祝!内定…いきなりクエスト(5)
ケインとラルゴは、大量の蟹型モンスター・キラキラ蟹から逃げるため砂浜から離れ、近くの林の中に身を潜めた。キラキラ蟹はケイン達を追ってくると思ったが、砂浜で塊り頭上のリリカちゃんに向けてハサミを振っている。
「本当に、リリカちゃんを見に来たファンみたいだな。」
ラルゴのつぶやきに、ラルゴはハッとなった。
(そうだ、リリカちゃんを見て集まって来たんだから!)
「リリカちゃん!歌って踊りながら向こう岸まで飛んで行って!」
ケインの言葉の意味を了解したことを伝えるためか、リリカちゃんは両手で丸を作った。「みんな〜‼今日はありがとう‼私の初ステージ!リリカ、みんなのためにラブパワー全力で頑張ります!」
よく通る声でファン?に挨拶をし、先程ケインが見た舞をセリフ付きで踊り出す。
「…ジェンダー、ジェンダー、あなたの心に届いてー。私は女の子なのー!それは私の誇りなのー…」
ゆっくりと湖に向かって行く。キラキラ蟹達はそれを追いかける様に湖に戻って行った。
ただし、1匹だけ砂浜に残った蟹がいた。一番大きく立派で硬そうな甲羅をしている。右手は大きなハサミ、左手は小さなハサミをしている。
なんと、その小さいほうのハサミで2人で集めたキラキラ貝を器用に甲羅に付けているではないか。
「ケイン、あれじゃ今日の収穫はなくなっちまう。奪い返そうぜ!」
ラルゴは戦闘準備を始めた。アルパカ40ナイツのアメジストメンバーは今日帰ったが道具係の馬車が待ってくれている。それでも明日には出発する予定なので今日貝を集めて持って帰らなければミッションは失敗したことになる。
「絶対に持って帰ろう。2人とも無事で。」
後半の言葉は自分に言い聞かせるようにつぶやき、ケインも用意を始めた。
誤解を招かないようにするためにこの文章を書きます。
私はジェンダーのことは専門家ではありません。
パーティーハウスのアルパカ40ナイツが設立された理由を女性の地位向上としているため、啓発活動として歌詞に織り込んでいるという設定です。