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両手に花で初クエスト(1)

遅れてすいません。

カタコト、カタコト…馬車の揺れが眠りを誘うのにあがらながら集中力を維持する。

今は、依頼人の荷馬車に乗って移動しながらアビリティの修行中である。街の近郊にある村からの依頼で討伐系のクエストである…zzz。

「寝るな!」

と隣の人物に手加減なしで叩かれた。

「…すいません。」

まずは謝る。これが大事だとここまでの道中で学習した。

「誠意の無い謝罪などいらん…、全く鍛えがいのない弟子だ、ラルゴは剣もアビリティも筋が良かった上に礼儀を知っていたぞ。」

…ナゼ?を心の中で繰り返す。

今隣にいるのは2人。1人はサララさん、これはいい。今回の依頼は冒険者ギルドから取得したギルドクエストだ。因みに先日マリアから直接引き受けた仕事はハウスクエストというそうだ。僕の為に軽めの依頼をサララさんが請け負ってくれて、2人で行く予定であった。

だが、なぜかもう1人、ここにいるはずのない人物がいる。紋様術師のタチアナさんだ。

「アビリティは集中力が大事だ。せっかくわかりやすい私が紋様を描いてアビリティが安定したのだから今度は持続的に発動できなくてはいけないのだ。」

「…えっとこの前、他の人に紋様を描いてもらったから師匠が描いたんじゃないですよ。」

一応呼び方は”タチアナさん”、ではなく”師匠”にしてある。

タチアナさんは一瞬狼狽えてから、

「き、昨日メンテナンスしたではないか!だからもう私が描いたようなものだ!そんなことよりもっと集中!」

と黙らされてしまった。

サララさんは修行の邪魔になるからとずっと静かにしている。

両手に花といえば聞こえはいいが…、ケインは昨日のことを思い出していた…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


パーティーハウスの共有フロアでサララさんから今回の依頼のレクチャーを受けていたとき、コンコン、とドアをノックする音が聞こえた。

ケインが玄関の扉を開けて…すぐに閉めた。

「誰?」サララさんが聞いてきた。

「誰もいなです…目の錯覚だから気にしないでくだ、あば!」

蹴飛ばされて開いた扉に吹き飛ばされて奇声をあげてしまった。

「…元師匠を目の錯覚と言うとは…教育が足りていなかったか?」

「アルパカ40ナイツ?」

そこには、あり得ない格好のタチアナさんが立っていた。

「あなたが、サララさんですね。私は紋様術師のタチアナと申します。王都でこの者の師匠をしておりました。まずはこの紹介状を。」

「タチアナさんは絶世の美女ですが、天変地異があろうとこんな格好はしません!ニセ者です!」

「今の発言、前半は事実だが後半は違う、私に似合わない服はない!」

「会話がずれてません?それと…私からいうのもなんだけど…本当にうちに入りたいの?」

サララさんは渡された手紙を読んでから、タチアナさんに少し不思議そうに問いかけた。

「フム、では説明しよう。紋様術師のギルドの老いぼれ達が私から仕事を取り上げたのだ、それも裏から卑怯な手で。故に王都で稼げなくなりこちらで、紋様術以外で研究資金をかせがねばならなくなったのだ。同じ女性という事で、リシェル老師が助け舟を出してくれてな。」

「そう言えば、アルパカ40ナイツのルビーさんはリシェル老師のお弟子さんでしたね。」

「そう、それでアルパパ40ナんとかの原石チームとやらにいれてもらったのだが…。

そのもの達が私の事を心配してくれてな、まずは冒険者のイロハをという事で、こちらを紹介してもらった。」

それは追い出されたんじゃない?とは口が裂けても言えないなとケインは思った。

「まあ、いいですよ。紋様術師なら紋様陣を使えるでしょうから。」

「えっ?えっ?試験は?モーニングスター(実技試験)は?」

「うちは大きなパーティーハウスじゃないから試験はないのよ、ティー君がやれって言うから。雰囲気を楽しませたいっていってたけど、からかってただけよ♪」

「な〜‼」

信じられない事があまりにもありすぎて。倒れてしまったケインであった。


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