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テストでデットorアライブ(4)

「しかし、その”限定発動”って便利だね。」

パペットを倒し、2人は背中合わせで座りながら水筒の水を飲みなが反省会をしていた。

ケインはラルゴのアビリティ”アニマルチェンジ”による跳躍は自分のアビリティ”ブースト”より勢いがあったように感じた。ただし、動物の姿になっていたわけではない。

「タチアナさんがアビリティは型が決まっているわけではないから、自由な発想で使えっていってたからさ。まっなんとなくできるかなって練習してたら、…なんとかなっちゃうもんだよな、…アビリティってオモシロイな。」

”アニマルチェンジ”は自分がよく知った動物にしか変身できないらしい。アビリティは総じてイメージが大事なようでラルゴはまだ昔飼っていた犬にしか変身出来ない。タチアナさんの特訓で本物を見ながらなら猫に変身出来るようになってはいたが、それ以外はまだ無理だった。

また、犬の身体能力は人間より優っているところは多いものの、戦闘に関してだけいえば武器や防具を使える人間の姿の方が有利なことも多い。なら変身しないで動物の能力だけを発現出来ないかって考えたらしい、今回は犬の脚力だけを発現したかたちになる。

「ラルのあの動きを見て、タチアナさんが一番驚いていたのは笑えたよな。」

「…はは、でも普通に発動するよりも効果が出るまですこし時間がかかるのがネックだな。正直、同じタイミングだったらケインならたくさん攻撃できるし。」

「うん、…それで…別の話がしたいんだけど…僕の動き、おかしくない?」

「どこが?」

「って、自分でわかんないから聞いてるんだってば。」

「わけ分からん、…もう少し説明しろよ。」

ケインは少し迷いながら、

「僕のアビリティは”ブースト”っぽいって言われてるじゃない?ただ、過去の記録を見してもらったけど、なんか違うような気がして。どっちかっていうと”ヘイスト(加速)”に近い気がするんだ。」

「でも、ヘイストはほとんど筋力は上がらないって話しだろ。その話、タチアナさんも調べてくれるって言ってたじゃないか。」

「…そうなんだけど、…ラル、実はタチアナさんに話していないことがあるんだ。」

「…わかった、話してみろよ。」

一旦、周りを見渡してパペットが湧いてきていないのを再確認してからケインはアビリティ獲得のときの自分の頭の中に響いた”誰か達”の会話のことを話した。

「…ってことは、2人の神様にアビリティ貰ったってことか?」

「…多分。」

「まあ、それじゃ気になるよな。…うーん、たしかに言われてみると…ときどきケインの姿が見えなくなる気がする。早くて目で動きが追えないだけなのかもしれないけど。」

「そうか…ありがと。あと、ラルの方も気になるんだ。」

「は?」

「僕はラルが倒れるのを見てから、自分の身体に異変を感じたんだ。あの人達の会話から感じて3人目の人ってラルにアビリティを授けたっぽいんだけど。ラルが倒れた原因がアビリティ獲得なら、ラルも…。」

「じゃ、なにか。俺も2つアビリティ貰ったってことか?」

「正直あの時、頭の中がぐるぐるしてたから、本当にそんな会話が有ったかも自信無いんだ。」

「…まあ、いい方に考えろよ。2つアビリティ貰ったかもしれないなんてすごくないか?ウルトララッキーだよ。たとえそうでなくても損はしてないし。」

ケインはラルゴのこんなところを羨ましいと思っているが、絶対言わないようにしている。そんなことをいえばお互い恥ずかしくなるだけだ。

「…だな、そろそろ探索を再開しようか。」

「OK」

「それと、さっきのパペットをへの攻撃、あれやめろよ。」

「なんで?」

「大振りで、隙が大きすぎる。僕が攻撃を逸らさなければ大変なことになってたよ。」

「…結果オーライで、いいだろ。」

ケインはここでラルゴの声が少し変わっていたことを、怒っていたことを気付けなかった。そのことを後になって随分後悔することになる。

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