テストでデットorアライブ(8)
ケインは素早くあたりを見渡して、パペットと、ラルゴ(犬)の位置を把握した。結構な高さをひらりと降りる。そして一気にダッシュしてラルゴのところまでかけよる。
「壁から離れて!」
注意してから振り返ると、轟音が鳴り響いてキューブの壁が崩れパペットが現れた。
「無事でなによりだけど、出来ればあれを連れて来て欲しく無かったよ。」
「壁を壊してくれたからもう用無し!!ラルかたずけて。」
「俺か!しかも2体!」
「無理?」
「むりむーり。」
「じゃ、2体2で…」
ケインはパペットから距離を取るために、走りながら幾つか策を話した。
「OK!アビリティ発動!」
ラルゴは犬に変身してパペットの1体に向かう。
パペットは2人で倒したものより頭1つ分大きいし速さもある、力の強さは見ての通り重いキューブを軽く殴り飛ばす。かたちの違いは腕のさきが爪のようなものではなくってトゲトゲのある鉄球とこぐらいだ。腕は振り回すより直線上に射出することが多い(チェーン付きで巻き戻される)。
(僕達に戦闘技術はない!けど!)
1体のパペットに向かい攻撃を交わしてすり抜け、ラルゴを追いまわすもう1体に近づく。ケインに誘導されたパペットが追いかけてくる。ラルゴもケインの方に向かってきて、2体のパペットが同時に鉄球を射出する!
(今!)
いまから行おうとすることを強くイメージする。
(アビリティ全開!!)
自分に向かいくる鉄球を棍棒で打ち付けて軌道修正し、ラルゴに向かう鉄球に回り込む。
犬のラルゴに向かって打ち出された鉄球の軌道は下向きのため先程より強く打たなければならない。
(いけー!ホームラン!)
かきーーんと金属バットのような乾いた金属音を残して鉄球はパペットの方に向かう。
見事命中!2体とも胸に大きな穴が空いてズシンと大きな音を立てて倒れた…。
「ういなー…ええとにんげんのほう!…たぶん。」
…随分と大雑把な勝利宣言が聞こえた。