表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/73

水の精霊メイド(1)

いつも読んでただいて感謝・感謝です。

GMと会ったそのあと、ケインは3人で宿に戻った。なんとか日がくれる前に宿にたどり着きケインは自分の部屋に入った。この宿でケインとラルゴは2人部屋、タチアナ師匠が1人部屋である。部屋にはいると手紙が置いてあった。ラルゴからで今日は術師会館に泊ることになったと書いてあった。荷物をおいて、手紙だけもってタチアナ師匠の部屋に向かう。

コンコンと扉を叩くと、タチアナ師匠が開けていれてくれた。こちらの部屋はゆったりとしたスペースがあり机や椅子、ソファもある。隣室に繋がる扉があり2部屋の仕様となっている。もう一部屋は師匠の荷物がたくさん置いてあるのを昨日見せてもらった。

「…すまんが、楽な格好をさせてもらう。」

そう言ってタチアナ師匠はソファに横になった。まだ、疲れが取れていないらしい。

(ねえ、そろそろ出ていい?)

タチアナ師匠の荷物の中から声が響く。

「もういいぞ、出してやれ。」

荷物の中から水筒を取り出し蓋を開ける。中から水の精霊が出て来た。

「ケイン!目を閉じろ!」

慌ててタチアナ師匠が起きて来てケインを後ろ向きにする。なにやらゴソゴソしてから目を開けて振り向く許可が降りた。

「ご主人様♡この格好はどうですか?」

そこにはフェイスタオルを巻いたタチアナ師匠(身長30cm)がいた、いや、師匠と瓜二つの人形のような水の精霊だ。

「…本当にそれ以外の姿になれんのか?」

「基本、この姿か水の姿でしかいられません。この姿で固定化されましたから。短時間なら他の人間の姿になれると思いますけど…。」

元GMの水の精霊はGMのルール違反を犯してしまったらしく、罰として高位のGMに水の精霊に格下げされ、化けていたタチアナ師匠の姿でケインに従うことを命令されたのだ。

「師匠、これからどうします?」

「ふむ、…まだ、ダンジョンの攻略が済んでいないし、アビリティの方も一定の成果をあげて報告しなければならない。しばらくはここから動けないことになるな、さてどうしたものか。」

「この子のこと、報告します?」

「術師会から隠せるなら隠そうと思う。GMに会った事を知られると色々面倒な事になるからな。」

GMとの接触は歓迎されないらしく、紋様術師として復帰をかけたこの時期に会った事が伝わるとマイナスらしい。この宿に入るのもどうしようか散々悩んだ挙句、水の姿に戻ってもらい水筒の中に入れることで事無きを得た。ただし、水筒に入らない分を捨てたためサイズが小さくなってしまった。

「ともかく、名前を決めていいですか?」

「…主はお前なのだろう?なぜ私に聞く。」

「変な名前だと、師匠が怒るでしょ。」

「あたりまえだ!」

「私はタチアナでいいですけど、ご主人様♡」

「絶対やめろ!…もう疲れすぎて力が入らん。」

日中の身体を強制的に操られたため、かなり疲労しているのだが、別の要素が疲れを増幅しているらしい。

「今までの名は使えないから僕に決めて欲しいって帰り道で聞いてから色々考えたんですけど、アリーでどうでしょうか?」

「…悪くないが、理由は?」

「アビリティからとったんです、師匠は紋様とかアビリティとか切ってもきれない関係だと思うから。」

「…まあいいぞ、では部屋に戻ってくれ。少し休みたい。」

「私の名前はアリーですか?気に入りました!ありがとうございます、ご主人様♡」

「ケイン…」

「はい?」

「わかっているだろうな?」

物凄いプレッシャーが師匠から浴びせられる。久しぶりの絶対零度視線だ。

「…わかってます。」

そう言ってアリーと自分の部屋に帰る。

「なにをわかっているんですか?」

アリーがそうきいてきたがごまかす事にした。

「ええと、アリー。この部屋はラルゴって言う僕の親友と借りているんだ。アリーはどこにいてもらおうかな。」

「そうですね、この姿でいるときは人間とほぼ同じ機能を持っていますので寝るところを用意していただきたいです。あと、水の姿なら綺麗な入れ物を用意していただきたいのですが…。皮袋の水筒はあまり…。」

水の精霊にも色々好みがあるようだ。

「じゃあ一緒に買いに行こう。あっ水筒はししょうのところだ。どうしようか?」

「では水の姿で、ベルトの様に輪になって腰にくっつきましょう。」

そう言ってアリーは姿を変えてケインにくっついて来た。

その日は遅かったので、買えるかどうか心配だったが、宿の人に聞いてから空いている店に行ったので買う事ができた。アリーは綺麗な陶器製の器が気に入ったようだが、ララカルの街に持って帰るとしたら、割れてしまう可能性が高いので木の桶にした。

あと、携帯用に竹の水筒を買って宿の部屋に戻る。頼んでおいた夕飯をたべてその日は休む事にした。

(お休みなさい、ご主人様♡)

ケインは自分の呼び方を変えさせようとおもった。

(このまま”ご主人様”だとタチアナ師匠とラルゴになに言われるかわかんないよなー。)

この夜、ケインはサイラスさんが2人の師匠を同時に口説いている夢を見た…。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ