101話:出会いとか日常とかよくない出来事とか その1
お知らせ
第1章・1話~7話まで加筆修正作業を行いました。今後。このような形で前書きに掲載させていただきます。
「ねぇご主人様。どうして最近よくここで寝泊りしてるのー?」
いつものように俺、サンデー、ホワイエット、サビで食卓を囲み、見よう見まねで作った日本の朝食を片手に、これも見よう見まねで作った箸を使って味噌汁を食べていると。同じくフォークを使ってソーセージを食べながらホワイエットが俺に話しかけてきた。うん、ちょっとだけ行儀が悪いけどスルーだ。だって今日が初めてまともな朝を迎える事ができたんだし、大目に見るべきだよなー。昨日は菓子パン生活だったわけだし。
「そりゃ、お前たちと一緒に住んでるんだから当然だろ」
と答えると今度は、俺の真似をしようと頑張って箸を使いながら目玉焼きを食べようと挑戦していたサンデーが、
「ご主人。いつも寝泊りしてる住処はどうした?」
と話に入って聞いてきたので、
「うーん、住処じゃなくなったかなー」
「何言ってるか私でもわかるな……」
「さすが俺のことを心からよく分かってるじゃないか」
「私のこと雑に扱うご主人がよく言える言葉だな」
「そう言いながら箸使うの諦めて手掴みで朝食を食べるな」
「うっさい。私にはご主人の様な頭が無かったんだよ。こうしてる方が楽だ」
これは教育しがいがあるぞ。まぁ、それはともかく。当分はあの部屋には帰れそうに無いな。ご近所様との朝チュン迎えるのがコワイデス……。思えば俺には恋愛って言う甘い言葉は無かったんだよ!
「ふむふむ、ご主人様の考えている顔から察するに。なるほどのぉ。女難の相が出ておるように感じますわ」
「グリムにアイデンティティ奪われそうだからってデタラメなこと言うなっての」
俺よりも器用に箸を使ってもくもくと、焼き魚の骨を取りながら会話を聞いていたサビが話に入ってきた。俺より日本人してるじゃないか。さすが王女様だ。見て聞いている自分が頭が重くて仕方がない事を言ってくるじゃん……ははっ。
「うーん今日は何をしようか……」
「なぁなぁご主人。せっかくだからさこの牧場をもっといい物にしないかー? サビの事も考えてあげようぜ」
「そうだな……。サビ。君が最も好きな環境ってどんな所だ?」
「もちろんこんな暑苦しくなくて、むしっとせずにサラッとした冷たくて涼しい場所が好みですわね。なんなら故郷みたいにして貰いたいですわね」
「土地ごと環境を変えるってなかなかの難しい案件だぞ。人工的に作ると言っても……金がかかるな……」
「ご主人様でしたらそう容易くそのお金とやらを集めることが出来ますでしょ? ほら、人間のお金を集める商売をしているとこに言ってアレをすればいいんですわ」
「おいおい冗談よせよ朝っぱらからよ。てかなんでお前がそんな事を知っているんだよ」
「アルシェ様がそうおっしゃっていたので」
「真に受けてそんな事いわないでよなっ!? ったく……」
アルシェさんの言葉の教室はいい加減なところがあるみたいだな。ちょっと授業参観してみたい気もする。ただ、仕事がな……。
「ご主人様。ホワイエット。今日は一緒に水遊びがしたいかも。みんなと一緒にバーベキューして遊びたいなー」
「なんか毎日バーベキューしているような気もするがな。まぁ、ホワイエットがそう言うならひとつ考えておくわ」
「わー、うれしーって言われるの期待しているんだろー。相変わらずご主人はホワイエットには甘いんだな」
「うっせ。子供のおねだりを無下にするほど野蛮な男じゃねぇよ」
「ふむふむ。あたしも出来るならばご主人様にはおねだりをしてみたいものですわね」
「具体的になんだ?」
「あたしもご主人様と一緒に狩りがしたくてと思いまして」
「ん? それだったらアルシェさんから許可が下りてるんだけどな」
「そうでしたの? まったく聞いておりませんでしたわ」
「連絡するタイミングがずれたんじゃないかな。あるいは俺に言っておけば全員に広まるって思ったんだろ」
うん、連絡するの適当だなアルシェさん。
「さて、俺はごちそうさまするぜ。今からちょっと行かないといけない場所があるんだ」
「なんだ?」「んん?」「なんですの?」
「……リリィ先輩とこれからデートだ」
あれ可笑しいな。普通デートって嬉しくてこう胸が熱くなる展開だよね? なんでか俺の場合は恐怖という感情がこみ上げてきているんだけど……?
「ご主人はおとといからずっとリリィに見つからない様にかくれんぼしながら休みを楽しんでいるからなー。大変だ大変だ」
「止めてくれ……。今日も同じ感じにしようと思ったけど気が滅入ってしまうし。それに休暇明けの仕事始めにどう顔を合わせろっていう事になるからさ……ははっ。もう覚悟きめていっちょ男らしく面と向き合って話そうと思うわ」
具体的に何を話そうか。正直関係を崩したくないしな……。
「悩みの多きご主人様だこと」
「うん、絶賛お悩み相談してくださいって誰かに言いたいな」
ネガティブ過ぎた。ただ、今だけは彼女達に甘えていたいな。
「じゃあ、洗い物は俺がしておくから。食べ終わったらそこの桶に入れておいてくれ。ちょっと身支度すませてくるわ」
朝起きて直ぐに歯磨きと顔洗いはしたけど。念を入れてもう一度しておく。女の子とのデートなんだし。こう……汚いとか思われてもアレだからな……。例え相手が好き好きって言っててくれていても、紳士的にいないとな。って、グリムとかアルシェさんとかその他もろもろ道中で出会った知り合いに口酸っぱく言われるんだし。
「俺ってそんなに身だしなみが整えられない男なのかな……?」
「ん? なんだご主人? 歯磨きはさっきしただろ?」
「まぁ、またやっても損はないだろ」
「ふーん、そうなんだ。じゃあ、後で私もやろーっと」
「ご主人様がするならホワイエットもする」
「あ、あたしもしますわ! 王女たるもの身を整えなければなりませんからね」
そう言って各々の食事を終えた後。みんなで横にならんで洗面台に立って歯磨き大会が始まった。なんか凄く俺の真似をしようとしているのか。あるいは誰かがやっているから自分もするっていう感じなのか。
――今まで1人で生きてきた自分にとって。こんな事するのってなんだか新鮮な気もするな。
そう思いながら彼女達と一緒にモンスター牧場での朝を終えるのであった。そして。
「あっ! み・つ・け・た! うふふ……」
「おっ、おはようございます! ……リリィ先輩」
「もう、おとといからなんで私の事を避けようと身を隠していたの? ずっと今まで寂しかったんだよ……? どう責任をとってくれるの?」
「っていいながら俺の目の前で婚姻届の紙をチラつかせないでくれませんかねっ!? 俺達そこまでの関係じゃないでしょっ!?」
「私とは遊びだったというのね!!??」
「ちっ、ちがいますって!」
朝日の差し込む恋人達の集合場所として有名なボルカノ公園で、俺とリリィ先輩の初めてのデートが始まろうとしていた。
4日ぶりですこんにちは。作者の天音みちのんです。あれからずっと日々のたまった疲労にやられてバタンキューっとなったりして怠惰に陥ってしまったり、土日になって体調が良くなってさぁ、100話分の加筆修正作業するぞーって執筆配信しながらやっていたけど。昔の自分が書いた文章に阿鼻叫喚としながら頭を悩ませることになり、思うような加筆修正作業ができず。結局1~7話まで止まりなって焦っております。今後の方針については、毎日の更新は変わらずさせていただきます。加筆修正作業については可能な限り1日1~2話分はやれたらやろうと思っております。かなり大幅に設定の修正をかけている場合があります。よろしければまた読み返して頂けるとありがたく思います。
次回の更新予定日は9月15日です。よろしくお願いします。
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