生首少女と私
2014/3/17修正
「ふんふんふんふーん♪」
私は最近、とても気分が良い。それは何故か?それは、私はとても大切な女の子とずっと一緒にいるから。
でもその子は少しおかしい。うん、それ以外形容できない。
だって、その子、首から下が無いんだもん。所謂生首。
初めて会った時、私ったら凄く怖がって、悲鳴?奇声?を上げちゃったんだ。
だけど、その子はそんな私が落ち着くまで待っててくれたんだ。
落ち着いたら、その子は自己紹介をしてきた。
今思えば、なんで生首相手に自己紹介してたんだろうって思うけど…まあ、どうでもいいよね。
その子の名前は里奈。柔らかい茶髪と同じ色の茶色の瞳で凄く可愛い。
その子…里奈は、いじめられて死んだらしかった。自分の事でもないのに悲しくなった。
私は気が付いたら、里奈に「お友達になってください」って言ってた。
里奈は驚いたような顔をしてたけど、徐々に口が優しく弧を描いて、目を潤ませながら笑ってくれた。
それからすぐに私と里奈は仲良くなった。
「ねぇ、愛奈、何考えてるのー?」
「んー?里奈と初めて会った時の事だよ!」
思い出してる間に、里奈を撫でる手が止まってたからか里奈が少し不機嫌そうな声でそう言った。
私は里奈の頬を優しくはさんで持ち上げて目を合わせながらそういうと里奈も初めて会った時の事を思い出したのか「あひゃひゃ!」って笑い出した。
可愛いのに笑い方とか言葉使いが残念でならないけど、死んでからそうなったって聞いた。
「愛奈、初めてボクを見た時『へぎょー!?』って叫んだよねー!あひゃひゃひゃひゃ!!」
そう言われて顔が熱くなる。絶対今顔は真っ赤だろう。
そんな私に里奈は「かーわーいーいー!」って叫ぶ。それに私は即座に否定する。
「私なんかよりも、里奈の方が何倍も可愛いよ!」
「じゃあ、愛奈はカッコいいよ?」
カッコいい…か。うん、私は里奈を守らなきゃいけないから、カッコいい方がいいかな?
私がうんうん頷いてるのを見た里奈は不思議そうな顔をする。
「……どうしたの?」
「ん?里奈を守るならカッコいい方がいいかなって思ったから。」
「きゃー!愛奈カッコいい!…あひゃひゃひゃひゃ!!」
何処に笑う要素があるのかわからないけど、いつもの事だからいいかなって思う。
私はそう言えば、と不思議に思ったことを聞く。
「ね、里奈。里奈って周りの人に見えてないみたいだけど、なんで私には見えるの?」
「あひゃひゃひゃひゃ?ああ、それはねぇ、愛奈以外には見られたくないからだよん!」
「嬉しいけどさ、私個人としては可愛い里奈を見てもらいたいと思ってるんだけど…。」
それに里奈は頬をぷくっと膨らませる。私はつい突いてみたくなったから里奈を膝に乗せて頬をつつく。すると空気の抜ける間抜けな音が聞こえた。
「なんでぇ?ボクは愛奈しかいらないのにそんなことを言うのぉ?」
「なんでって…あえて言うなら、私を里奈の仲の良さを周りに見せつけたいから、かな?
私たちはこんなに仲がいいから付け入る隙はないんだぞ!って。」
「それもそうか。愛奈は可愛い…じゃなくて、カッコいいもんねぇ。」
うーうー唸ってた里奈だけど、最後は「まあいっか」で姿をみんなに見せることになった。
私は嬉しくて笑ったら、里奈も嬉しそうに「あひゃひゃひゃひゃ!」って笑った。
私は里奈と会ってからほぼ一日中里奈を抱えて歩いている。
その変な格好の所為か周りから変な目で見られるようになって病院に連れてかれた。
「じゃあ、里奈がみんなに見れるようになったら私が今までずっと里奈を持ってたからって言えばいいかな?」
「んー、別に何でも構わないよぉ?でも、愛奈とボクの邪魔する奴は呪い殺しちゃうぞ!」
「きゃは!」と星マークが付きそうなほど明るい声でそう言う里奈。
それに私はなんて答えればいいんだろうね。返答に困るよ里奈さんや。
「あはは、出来れば呪い殺さないで欲しいな。」
「むぅ、愛奈がそういうなら別に完全に呪い殺さないでおこうかな?」
・・・・
「完全には」と言う言葉に何をするつもりかとは考えるけど里奈の事を完全に理解することは出来ないだろうからすぐに諦める。
もし一々悩んでたらご飯は食べなくていいのかとかどうやって私の家に入り込んだのかとか色々考える羽目になるし。
ま、里奈は少しおかしいけどいい子だから別に気にならない。…多分。
私はいつも通り、両親にすら不審そうな視線を受けつつ里奈をテーブルの上に乗せる。
里奈はその間は基本的に無口になる。私を気遣って喋らないでいてくれてるらしい。
「御馳走様でした。」
「……ねぇ、アンタ、いい加減に変な格好やめなさい。みっともない。」
「はぁ?なんであんたみたいな糞婆に言われないといけないのよ。」
里奈は反射的に言い返したけど、今は聞こえないようになってるらしい。
私はそれに苦笑いしてしまう。できれば一応私の母親だからそう言わないで欲しいな。
「アンタの所為で周りから頭のおかしい奴の両親って言われてんのよ?」
「へー。」
「!なに馬鹿にしてんのよ!!」
バシンッ!と母親は私の頬を引っ叩く。それに私は慣れてるけど、里奈はさすがに我慢出来なくなったようだった。
里奈にとって私は【神様以上に尊い御方】と思われてるみたいだった。いや、私普通の人間なんだけど…。
今までよく里奈我慢してくれてたなぁ…って改めて思う。
でも、私ってばさっき周りに里奈といちゃついてる所見せ付けたいって感じの事言ったから多分里奈は両親を驚かすだろう。
「いい加減にすんのはあんたたちだ。」
ほら、予想通り里奈が声を発して二人とも凄く驚いてる。
里奈は周りからも見えるようにしたのか、二人が悲鳴を上げて椅子から転げ落ちた。
里奈の髪が怒りの所為かセミロングの髪がゆらゆらと揺れている。そして段々辺りが暗くなってくる。
「なんなんだよあんたたちいい加減にしろよホントになんであんたたちなんかの為に愛奈が傷つかなきゃいけないんだよあんたら責任取れるのかよ責任取るなら死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ね死ね死ね死ね死ね死ね産まれてきてごめんなさいって言って土下座しろよああでもそれだけじゃ足りないかな足りないよねなるべく長くゆっくりじっくり苦しむだけ苦しんで死ぬ呪い掛けてあげるよああでも寿命で死ぬまで苦しんだ方が少しはすっきりするかなだったらそうしようかあひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃはははっあはははひゃははははでもそれでも足りない足りないよどうしようかこのドロドロする殺意をどうしようか足りないよねそれだけじゃ足りないよねあんたたちはそれ以上のことをしたんだから別にかまわないよねなんせ愛奈に何度も叩いたり殴ったり蹴ったり引きずったり首絞めたり土下座させたりしたんだから愛奈は我慢してたみたいだけどボクは我慢できないなぁだってボクにとっては愛奈が全てなんだもん仕方ないよねでも…。」
「そこまでにしときなよ、里奈さんや。」
里奈はそんな私の言葉にぴたりと止まった。それを確認して私は里奈を抱き上げて前髪をかきあげて額にキスする。
そうすると先程までのは一体なんだったのかと言いたくなるように頬を染めて潤んだ瞳で私を見上げる里奈に私は内心安堵する。
よかった、いつもの里奈に戻ってと思って私は笑みを浮かべる。
どうすれば落ち着くかな、と思って少し考えてから私は里奈の目を見つめながら考えた言葉をはっきりと言う。
「里奈はそんなに心配してくれてたんだね。でも私は里奈がいるから大丈夫だよ。
それにあんな奴等なんかのために里奈が手を下す必要もないよ。」
そう言って気絶している二人を一瞥すると里奈はまた一瞬あの目をするけどすぐに元に戻る。
流石に酷い言いようだけど、少しくらい鬱憤を晴らしてもいいでしょ。
「そうだよね!あんな奴等殺せば構わないよね!」
「いやだから殺すほどの価値はないって言ってるの!…私、里奈がそんなことのために人を殺すのってやだなぁ。」
少し悲しそうな顔をすれば里奈は「うん!うん!じゃあせめて呪いくらいは掛けてもいいよね!」と言ってくるもんでつい頷いてしまう。
あーあ、と自分の失態に頭を抱えたくなったけど里奈を抱えてるため正しく頭を抱えてる状態で…ってどうでもいいよ、そんな事。
馬鹿な事を思っているうちにも呪いを掛け終ったのかすっきりした顔をしている里奈とうなされ始めた二人。
「死なないよね…?」
「死なないよ!自殺に事故を起こしても死ねないけど、火傷や食中毒、病気とかには半年に一回かかるようにしたよ!
その他にも犬の糞に鳥の糞、溝に足を突っ込むとか足が縺れて顔面から地面にダイブとか色々一日に三回はかかるようにしよいたよ!
寿命以外では死ねないようになったから一安心だよ愛奈!」
「あはは、は、は…。」
こりゃもう笑うしかないわ。死なないだけいい…のかな?でも正しく生き地獄だろうね。
それと一体何が一安心なのかを教えて貰いたいよ。
「じゃあ、学校に行こうか、里奈。」
「そうだね。これからが楽しくなりそうだなぁ!あひゃひゃ!!」
そう言葉を交わして私と里奈は学校に行くことにした。
という夢を見たのさ。




