表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/73

両手に花で初クエスト(5)

お気に入り登録してくださった方々…、読んでくださった方々…、作者は感謝・感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。

タチアナ師匠の説明は続く。

「アビリティとは、神や精霊などの祝福、送られたプレゼントだ、自分の力ではない。あくまで大いなる存在から力をもらっているに過ぎぬ。

アビリティはときどき使えなくなるものがいる。それはその神の怒りに”禁忌”に触れたからだと言われている。

アニマルチェンジの場合、モンスターに姿を

変えたときがそれだ。いくつか報告例がある。モンスターは魔神が作り出した眷属だからという説がある。王都に行けばいずれかの紋様術師に説明されていたはずだ。」

つまり、隠していたために知らなくてはならない危険を知らず、使い方を誤ったということか。

「”禁忌”に触れた為に、神の怒りに触れた為にアビリティを取り上げられたのだ。そのままの姿でいるしかあるまい。」

オーガの木こりさんが泣きながら声を上げる。

「なんとかならないのですか?」

「姿の戻し方など知るわけがなかろう。」

「…でも、師匠ならなんとかなるでしょ?」

うっ、とタチアナ師匠は少し呻いた。

「まあ、うむ、調べて見ないことには。」

「流石ですね、絶背の美女で、天才紋様術師なんて師匠しかいません!」

「あっ、当たり前のことを言うな。おまえ、絶対動くなよ!」

タチアナさんはオーガの身体を観察し始めた。ときどき手をかざしてブツブツと呪文を唱えている…。

「…欠損している、…いや、うむ…、これは…、従来の説を覆せるかもしれん…。」

そして、オーガの木こりさんの顔をみながらタチアナさんはまるで断罪の審判官のように冷たく言い放った。

「もしかしたら元の姿に戻れるかもしれぬ、だがかなりの痛みを伴うぞ。しかも失敗して死ぬ確率の方が大きい。…どうするか選ぶがいい。我が紋様術、受けてみるか?」

しばしの間をおいて、オーガの木こりさんは頷いた。

タチアナさんは筆を取り出してオーガの身体に紋様を描く。

「アビリティを活性化してその力を使い切らせる。それまで身体が持つか運次第だ。」

アビリティに反応してか紋様が浮かび上がる。オーガの木こりさんが泣きながら、悲鳴をあげ、転がり回る。

「私は、外を見てるね。」

そういってサララさんは洞窟を出ていった。

ケインはタチアナ師匠と共に成り行きを見守る。

30分ぐらいした頃だろうか。痛みに失神して、ピクピクと痙攣していたオーガの身体が歪み始めた。ゆっくりと人間の姿を取る。

タチアナ師匠が息を確かめた、なんとか大丈夫のようだ。

「バカ弟子よ、アビリティは諸刃の剣だ…。覚えておけ。」

言い方は冷たいが、師匠の声になぜか優しさを感じるケインであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ