水の精霊メイド(2)
いつも感謝・感謝です。
今回はタチアナが語ります。
(⁉)
軽い浮遊感に意識が覚醒して行く…、しかし、思ったより鮮明に思考が働かない。
(寝起きはいい方なのだが…)
どうやら抱きかかえられているようである。
昨日も馬鹿弟子に抱っこされた記憶がある。なんとか自分を抱きかかえている者をみると…自分だった、すぐに相手に検討がつく。
「気がつかれましたか、タチアナ師匠。」
自分と全く同じ容姿の者にそう言われると非常に抵抗感を感じる。
「こちらもアリーと呼ぶのだから、私の方も呼び捨てでいい。」
「ではそうさせてもらいますね。」
タチアナはベットまで運ばれ寝かされた…。昨日はどうやらあのままソファで寝てしまったらしい。
「昨日は全身ずぶ濡れになりましたし、私が操ったせいで体力が落ちていたのでしょう。高熱で意識がなくなっていたようですね。人間でいう風邪という症状でしょう。」
「ケインは?」
「今、宿に身体に優しい食事を作ってもらえるようにお願いしに行っています。それからこの服は勝手に借りました。裸で介抱していてはご主人様の目の毒でしょうし(笑)。」
この者、性格が悪いと少し感じながらも着替えを手伝ってもらった。
「身体を拭きますね。」
そう言ってアリーは手をタチアナの身体に添えた。そこから温かい水の幕が全身をくまなく包んだ。
(これは気持ちいい…風呂いらずだな。)
水の幕を作っている間、アリーは一回り小さくなっていたが幕を戻すと元の大きさに戻った。服を着ると、
「横になってください。頭を冷やします。」
といって手を額に当ててきた。冷たくひんやりしていて気持ちいい。
「助かる。」
素直に感謝の言葉が出た。
「…一つ確認したいのだが、…」
懸案を、…気を重くさせていることを聞くことにした。
「なにもありませんでした。この姿も先程水の姿から戻ったばかりですよ。」
人の悪い笑みを浮かべてこちらをみる。
(…やはり、性格悪い。)
タチアナは断定した。




