紋様術(10)
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紋様を描くタチアナ師匠は本当に綺麗だと思う。ケインは床に寝転がって紋様を描かれている間、そんなことを考えていた。
(一生懸命な人って惹かれるんだよね…)
以前よりタチアナ師匠は紋様を描くとき、嬉しさが表情に現れるようになっている。おそらく、一度紋様術師としての仕事を取り上げられたため、紋様を描くことの喜びを再確認したためではと思う。
「ケインよ、一つ問う。お前にとってアビリティとはなんだ?」
「…いきなりですね。」
「私は紋様術に人生をかける。お前はどうんんだ?アビリティはお前にとって人生をかけるだけのものか?」
しばしの時間をおいてから答えた。
「…僕、アビリティが嫌いでした。一部の人にしか与えられない神の恩恵なんて不公平だって。なんで、…父さんを助けるために僕にくれないんだって。それで、そんなことを考える自分自身が一番嫌いでした。」
言葉がまとまらない、と感じつつも言葉はとまらない。
「僕、強さが欲しかったんです。他の誰かに与えられたものではなく、自分自身のちからでの強さが…。でも、アビリティを授かって使えるようになって、ともかく先ずはそれ使ってでも強くなろうってもって、でもハーティアさん達にはまだ全然かなう気がしなくって、でも持ってない人より強くなってるってこと得意になったり、…ごめんなさい。うまく言えません、僕の持っているアビリティのことなのに。」
「それだけで十分だ、今は。」
タチアナ師匠の顔は見えなかったが、声は満足しているような気がした。
「さて、もうすぐ終わる、新しい紋様の力をギャラリーに見せてあげろ。」
周りに集まっているパペット達をギャラリーに見えるのは師匠だけだと思うケインであった。