紋様術(6)
ケインは最初に発現した2体のパペットに向かう。アビリティ”ブースト(身体強化)”を使い一気に懐に飛び込みすり抜ける。
2体ともほぼ人間と同じ体型でケインよりは背が高い。振り向くと2体はこちらに、後から出て来た1体はタチアナ師匠達の方へ向かった。
タチアナ師匠は攻撃的な紋様陣は用意していないといっていたが、サイラスのような防御の紋様を実装しているといっていた。なので大丈夫だと判断し意識からはずす。
(2体も同時に相手にするんだ、無駄な思考はいらない)
ケインはケン・ポーと呼ばれる戦闘術を教えてくれたハーティアの言葉を思い出しながら構えた。
(君は武器を使った戦闘に全くセンスがない、キレイサッパリ清々しいくらいに!)これを聞いたときは自覚があったので傷ついた、…ほっとけ。
風を切って振り下ろされる腕を次々とよける。
(だが、サララの鉄球を見事によけるあの動きは、そう、私に近いものを持っていると感じたんだ!だから君に教えようと思う。)これを聞いたとき、新聞は間に合ってます◯◯社と1年は解約しないって契約したので断ります、と言いそうになった…。
いきなり回し蹴りがきた、コマの様に連続回転して追尾してくる。
くぐり抜けざま、軸足を引っ掛け転ばす。
(きっとこれを覚えれば私と同じ高みに登れる、そう、サララの鉄球から逃れられるんだ!)この一言にはチョットだけ惹かれるものがあった、あの鉄球相手の訓練は正直命の危険が…
連続の振り下ろしをパペット2体が同時にしてきた…かなり必死にかわす。
「目の前に敵がいるのにぼけっとするな!馬鹿弟子!」
(…おっと、逆に余計なことばかり考えてしまった。イカン!仕切り直しだ!)
ケインはパペットの攻撃の合間をぬって独特の構えをとった!
そう、ケン・ポーの…。