両手に花で初クエスト(3)
ケインはサララさんとタチアナ師匠とともに、天然の洞窟の前にいた。オーガの足跡をたどって山の中を歩いて行くと、以外と簡単にたどり着いた。オーガの足跡はわかりやすい上に引きずったようなあともあり追跡はたやすかった。
明かりを用意して洞窟にはいるとそこにはオーガがいた。こちらを見つめながら横になっている。体長が3m近くあるその姿は恐ろしいものだが、肋骨が浮き出ており弱っているのが伺えた。足に木を添えてツタでグルグル巻にしてある。周りには食べ物が散乱していた。
「足を怪我して弱っている見たいね。でもケイン君情けは禁物よ。」サララさんが武器を構えて近づく。オーガは諦めたように目を瞑り横たわった。目から涙を流している。
(情に流されるな…、冷静になれ!)
ケインには何かが引っかかっていた。かわいそうだから?違う。悪さは何をした。畑を荒らして、人を1人…。畑?本当に木こりを殺したのか?周りを見回した。キュウリ、トマト、大根、人参…
(生で食べれるものばかり、…まさか!)
「…あなたは、行方不明の木こりさんですか?」
洞窟内では音がとても響く。小声ではあったが、オーガの耳に届いたようで、驚いたように上体を起こし、なども頷いた。
何かを伝えようと喋るが、牙が多い口のせいか言葉にならない。
「あなたは、うまく喋れなくなった、そして、文字もかけない?そうでしすね?」
泣きながら何度も何度も頷いた。
「そんな事があるのかしら?」
サララさんは驚いていたが警戒を解いていないらしく、武器をおろしてはいない。
「師匠、何か心当たりはありませんか?」
「…一つだけある。”禁忌”触れたのだろう。」
師匠は少し自信なさげにつぶやいた。




