紋様術(4)
また、お気に入りしてくれる人がいました、嬉しいです。
みなさま本当に感謝・感謝です。
このダンジョンの天井の明かりは場所によって強弱が異なる。比較的明るいところで師匠達の紋様チェックを受けてからしばらく進む。と、またもやパペットに遭遇した。しかし、今度は発光しながら床から出てくる出現方法だったので余裕があった。
(さっきだって、構えていれば問題なかったのにな。)
そう思いながらもケインはラルゴと攻撃の打ち合わせをした。今度はラルゴが先行する。
ラルゴはアビリティ”アニマルチェンジ”を使い小鳥になってパペットの上を旋回する。パペットはうるさそうに見上げているが手を出さない、小鳥は攻撃対象には含まれないのだろう。ラルゴは後ろに回ったところで犬に変身し右手を噛んで引っ張った。しかし、力比べではパペットの方がはるかに上の様でパペットが腕を降るとラルゴ(犬)は宙を舞った。壁にぶつかるまえにまたもや小鳥に変身してパペットの足元に向かう。瞬時に人間に戻って鉄棒で踵をに一撃を加える。パペットが大きくバランスを崩したところでケインが突入し頭を砕く。陶器の様に壊れた頭部の破片の中に砕けたパペットの目があるのを見て、サイラスがまた何かをいってきたが耳に入れなかった。
戦闘のあとは毎回紋様のチェックを受ける事になっている。
今のラルゴの装備は武器の鉄棒を除くと、靴と短パンのみである。ケインも短パンと両手の堅手袋で指先から肘までをカバーしているのと、堅長靴で膝からしたをカバーしているのみである。結構恥ずかしい。
紋様の確認のためリュックは許可されず、荷物は両手に1つづつの袋を持ちその中にいれている。片方は自分のもの、もう片方はタチアナ師匠のものだ。ラルゴは自分とサイラスの荷物を持っている。最初の攻撃に反応が遅れたのもそのためである。その後、ラルゴと打ち合わせをして交互にどちらかが荷物を多く持ち、片方は素早く対応できる様にする事にした。
「ラルゴ、気を抜くなもっと紋様を光らせておけ。」
スケッチブックに何かを描きながら、サイラスの注文が飛ぶ。ラルゴのアニマルチェンジは変身した動物の方には紋様が浮かび上がらない、変身前と変身後にはそれが見えるので、今消え掛かっている発光する紋様を消すなといっている様だ。
「う〜コントロールできないんすけどねえ。」
ラルゴは困った様につぶやいた。
ケインの方もタチアナのチェックが入る。
(…こっちはこっちで変なポーズ取らされるからなー。)
「フラフラするな!変なポーズなどと考えているのか?」
ケインは相変わらずこの人絶対に読心術のアビリティある、と思った…。