紋様術(7)
いつも感謝・感謝です。
ハーティア…すずらん亭随一の実力者で”姿隠し”のアビリティ持ち…の言葉がよみがえる。
ケインはアビリティの発動を停止して前に歩を進める。
(…冗談はこのくらいにしてケン・ポーの真髄を伝えますね、ケインあなたは無になりなさい)
パペットの攻撃をかわす、かわす…
(無に攻撃が当たりますか?当たりませんね…)
かわす、かわす…
(ケイン、無になりなさい。街での鬼ごっこの特訓もこのためです。)
かわす、かわす…
(”姿隠し”を持つ私だけが極めることのできたこの技は、…あなたに何をもたらすのでしょうね。)
”姿隠し”をしながら人混みを通ったとしても決してぶつからない足さばき、体さばき…
(無が授ける有…)
かわす、かわす…
(かわす、かわす、かわす…、僕には当たらない、僕は無…)
かわしながら誘導する、2体のパペットが1つに重なる位置に…
(無から有に!)
アビリティを発動して体当たりをかます!2体とも壁に激突した。
こきん、こきんとラルゴの振るう棍棒がパペットの頭部を砕く。どうやらあちらを片付けてきたらしい。
「助かったよ、マジやばかった!」
体が震えている、どうもいつもと違う筋肉を使った様で、あちこちプルプルしている。
「結構、1人でいけそうだったじゃん!」
「無理無理!」
「いや3体でもいけ…」
「「2人とも整列!」」
勝利に湧く2人に厳しい口調の声がかけられた。
「立ったまま動くな!スケッチがしづらい!」
「片足上げろ、片手を地面につけ、上をみろ!」
それぞれの担当の紋様術師が注文をつける。
「ハードだよなこの仕事…」
ため息をつきながらラルゴがぼやく…。
ケインは頷きながら、ふと別のことを考えてた。
(ハーティアさん実力は随一だけとサララさんには頭上がらないから、すずらん亭最強はサララさんだよな。)
変な格好でプルプルしながら…ケインはそんなことを考えていた。