ラルゴの初クエスト(2)
今回の依頼はギルドクエストなのだとドゥンガさんが歩きながら教えてくれた。
「冒険者のギルドで受け付けた依頼を各パーティーハウスで受けるのじゃ、このとき、今回のように相手がわからぬ事もある。」
「相手が誰か知らないんですか?」
「依頼を受けた冒険者ギルドは知っているだろう。だが、誰が依頼人か、仕事の直前まで伏せられる事はよくある。今回の依頼は狩猟の付き添いということだ、貴族かもしれん。」
「貴族相手に依頼内容が良くなくて引き受けないとか、ここまできて断る事もできるんですか?」
「場合によるが、出来る。最もそうならない人選をするのもギルドの仕事だ、よほどの事がない限り断わる事にならないはずだ。」
「もしかして、その狩猟の付き添いってのの内容もよく知らされてない?」
「そうじゃ。」
(つまり、依頼を俺に教えなかったんじゃなくて、教えられなかったのか。)
やがて高そうな宿に着く。今自分達が泊まっている宿より10倍以上はお金を取られそうな宿であった。
中に入って一室に通された。すでにルーク師匠が誰かと話している。
「おっ、来たな。コッチコッチ。」
師匠に呼ばれて横に並ぶ。
「俺を含めて改めて紹介をしよう。ララカルの街の冒険者パーティーハウス”遅咲きのすずらん亭”のルークと、ドゥンガ、ラルゴだ。今回の依頼引き受けた、万事任せてくれ。」
陽気な声で相手に紹介をした。ドゥンガさんに続きて頭を下げる。
「お引き受け頂いてありがとうございます。ではこちらも改めて、こちらはマドリー家のヒューズ様とご親友のアドラー家のヘイズ様にございます。私目はマドリー家の者でヒューズ様のお世話をもうし使っておりますセバスティアンと申します。他にも使用人がついて来ておりますが、必要に応じてご紹介申し上げたいと存じます。」
羊さん、いや、執事さんて初めてみたなあとラルゴは思った。それより、貴族の2人は服装も、身だしなみもしっかりしていて参考になるなと思った。歳はラルゴより1、2上か?
「ヒューズだ。世話になる。」
「ヘイズだ。よろしくな。」
「顔合わせも終わった事だし、宿に戻ろう。セバスティアンさん、待ち合わせ時刻は早朝4時でいいですね。」
「はい、よろしくお願いします。」
「では、ヒューズ様、ヘイズ様、また明日。頑張ろうな。」
少し軽い言い回しだったが、気にせずにこやかに2人が手を降ったのでルークさんは信用されているのだろう。
宿に戻って打ち合わせだとルークさんに言われて宿に向かって歩き始めた。