紋様術(2)
いつも読んで頂き、感謝・感謝です。
タチアナ師匠の話、クエストの内容はそれ程悪いものではなかった。
「…”非自然体への変化による禁忌抵触”の状態に関する論文が非常に高い評価を受けてな、以前の地位に戻るまであともうすこしといったところだ。」
この前のクエストで禁忌に触れたアビリティ持ちと出会った。タチアナ師匠の力でその者は救われたのだが、師匠はこのことを論文として術師会に提出していた。
「実績が必要なのだ。ここでラルゴ、あるいはケインのアビリティを解析すれば一気に返り咲くのだが、…まず簡単にはいくまい。しかし、2人を絡めばうまくいかなくとも興味を引く事はできる。今回は絶対に失敗は許されない。堅い策でいく。」
そう語るタチアナ師匠の姿は、いつもより気合が入ってみえた。ケインは正直、その姿にドキリとしてしまう。元々超がつくような美人だ、さらにアルパカ40ナイツの制服があり得ないほどにあって見える。
(この人にもこんな姿があるんだ…)
いつも冷静な言い回しを使うし、感情がないのではと思うときもあった。しかし、今のタチアナ師匠は輝いてみえた。ちなみに、この格好なのは戦略なのだそうだ、ミーハーな若手紋様術師達は師匠にかなり協力的になって来ているらしい。
「そこで、以前2人のテストに使ったダンジョンが復活したとの報告があった。あそこは王都に近いし地下1階しかないから、扱いやすいし管理もしやすいという事で早速術師会が調査する事になったようだ。しかし、GMは冒険者にとって天敵だ。現れたばかりでもうしばらくあそこには現れないであろうが、わざわざ手を上げて依頼を受ける冒険者はいない。」
「なるほどね、それで俺たちなんだ。」
ラルゴが納得といったふうに頷きながら言葉を挟んだ。
「…で、ケインどうする?」
「行く!聞くまでもないだろ。いいですよねサララさん。」
そう、あそこのダンジョンはまだクリアしたわけではないのだから。
「もちろんよ。もう、前金は受け取ったし。もう一つの依頼も頑張ってくるのよ♪」
「はい、頑張ります!なっケイン!」
「おうよ、どっちもどんとこいだ!」
「…もう一つの依頼の説明はいらぬのか、…つまらぬのう。」
タチアナ師匠の依頼が普通の依頼である確率は天文学的に低いんだから、…とケインは心の中で答えた。
この週末は、作品全体のメンテナンスをしていたり、次の展開を考えていたのであまり執筆は進みませんでした。
先が気になる読者の方々、申し訳ありませんでした。