残酷。それでもその行為に至福の時を感じる私は何なのだろうか。
※注意
はい、知らぬ間に投稿作品が増えていましたが。
この作品は私ではなくメンバーのマッドの作品です。
かけることにはかけますが、何故人の名前で投稿したんでしょうか?
ともかく、作者名はこちらのミスです。
失礼しました。
ぬいぐるみを抱き締めて天井を無心で見つめる君に何となしに告げる。
「君の愛は非道く残酷だね。」
手にしているぬいぐるみを非道く愛おしそうに、そして憎々しげに強く抱く。
丸く柔らかな造形と素材はその強く歪んだ感情に簡単に形を変える。
向けられた感情を表すように。
だって、そうじゃないか。
「君はそうしてそれを抱くだろう。だがそれも束の間の夢のよう。微睡みの中の夢のよう。直ぐに消える儚い行為。」
傷つけることがない分それは非道く残酷なのだ。そう言えば、君は目を細めてよく解らないと伝えてくる。
「君は1ヶ月後果たしてそのぬいぐるみを同じように抱き締めているのだろうか。その腕の中に今君の抱えているぬいぐるみはそこにいるのだろうか。部屋の隅に座ってはいないかい?」
初めて手に入れたその瞬間からほんの少しの間。誰よりも愛おしそうに抱き締め、汚れも傷もミリ単位で許容することはないというのに、その後には傷つけることも捨てることも許さないが抱き締める事も触れることもなくなる。
傷つける行為はないがその分だけ行き場のない不満が渦巻いて、身を滅ぼさせられる。
「だからね。君の愛は非道く残酷なんだよ。」
君はその手に抱いたぬいぐるみを形が解らなくなるほどにまで抱き締めて、そばにあったクッションを私に投げつけた。
(だから…)
君は残酷だというんだ。
いつか、私もそうなると解っていてもこうして抱き締められているぬいぐるみである限り、離れることもできないのだから。