと思っていたんだけどー」

「はいなんです?」

「どうしていつも着てる制服でデートしちゃってるの?」

「あえっと」


 まず、今の俺には服のレパートリーがないんだ。それがバレてしまうととてもまずい感じになる……。どうしようか……。


「ほら、あの。リリィ先輩のきていらっしゃる可愛い服に釣り合うような服を持ち合わせてなかったので……その……」

「ちょっと言い訳っぽいし。くどくて嫌だなーって思うなー」

「あっ、ですよねー」


 男として失格と思われてしまったかな……。いやだな……。そうネガティブな気持ちで軽くへこんでいると。


「じゃあ、開演時間までまだあるみたいだし。よかったら一度この劇場を出て。近くに商店街があるから。そこで私が君の為にお洋服を見繕ってあげようか!」

「えっ」


 それは突然の提案だった。

次回の更新予定日は9月17日です。よろしくお願いします。

追記:体調が優れないので大事をとって更新が少し遅らせてもらいます。ごめんなさい。9月17日午後12時~13時の間までには更新します。

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