ラルゴの初クエスト(1)
少し時間は遡ってラルゴの話です。
宿のそばの公園でベンチに静かに座り鳥を見る。ラルゴは今、アビリティの特訓をしていた。
今回のクエストは、ラルゴのアビリティの訓練を兼ねての軽めのものだという。ただ、ルーク師匠はクエスト内容は必要になってから伝えると言って説明をしてくれなかった。もう一人の同行者、ドワーフのドゥンガさんも教えてくれなかった、暫くすればわかると言って。
(ともかく集中!)
特訓の内容は鳥の観察だ、鳥になって空を飛べるようになると色々と便利だということでアニマルチェンジの新しい変身対象は鳥に決まった。近くの地面にいる雀を見る、枝に止まった鳩を見る、空を飛ぶカラスを見る。
降りてきたカラスが枝に留まったら、嫌がって鳩が逃げていった。カラスが小首をかしげて飛んで行った鳩の方をみていた。
(女の子に逃げられたケインみたいだ。)
村にいた頃、よくあった光景だ。ケインは女の子をいじめることはなかったが嫌われていた。いや、本当に嫌っていたのではなく眼つきが鋭いので見つめられるとコワイからという程度なのだが。
そんな風に修行をしていると、ドゥンガさんがやってきた。
「修行中悪いが来てくれぬか。依頼人が到着したので挨拶に行く。」
(さあ、いっちょ気合いれますか!留守番のケインには悪いけど。)
気合の入りまくりのラルゴはドゥンガのあとをついていった…。