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テストでデットorアライブ(2)

ケインとラルゴは薄暗いダンジョンの中をゆっくりと進んでいた。

「灯りが要らないのは助かるよな〜。」

「まったくだね。」

ラルゴの漏らした言葉にケインは前を見ながら同意の意見を返す。人工ダンジョン(迷宮)は天井面が発光していて、灯りが要らないと説明を受けている。しかし、トラップ(罠)が発動して消えてしまうこともあるらしい。このダンジョンにはいるに当たり、2人が先ず覚えさせられたことは、目隠ししての灯りの起こし方であった。

装備に関していえば、2人とも貸与された皮鎧と硬帽子、棍棒(松明にもなる)、これに予備の短剣を腰に付けている。このダンジョンに出現するモンスターのパペット(人形)は石のような材質で出来ているらしく刃物はあまり役に立たないと聞いている。

2人ともモンスターと戦った経験はない。しかし、野生の獣と戦うことはよくあった。村に野生の獣が現れ作物を襲うことが少なく無かったのだ。特に多かったのがスキンヘッド猪(※)で、畑の作物を我が物顔で食い散らかす上に、近づくと突進して来て相手を吹き飛ばす厄介な相手だった。村の男衆総出で退治することもしばしばあった。村では子供だったし、実質的な村の代表の跡取り息子だったのでラルゴはあまりそういうことの前面に出ることは少なかったがケインはよく前に出た。弓や槍で小物を仕留めたこともある。

ただ、剣の稽古をつけてくれた王国騎士さん曰くラルゴの方が逸材らしい。ケインでは練習試合アビリティなしで全く触れることのできなかった騎士からラルゴは綺麗な一本を取ったのだ。

(僕は、この先こういう仕事で生きていけるのだろうか?)

ケインは自分の実力不足を感じると落ち込んでしまうタイプで、今も前を向いてはいるうちにいつも間にか俯いている自分に気がついてまた落ち込んでしまうことを繰り返していた。

「ケイン、あれっ!」

ラルゴの警戒の声で集中力を取り戻す。少し前方の床面の一部が発光している。そこから、ゆっくりと人型のモンスターがせり出してくる。

モンスターの頭に握り拳大の石を投げつけた。しかし、ぶつかる直前に弾かれパコッと軽い音がした。

「…やっぱり発光が収まるまでは攻撃は効かないんだな、っよっと!」

ケインは発光が収まるのを見計らって、もう一度石を投げつけた。

「いつの間に用意したんだよ…そんなの。」

「迷宮に来る途中で、2、3個ね。一応確認用だよ、実際効かなかったし。来るよ。」

2個目の石は胸にぶつかったがたいして効いていないようだ…。

さあ、始めてのアビリティバトルだ!ケインは気合のこもった声を発しモンスターに突っ込んでいった。

※スキンヘッド猪は野生の動物で、モンスターではありません

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