ラルゴとマリアの秘密の約束(1)
いつも感謝・感謝です。
ラルゴの語るお話しです。
お天道さま真上に差し掛かる頃、お昼を取るためにケインとラルゴはオープンカフェで昼飯をとっていた。
「ひどい目にあったよ。まったく!紋様のデリートがあんなに時間がかかるものとは。やり始めてから説明しやがってサイラスさん!」
ひとまず心に溜まっていた思いをケインに吐き出す。
先程、ケインに背負われているところで目が覚めて宿に帰る前に昼食を取ることを提案した…ベットに貼り付けられていて、夜、朝とご飯を抜いていたのだ!
「まあ…、お気の毒に。でもなんとかもう一つのアビリティわかりそうじゃん。」
ケインはさりげなく話題をかえたつもりのようだ。まあ、もう気が済んだので気分を入れ替えよう。ケインの方も大変だったらしくタチアナさんが風邪をひいてしまったらしい。
しかもタチアナさんの親戚の子が訪ねて来ているようだ。
「その子美人?」
「…タチアナ師匠そっくりだよ、容姿がね。」
そりゃ早く会いたいな、などと思っていると、
「ラルゴ!それにケイン?」
聞き覚えのある女の声が後ろからかかった。
「マリアじゃん、久しぶり。」
ラルゴは立ち上がって自分たちのテーブルにエスコートする。
「ええと、マリア?」
ケインが驚いている。
「はは〜ん、前に言ってたララカルの冒険者ってケインのことだったか。」
「そうよ。ウフフ、ケインびっくりした?」
ケインはかなりびっくりしているので理由を聞くと、今の服装に驚いているらしい。確か前にケインから聞いた話では町娘といっていたから今のお嬢様風の服装は想定外といったところか。
マリアはショッピングに出た帰りらしい。ヒューズ達の恋の話とか聞きたかったがすぐ帰らなくてはならないらしい、近くに馬車とお付きの者がいるとのこと。
「そうだ、…ラルゴ、ちょっとこないだのことで相談があるの。今晩屋敷に来てくれない?」
「そんな時間に俺みたいなの、入れてくれんの?」
「なんとかするから。」
また、侍女のエリスにお願いするんだろうと思ったが口には出さなかった。
結局、ヒューズ達の恋の結果を聞きたかったので引き受けることにした。