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ケインがキライだった日(3)

何が起こっている!

ケインは地面にうずくまってしまった。いうことを聞かない身体を懸命に動かそうとする。まるで金縛りにあっているように自由にならない。玉の汗が全身に浮かび下を向いている顔のあちこちから滴り落ちるのを感じた。

と、頭の中に大きな声が鳴り響いた。

(先に見つけたのは私よ!)

(早い者勝ちだろ!先に印付けてやるぜ‼)

(…まーまー、落ち着いて。取りっこよりわけっこの方が楽しいよ〜。)

((…その手があったか‼))

(冗談だったんだけど…まあいいか、…じゃ僕も。僕はこっちのにするね。)

おーい、あんた達コッチのこと考えてないでしょう?と、つっ込む前に意識が遠のいてきた…。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


(⁉…僕は?)

一瞬、今どこで何をしていたのか記憶が途切れていて理解できなかった。

周りを見回すと、新年を祝う祭りの景色が目に入り、和やかな賑わいに満ちているのが確認できた。

(さっきからほとんど時間が経っていない…みたい。)

今度は体を確認するが全く変わった様子は無い。

「そうだ!、ラル‼」

ラルゴが膝をつくのをみた記憶がかすかにある。思わず叫んで周りを見渡すと、すぐ近くに大きな犬がいた。

その犬は亜麻色の毛並みが美しい大型の犬で、昔ラルゴの家で飼っていた犬にそっくりであった。ただしその顔というか、瞳に見覚えがあった。

「…お前さん、もしかしてラル?」

間違えていたら恥ずかしかったので小声で話しかけると、

「ワン!」

としっかりした鳴き声が返ってきた。

「犬でもイケメンか…、あ、犬だからイケワンか。」

僕の軽口に、何を思ったかラルゴ(犬)はのしかかって来た。

その瞬間、全ての時間の流れが遅くなったような気がした。いや、明らかに遅く感じる。そして、ラルゴ(犬)を軽くかわす。

着地したラルゴ(犬)が不思議そうに首をかしげた…。

「どうやら、お互い神様達から力を授かって、…アビリティ持ちになったようだね。」

「ワン!」

一鳴きしてラルゴ(犬)が頷いた。


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