ララカルの街にて…冒険者業に就職(4)
この作品を読んでいただき本当にありがとうございます。
感謝感激雨あられの心境です。
☆ハーティアが語るお話です。
パーティーハウスに入ったケイン達がまっすぐ受付(と言ってもバーのカウンターのようなところ)に向かっていくのが見えた。
ハーティアは2人の後ろから入ったのですぐ近く、ケインの三歩後ろにいた。当然、姿隠しのアビリティを使って忍び込んだのである。
「冒険者のパーティーハウス”遅咲きのスズラン亭”へようこそ。御用はなあに?」
栗色の髪の毛をしたちょっとふくよかだが、愛嬌があって、どこか包容力があって、笑ったとしたらコロコロ笑ってくれて釣られて笑みをこぼしてしまいそうな、そんなことを感じさせる、将来いい奥さんになること間違いな知って感じの若い女性が話しかけてきた。
「わっ、私達はアビリティ持ちのラルゴとケインと言います。本日は、お、御社じゃなかった、きっ、貴社の冒険者のパーティーに参加させていただきたく思いまして、まかりこしまかりました!」
(…ラルゴ君、もう君ホネ状態だよ。…サララも引いてるし。)
絶望に打ちひしがれながらも、ハーティアは希望を込めてケインに視線を送った。
「ラルもういい、かわろう。」
我らがケイン君が前に出て話を引き継ぐ。
「すいません緊張してるんです。改めてお願いします。僕達2人に冒険者になる機会をください。」
ケイン君はそう言って頭を下げた。
「王都からの新人さんね。でも良くここが見つけられたわね。うちは小さいし、”こんにちは冒険者のお仕事さん”にも応募も出していないからだれかに教えてもらったのかしら。」
ヤバイと思って、脱出の用意を始める。
「ハーティアさんからここが本命だと言って連れてこられたんだけど…。」
その途端、サララの体から黒いオーラのようなものが見えた気がした。「ティーが…全世界の半分を敵に回すアノオトコがここにきているのね。」
もの凄いことを言われたと、動きを止めてしまったことを後悔したが後の祭り。サララはカウンターから出来て自分の足元をさした。
「3秒あげる…3、2、1」
「ゴメンなさいゴメンなさいゴメ…ゲコッ⁉」
サララの指差した足元の位置に時間内に姿を表して土下座をして誠意を見せたが…踏まれた。
「ヤッパリ、ハーティアさんついて来てたんだ。」
ケイン君が半眼で…見下ろしている!
(ここは先輩冒険者として威厳をしめ…)
「あと100回!」
サララの命令に従い、踏まれたままの姿勢で謝り続けた(爆涙)。
「ケイン、なんか聞いていたのか?」
ラルゴ君が信じられないもの見るような顔をしながらケイン君に聞く。
「イヤ、今朝からハーティアさんやたらハイだったし。昨日のパーティーハウスのこと報告したときもダメダメだった事を聞いて安心ていたし、多分…」
「ここに足を踏み入れるのが怖くって、この子達をダシにしたんでしょ。」
ちょっと、力を入れるのを強めないで弱めて欲しいですね。
「ちなみに、ナゼ全人類の半分を敵に回したんですか。」
「アビリティを使って、こともあろうに私の妹の着替えを覗いたのよ!」
「誤解だって!あれは不可抗力だべしっ!…」
強く踏まれすぎて喋れなくなってしまった…。言論の自由よ、いずこへ!
「…えっと、ラルと近くでお茶して来ますから、ごゆるりと。」
にっこり微笑みながらケイン君は出て行った…。当然ラルゴ君も。
「あと997回!」
「さりげなく1桁増えてません?」
結局、ケイン君達のことを話し合うのは翌日に持ち越しとなりました。
私?もちろんホネを通り越して灰になりました。
王都の名前はまだ思いつかないのに、ララカル(街の名前)はすぐに思いつきました。不思議ですね。




