ラルゴの初クエスト(7)
感謝・感謝です。
(2人ともいた〜!)
会場には5人の貴族がいて、そのうち知っている人間が4人いた。そのうち2人が男性、2人が女性だ。ラルゴは思わず声をあげそうになった。
「マリアベル・レアルマです、皆さんよろしくね。」
「ソフィーナ・シーマよ。」
「エリス・ジノです。よろしくお願いします。」
顔合わせの挨拶が進む。そんな中、自分の顔色を気にしてルーク師匠が小声で声をかけて来た。
(どうした?)
(昼間あった2人がそこに…、マリアさんとエリーさんが…)
ルーク師匠はホッと息を吐いて、
(…そうか、分かった。)
と言ってドゥンガさんの方に向かった。ドゥンガさんも話を聞いてホッとした顔をした。
やがて顔合わせが終わり、退室するときになって、
「おいラルゴ!お嬢様方がお前の昼間の活躍を聞きたいってさ!来てくれ。」
とヒューズが声を掛けてきた。ルーク師匠に了解をもらって会場に残る。
大人達がいなくなったのを見計らって、5人が笑い出す。どうやら昼間の話は全て聞かれているみたいだ。
「…嘘をついてゴメンなさいね。ラルゴ君。」
エリス嬢が誤って来た。
「悪いのは私なの!エリスを悪く思わないで。私が周りに気づかれないで外に出た行っていったから…。」
話を聞くと、エリス嬢は普段、花嫁修行の一環としてレアルマ家でマリアベル嬢のメイドをしているそうだ。それで今回も来るときはメイドとして働きながら来たのだそうだ。服はエリスの物を借りたのだろう。
ラルゴはどっと疲れた…。一応、不審者扱いになりそうだったことを皆に話すと当の2人は青くなった…。他の3人は大笑いであったが。
苦い顔をしているラルゴに、
「まあ、もう忘れようぜ!お前はそんなちっちゃな男じゃないはずだ!そうだろうラルゴ君!」
といってヘイズが茶化す。
「ヘイズ様笑い過ぎ!エリス様、マリアベル様、もうお気になさらず。」
ヘイズに言葉を返しながら、お嬢様方にはフォローを入れる。
「でさあマリア。本当のメイドだったらラルゴと付き合いたいって思ったかい?」
ヒューズが恋のIF話を振ってきた。強引な話題転換で助け舟のつもりなのかもしれないが、それ以前にこの手の話が好きな年頃なんだろう。
(もう俺を開放しやがれ!)
そんなラルゴの心も知らず、マリアベル嬢は変化球で答えを返てきた。
「先に100点見ちゃったのよねぇ、80点かなぁ。」
首を傾げる皆に気を使い、この答えを唯一理解したエリス嬢が通訳する。
「実はこの前、ユリアベル様はララカルで1人の冒険者と出会っているんです。その方がとても誠実な方だったようでとても気に入っているみたいです。あっこれ、他の人に秘密にしてくれますか、コッチもお忍びだったので。」
「エリー、今はマリアでいいって言ってるでしょ。メイドしないの!それより、ソフィーナは…」
このあと暫くは恋バナで盛り上がる5人であったが、
(抜けるタイミングにがした〜助けてくれ〜)
ラルゴの心の声は誰にも届かなかった…。
お約束の展開、捻りなし、ですかね。




