祝!内定…いきなりクエスト(1)
いつも読んでくれてありがとうございます。
感謝感激アメジストです。
ラルゴ視点のお話です。
ラルゴは軽いめまいを覚えながら、意識を取り戻した。
(…実技試験、終わったのか?)
今いるのは、パーティーハウスの共有フロアでソファに猫の姿で寝転んでいる。
近くでサララさんが見知らぬ女性と話しているのが聞こえた。
「…本当にサララは変わっていないわね、ハーティアさんが気の毒だわ。」
昨日の話でもしているのだろう、意識がはっきりして来たから人間の姿に戻って起き上がる。
「ラルゴ君、起きたのね良かった、ゴメンねちょっと強く抱きしめすぎたみたいで、本当にゴメンね。」
「気にしてないですよ、それよりこの方は?」
話をしていた女性は美人であった。しかも格好が何か普通で無い、歌手のようなきらびやかさが有った。
「彼女はアルパカ40(フォーティー)ナイツ・アメジストメンバーのシャイナよ、以前私もアルパカのパーティーに入ってた事あるから知り合いなのよ。」
ラルゴ達は、ララカルに来てまだ3日しかたっていないがアルパカ40ナイツの噂は聞いていた。女性だけの冒険者パーティーハウスでアイドル活動もしていると…。
「アルパカ40ナイツの話は聞いてます、この街最大級のパーティーなんですよね。でも、アメジストメンバーって?」
「アルパカ40ナイツのランクよ♪、最高位のルビー、その下にアメジストメンバー、クリスタルメンバー、原石チームって続くの…、ラルゴ君、貴方に出会えたことに感謝!・感謝!これからよろしくね!」
(要するにファンになれってことだよな、この人、押しが強いからケインだったならもう勢いでファンクラブに入れさせられてそうだな…)
そこで、ケインのことと試験のことを思い出した。
「その話はまた今度ね、ケインは?あと試験は?」
サララさんに詰め寄る。
「合格よ、あなた達はうちのパーティーに入ってもらうわ。」
…ぐぐっと押し寄せる歓喜を抑えて、
「ありがとうございます。これから宜しくお願いします。ケインは何処ですか?」
「ここだよ…」
疲れた顔をしたケインが荷物を抱えて扉から入って来た。どうやら宿を引き払って来たらしい、ラルゴの荷物もある。
ケインはシャイナさんのところに向かって近づいて行った。
「リリカさんを送って来ました。帰りに目を覚ましたので少しびっくりされましたけど。それでコレなんですか?」
ケインは1枚のカードをシャイナさんに見せて来た。
「…案外しっかりしてるわねあの子、個人ファンクラブのメンバーカードよ。まだパーティーに入ってないから正式なものではないけどね。まあ、貴方もあの子も試験でコテンパンにされてた仲だし、大事にしてあげて。」
「あの子、合格ですか?一応気になるので…。」
少し赤くなっているあたり、ケインはその子に気を持ったのかもしれない…、それともシャイナさんにかな、奥手だから積極的な女性に弱いんだよな、あれ?
「リリカさんて、もしかしてさっき話していたサララさんの妹さん?」
「そうなのよ、私も気になってたの。リリーはどうなの?」
サララさんがシャイナさんに問いかけた。
「…私だけで決められることじゃないけど、飛翔のアビリティをあれだけ使いこなしてたし、今までの経験からなんだけどOKになる可能性は高いわ。
でもうち敷居が高いから、確実とは言えないからね。」
少し困っている、正直で、嘘は言えないタイプのようだ。
「あっ、それからこれをアルパカ40ナイツのルビーって人から預かって来たんだけど。」
ケインが手紙をサララさんに渡す。
封を開けて読むうちにサララさんの顔が真剣なものに変わる。
「ケイン君、ラルゴ君、ファーストミッションよ、しばらくアルパカ40ナイツのところに行ってもらうわ。」
目をケインに向けると、ケインは物凄い表情になっていた…ラルゴが尊敬する、気合の入ったケインがそこにいた。
(俺も負けてられない!)
ラルゴも拳を握りしめて全力を出す事を心のなかで誓った。