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ヒュタラノカ  作者: 村田 壮真
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壱幕〜二人の入国者〜

前回から随分空いてしまいました、申し訳ございません!

最近お菓子作りにハマった男子高校生でございます

人均界は、三針螺旋の内最も広大にして最多の種族数を誇り、魔力も豊潤の限りな世界である。

龍人族、巨人族、狼人族、妖怪族、鬼人族、精霊族、獅人族、そして人間族の8族は【八叉】(やまた)と呼ばれ、強き種族と称えられている。

地力では他種族に劣る人間族が、何故八叉に並べられているのかといえば、それは人間族が【無】であるからという事に起因する。

無であるが故に、人間族は他種族に勝る武器として、知恵を奮った。人間族の中にも勿論、魔力を多く持って産まれる者や、天才的才能を持って産まれる者が存在する。他、人間族の中にもまた多くの部族に別れているが、いわゆる普通、部族の様な特殊性もなければ天才的才能や魔力を秘めているわけでもない、普遍的な人間族【ヒューガンテ】は、まさに無であった。

彼等は、知恵という武器を変幻自在に形を変えていった。その完成と言える現在の形が【科学】と【魔導】である。

【頂】の龍人族、【仁義】の巨人族、【迅速】の狼人族、【瞞】の妖怪族、【怪力】の鬼人族、【癒善】の精霊族、【契】の獅人族ーーーー


【死技】の人間族


プロローグより10日前ーー

〜人均界人間族首都・魔導科学軍事国家【レスピス】〜


見渡す限り、無機物の造形物が建ち並ぶ。魔導の複重結界により外部へ漏れ出さない排気ガスは、それこそ魔導により清純な空気としてレスピスを包んでいた。

レスピスへ入国するには、2度の検査をクリアしなければならない。第一に、魔力量の精査。過去に一度、巨大な魔力を有する1人の男によってレスピスの全魔導が停止。生活、軍事だけでなく環境の汚染等、莫大な被害をもたらした事件が発生したからだ。

第2に、武器その他犯罪に使用できる一切の持ち物の持ち込みを禁じ、没収する事。これも先と似た理由だ。つまり、国家認定を受けている科学魔導関係者や、輸出入等の貿易商以外の魔力の有る者は殆ど何も持ち込めない事になる。

「......マジ?」

検査に引っかかる者は決して少なくない。魔力の大きい者はいておかしくなく、検査に引っかかった者にはバンドが渡され、手首に付けていることでレスピス側がその者の魔力状態を監察するシステム。規定値以上の魔力を発生させた場合は即座に退国処分となる。

が、これはあくまで基準値内の【大きい】のレベルであり

「マジです、とりあえずここに名前と出身国かいて」

規格外レベルになると話は別である。

「馬鹿か、お前の魔力でスルー出来ると思ってたのか?グランプルーヴァ」

「人の事言えないだろ!?既に引っかかった癖に!」

西門の検問所は四方の門の中で最も通行量の多い場所である。人々が流れ込む中、2人、見事検問に引っかかっている者がいた。

門に背を預けるフードを被った、華奢な青年らしきシルエット。しかし頭部には龍人族特有の角が生えており、黒々としている。狼人族と龍人族のハーフの青年【ハガミ・ヴァトヴィン】。

女性かと見紛う程の容姿、高い背丈、黒い棒線の走った白いパーカー。人間族の内【ラウド族】出身、最強の魔総師【グランプルーヴァ・グルカ】。

「あなたねぇ...流石にこんな異常量の魔力で来られるとこちらとしても警戒しなきゃならないんですよ。初めてですか?レスピスに来られたのは」

「いや〜、2回目ですな。けど前にはこんな検問はしてなかったんだよ?」

質問に対し、グランプルーヴァは懐かしむ様に答える。が、検査員は溜息を吐いた。

「あなたやっぱり初めてだね?どう見ても20半ばくらいだろう。この検問が始まったのは250年前らしいんだ、あなたまだ産まれてないでしょう、嘘はもう少し上手くつきな」

渋々名前と出身国を記入し、検査員へ突き返した。不服そうな顔をしながらも、2人に赤いバンドを手渡した。

「いいですか?レスピス国内ではこのバンドを絶対に外さないでください。まず外す事は出来ませんが、万一外せば退国、魔力を出し過ぎても退国。いいで、す、ね!?」

グランプルーヴァに対して特に強く念を押す。はいはい、といった風の反応を示す男は、ハガミの肩を叩き入国する。最早自分勝手、傲慢である。不服な検査員は、懐から取り出した魔導通話道具に話かける。

「こちら西門検問所、ラヴィーソン様はいらっしゃいますか...」

手元から、返事が変える。

『ハーイ?なんですなんです?私がラヴィーソンですよ〜』

テンションのよく分からない、女声が伝わってきた。

「今しがた門を通過した男2人ですが......」

『あ〜、こっちも感知してるよ。あんな魔力振り撒いてりゃ否が応でもね?で?』

「測定値ですが、400年前にレスピスを壊滅させた男の数値を超えています......即席の測定とはいえ、当時からレスピスの魔導は突出していたので間違い記録と思われますし」

魔力の測定、その技術は600年前から完了状態にあり、その時から変わっていない古く優れたものである。

数値化される魔力量は「入国者履歴」に記載され、254年前から四方の門を通過した全てが記されている。

『......数値は?』

一転してトーンの落ちたその声に、検査員が息を呑む。

魔力数値の基準値、それは種族により異なるが、人間族なら1000を超える場合は黄色のバンドが渡され、監査対象になる。極々希に1万を超える規格外が存在するが、その場合は災害レベルとなり、名前と出身国を記載させ、赤のバンドを渡される。当然、監査対象だ。

ただし、帝国騎士や大魔導士、大魔法使い、大魔術士及び公認の役職で免許証やライセンスを持った者はそれを提示する事でパスすることが出来る。

「えぇ、グランプルーヴァと、ハガミ、という者です、数値は......」

検査員にわかる訳はないが、ラヴィーソンはその名前を聞いて戦慄していた。

噂に聞いていた程度だったが

「前代未聞、特級災害指定クラス」

まさか、あんなバケモノが入国してくるなんて

「ハガミ・ヴァトヴィン、28万1856、グランプルーヴァ・グルカ、97万6905」

魔導式の向こう側で、椅子が倒れる音がした。



主人公組がチート設定って面白くなさそうですが、何とか頑張ります!

目指せ、ワンパンマンの様な!

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