表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/41

22.5 . (豪華)護送馬車にて

別れた後の彼らの様子。短いです。

 愛する弟達の心配をよそに(あまり心配はされていないが) 彼等は今、豪華護送馬車で光州への旅を御満悦中だった。もちろん豪華食事付きである。


 一刻ほど前、目の前で吊り橋が落ちたのを確認したあと、彼等は直ぐに降伏したのである。

 孫卓言の首筋に剣を突きつけ、「お縄になってやる」と言った時には50ほどいた武官たった5名に、なってはいたが……。


 当然、豪華馬車と食事の要求を、断れるはずもない。

 生け捕りにして来いと命を受けたが、果たしてこれで良かったのだろうか。

 馬車から漏れる男女な楽しげな笑い声や笛の音色に肩を落とす卓言であった。


 一方、芸妓たちと食事を楽しんだ後、極悪犯はこれからの事を話し合っていた。


「卓言も王の事をしりませんでしたね」

 死亡説も重病説もあり得ないと思っていても、それを否定する情報が入手できない。

 流石の莉己も景雪の前では不安を見せた。少しでも早く光州に行き手掛かりを得たいと豪華馬車の旅にかけてみたのだ。


「王が亡くなれば黒旗が挙がる筈ですし」

「バクの奴が玉子売りの後でチンピラに因縁をつけられたらしい」

 突然の話の転換に莉己は一瞬眉を挙げたが、そのまま話に乗った。景雪が今、その話をしたのには理由があると分かっていたからだ。


「あの足の怪我はその時に?」

「ああ。あいつは阿保だから素人にはなかなか手を出さん。苦戦している所に、通りがかった人に助けてもらったらしい。そいつらは、一瞬にしてチンピラをのした挙句、迷惑料を徴収したそうだ」

「まあ、当然でしょう」

「……。朱璃にそいつらの特長をきいたら《豪華てんらんの男前2人》だとさ」

「?」

「俺も琉晟から聞いた時は気にも留めなかったが、後で気が付いた。恐らくバクは《豪華絢爛》という言葉を《豪華テンラン》と間違えて覚えている。それでその2人組にぴったりだと 思い、語呂覚えした」


 もっと早く気が付けばよかったと景雪は苦笑した。


「豪華テンラン、てんらん……。 ひてん、らんが

 飛天と蘭雅。男前2人」

 そう呟いた莉己は吹き出した。


「豪華天蘭!! 朱璃は本当に最高ですねっ。くすくすくすっ」


 たった2人で50名もの部隊を全滅しかけた華麗な極悪犯を乗せている馬車の中から、聞こえる天使の鈴の音のような笑い声は、しばらく鳴り響くのであった。 





読んでくださってありがとうございます。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ