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2. イケメンオンパレード

「おや、今度は何を拾ってきたのですか?」

  泣く子も黙り、死人も生き返ると言われる絶世の微笑を浮かべた側近、劉莉己(りゅうりき)に迎えられ 桜雅は一瞬怯んだ。が、何とか平常心を保ちつつ答えた。


「孫団と出くわした」

  桜雅にくっ付いている子供に 興味津々に近づいて来ていた宗泉李(そうせんり)が嫌そうな顔をした。

「人数は」

「13 俺を誰だか解っていた」

「はぁ〜。だから、ウロウロするなと言ったんだ」

「すまない」

「おーい !|桃弥ー直ぐに出発するぞー。若様が孫団の奴らとデートしたってよ」

  小川で馬を休めていた秦桃弥(しんとうや)が、素早く馬を連れて戻ってき、驚きを隠そうともせず、桜雅の背後にくっ付いている少年を凝視した。

 

 3人の視線に耐えられず、桜雅は覚悟を決めて口を開いた。

「孫団とやりあっていた時に加勢してくれた」

「何故連れてきた」

「……後で話す。とにかくここを離れた方が良い」

「はいはい、じゃあその件については後でゆっくり伺う事にしましょう」

  莉己の言葉に他の二人も追求を諦め、馬に飛び乗った。

「残党に見つかる前に移動する」

 桜雅がそう言いながら馬に乗ろうとしたが、袖を掴まれているのを思い出した。朱璃を見ると不安げな表情だ。置いて行かれるのを恐れているのだろう。


「馬に乗れるか」

 桜雅が馬に乗れと言っているのが分かった朱璃はホッとして、せめて足手まといにならないように急いで馬によじ登った。

 

  すぐに桜雅が後ろに乗り、気付くと彼の腕に挟まれた形になっていた。

  馬が走り出し、期待を裏切らず見た事のない風景が視界に飛び込んでくる。

 いったい全体、此処は何処? 何が起こっているの?

  いくら考えても、まわりを見渡しても、手がかりになりそうなものは何一つ無かった。


  桜雅の仲間だと思われる3人も、見たことがない衣服を身に付けている。髪の色も瞳の色も違っていた。髪型も長髪だったり、短髪だったり、結っていたりいなかったりと様々である。

そして何よりも、整った容姿をしているのだ。イケメンのオンパレード。

  以上のことより、ここは日本ではなく、自分の知らない地球上の国でもない、黄泉の世界でもない。

 それだけはわかった。

  ここは異国だと言う線が濃厚。

 

  そこまで考えて、朱璃は考えることをやめた。というより諦めた。

「成る様に成る」

 呟いてみると少し気持ちが浮上した。

 すると、急に睡魔が襲ってき、今更夢オチ?など思う。

神様どうか、今度目覚めたらイケメンの腕の中より 布団の中でありますように。



「お、おいっ。しゅり?」

 突然ぐらりと前に倒れてた朱璃を桜雅が慌てて支えた。

「しゅり、しゅりっ」

  名を呼んでも無反応。揺すっても無反応。

 先を行っていた泉李と桃弥がその様子に気づいた。


 泉李が並走し、朱璃の脈を取った。

「大丈夫だ。生きている」

 その真面目なかおに眉をひそめ桜雅言った。

「分かっている。眠っているだけか?怪我はないだろうか」


 心配そうな桜雅の反応も、連れて来た子供も興味深く

 泉李は微笑んだ。

「爆睡だな。お前に抱かれて眠るとはいい根性してるよ」

「ふふふっ、余程疲れていたんでしょうね」

「それで、その子は何者なんだよー」

 面白がる様な3人の視線に、桜雅は小さくため息をついて、朱璃との出会いと連れてくる経緯を説明し始めるのであった。


 

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