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ケインとラルゴの生きる道(6)

いつも感謝・感謝です。

そして…

(喜んでいられないよね。)

大広間のどこにも出口がない。黒GMは始めから用意していないのだろう。

やがて2人の前に黒GMが姿を現した。もはや子供の姿ではない、見るモノに恐怖を与えずにはいられない恐ろしい姿だ。毒々しい赤色の肌をした大男で、顔には黒い2つの目があるだけ…返って人型だからこそ違和感を強く感じる。

「マルチアビリティだと!何だあのデタラメなアビリティは!あり得ん!やり直しを要求する!相手は私だ!」

黒GMの頭上に火の玉が生まれる、赤から黄色、青、無色へと色を変える。

(火は温度が高い程、青や透明になるって聞いた事がある)

当たれば、おそらく一瞬で2人とも蒸発するのだろう。

ラルゴを抱えて最大限のスピードで移動し距離を稼ぐ。

「どこへ行くつもりだ!」

いきなり目の前に黒GMが出現する、火の玉も一緒に。」

「終わりだ!」

かわせるはずも無く、諦め掛けたそのとき自分のすぐ目の前にタチアナ師匠、いやアリーが現れ火の玉を打ち消した。

「アリー…」

タチアナ師匠の姿で振り向いたアリーは世界で一番美しいと感じた。切ない視線をケインに投げかける。

「お別れです、ケイン君♡」

アリーはその姿が薄くなりやがて消えてしまった。

「ハハハハハハ、馬鹿な奴だ!弱っていた上にに禁じられている力までも使い追って。ほんの少しの時間を稼ぐために消滅しおったわ!」

さも愉快そうに黒GMは笑い続ける…やめろ。

「…たんだ。」

「んん?」

「約束したんだ、3人で無事外に出るって。」

「約束を破るのはわるい事なのだろう?」

口も無いのに、さもお前達が悪いんだよと言わんばかりの、言い方で聞いて来た…そう。

「僕が弱虫なばっかりに…ゴメン、アリー。」

ケインは抱えているラルゴを見つめる。親友は俺の全てを理解してくれている…そんな笑顔でいった。

「わかってる、…死ぬなよ!」

「ラルだけ生き残らせるなんて残酷な事しないよ、必ず…2人で!」

ラルゴを降ろして黒GMと対峙する。まるで断罪を下すかのように片手を高々とあげて、

「安心しろ、2人まとめてあの世に送ってやる!」

またもや大きな火の玉を作り出してケインに向けて打ち出す。ケインがかわせば後ろにいるラルゴの命はない。

スピードをワザと落としているのだろう、ゆっくりと近づく火の玉を見ながらタチアナ師匠の言葉を思い出す。




(…もう一つのアビリティが強すぎて、ブーストにまで影響を与えている。)




(…上位の存在のアビリティ?あり得ん…)




(…アビリティは神のプレゼント…その力の最大値とは?)




(神の最大値、それは神を超えるものではない、つまり…)




(師匠から、決して使ってはいけないと言われた…、どうなるかわからないと…、怖がっていたんだ!僕は強くなりたかったのに…、世界で一番弱虫だったんだ!そのせいで…)



「何だと!」

黒GMが三歩後ずさる…。火の玉はかき消え、ケインがそこにいる。全身にブーストではない紋様を浮かび上がらせて…。

「アビリティ”ゴッド・エイリアス(分神体)”」

拳で黒GMをぶっ飛ばす!すると、周りの空間が歪んで消え、木々が点在する荒地になった。どうやらあのダンジョンは黒GMが作り出した空間だったようで、元の空間に戻ったらしい。

体から力が抜ける、意識がもうろうとなってきた。

しかし、少し離れた場所に倒れていた黒GMが起き上がってきた、胸に拳の痕が付いているが。

(ヤバイ、起きなくちゃ!)

必死に意識を保とうとする、それが精一杯だ。

「…人ごときに、ここまでやられるとは!」

胸を抑えながらも、しっかりとした足取りで近づいて来る…。

「ケイン!立て!立つんだ!約束を守れ!強くなるんだろう!こんなところで諦めるな!寝るな!一度くらい告白しろ!」

何か、イラっとすることも言われたが、急に意識がはっきりしてきた。

(さすがラル、感謝するよ!最後の一言以外。)

ケインも起き上がり、再度対峙する。

「この大陸ごと吹き飛ばしてやる!」

ケインの目には、強力な防御を構築したその向こう側で禍々しい力が集められて行くのを感じる。

それでもケインは全く心配しなかった。自分がこの相手を倒す事を。

(親友が信じてくれてるんだ!俺にできないはずはない!)

拳に全ての力を集中する。攻撃ポイントは胸。線ではない点だ。力はその一点に集中して分散させない。

全く気配を感じさせず黒GMの前に移動する。元々、ケインはハーティア直伝の”無”になれるのだから防御など簡単にすり抜けられるのだ。神の力にばかり目を向けていて人の力に目を向けないとは、所詮GMのニセモノにすぎない。驚愕の声させ上げさせず黒GMの本体を打ち砕く。

ケインは今度こそ意識が遠のいて行くのを止める事はできなかった。





「…でさあ、結局ヒューズ達二人ともさあ…」

もうすぐララカルの街が見える頃、ラルゴが気落ちしているケインを気遣って軽い話題を提供してくれている。

あれから3日ほど街道の宿にお世話になった。ラルゴが何とかケインを背負って宿にたどり着いて…2人とも倒れ昏睡したそうだ。

…そのとき2人で何とかの川を見にいった夢を見た。なぜか川に近づくと水が勢いよくかかって来て渡れなかったので、もと来た道に返ったという夢だ。

ケインは何故か桶を抱いて眠りながら泣いていたのを宿の人に見られて気持ち悪がられていたが。


(いつまでもこんな気分じゃいけない!)

チョット気分を変えようとラルゴに横になって空を見上げる事を提案する。

「ほーんと曇っていいよな、自由で。」

そういえばラルゴは小さい頃から家を継ぐ事を言われ続けていた、雲に憧れていたのだろうか。

「ラル」

「ん?」

「サンキュ、もう大丈夫だよ。」

「…おせーよ。」

「悪い。」

「ほんとうにいつになったらたちなおるのかおもわずゲームにするところでしたよ。」

「「GM!」」

何故かあの子供のGMが2人の間に寝転んでいた。

「こんかいはさいなんでしたね。」

空を向いたまま他人事の様につぶやく。

ケイン達もまた寝転んで

「「あんたがいうな!」」

とクレームをつけた。

「ぼくとあいつはむかしからなかがわるくてね。」

どうやらこのGMに関係したから狙われたらしい。クレームを追加したが耳に入ったかはわからない。

「なんにしてもゲームにはほうしゅうがつきものなんだよ、これあげる。」

けいんが受け取ったのは小さな水色の曲玉だった。

「”アリー”のそんざいをかきあつめたものだよ。きみがあのアビリティをつかいこなせたらもとにもどせるかもね。」

GMはフワフワと浮かびながら2人に言葉を続けた。

「ちなみに”あいつ”はいきているからね」

戸締りはしっかりした方がいいよと、参考にもならない事を言いながら消えていった。



「アリー、聞こえている?」

曲玉に向かって語りかけた。…返事はない。

「僕が、僕達が必ず元の姿に戻してあげるよ。」

「…行こうぜ、サララさん達が待っているぜ、きっと。」

ラルゴが先に進む事を促しているとき、空から星が降って来た、昼間なのに。

「…”きっと”じゃありませんわ♪」

「サララさん、みんな…」

心配した”遅咲きのすずらん亭”のみんなが迎えに来てくれた様だ…。

ケインとラルゴは整列してみんなに礼をした。


「「これからもよろしくお願いします!」」



(おしまい)

拙い私の初作品、おつきあい頂いてありがとうございました。必ずオチというか笑の要素をいれ、残酷描写は可能な限り排除した、つもりですが…うまく表現出来たかどうか。後、最後なのでチート成分を実装して見ました。ほんとうに作者にとってプロトタイプな作品となりました。


しばらくはこの作品のメンテナンス等をしながら次の作品をプログラムするために修行する所存です。

修行…、特訓…、いい言葉ですね…、問題は私が私にソレをさせる事ができるのか、ですね(笑)。

※報告:次の作品、冒険者の心得その2耐えるべし!を始めました。よろしければこちらもどうぞ、チート系になるかなあ…?

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