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17.奔流〈上〉

ペレウス、邪宗の秘蹟を目の当たりにし

過去の屈辱が義侠心をよびさますこと

 曲輪の地面が、人馬の屍からにじみ出る血によって赤い水溜まりとなっていた。うめき声がどこかから聞こえるから、他にも生存者がいるのかもしれない。


(ぼくは……生きている?)


 いまだ信じられず、ペレウスはまたたいた。重い屍と血臭にうずもれながら、かれはどうやら命拾いしたようだった。

 アングル語の命令を聞きわけられたかれだけが、最初の致命的な矢の斉射に対応して盾でふせぐことができたのだ。

 直後にいきなり、顔面を射ぬかれた衛兵隊長の体が覆いかぶさってきて、ペレウスはつぶされるように倒れこんだ……それがよかったのだ。かれに折り重なった衛兵たちの死体が、鎖かたびらを着た肉の壁となってくれたから。


 だが、安堵などできようはずもなかった。

 頭上の賊兵たちはようやく射ちおろすことをやめたようだったが、それにもかかわらず、悪夢はいまだ継続していた。

 ふたつの門の落とし格子が上がる音が聞こえ、そして忌まわしい馬蹄と鉄靴の音がした。

 重騎兵をふくめ、賊兵たちが曲輪のなかに入ってきたのだとペレウスは悟った。いきなり、細く聞こえてきていたうめき声が血も凍る叫びに変わり、それきりぷっつりと止んだ。


(とどめを刺して回っているんだ。立たないと……)


 立って戦えば殺される、それは間違いない。だが、あいつらが来るのを待っていたら、一矢も報いられず死ぬのだ。

 命乞いするにしろ、戦って雄々しく死ぬにしろ、立たねばならない。


 奮起し、死体をおしのけて立ちあがった――と思った。

 それは幻想だった。気づけば、あいかわらず息を殺し、死体のなかで震えている自分だけがいた。


(立てない)


 奥歯が鳴るのを必死にこらえながら、ペレウスは愕然として考えた。ぼくはこんなに臆病だったのか? 心も体も、萎縮しきってしまっている。少年はぎゅっと目を閉じた。


(ばか、立て、立て。どれだけ死んだふりをしようと、賊兵が間近で生死を検分しに来たらばれるのは必至なのに)


 しかし、結果としては、そのためらいがしばしかれを助けた。瀕死の者にとどめを刺してまわる賊兵がペレウスのもとに来るまえに、賊の首領の声がはりあげられたから。


「プレスター! おまえのダマスカス鋼の剣をここへ持ってこい。それと愚図ども、城内に置いてある荷物のうちから〈悪思の扉〉を運んでこい」


 ペレウスはおそるおそる薄目を開けた。呼ばれ、馬から降りて歩みよっていくのは、ヴァンダル風の両手剣を抜きつれて肩にかついだあの重騎兵の指揮官だった。

 二ガズ(メートル)はある背の高い男で、そいつの鎧も兜も黒、手にした剣も黒。

 黒い剣――夜のような、黒曜石のような大剣。


(ダマスカス鋼?)


 ダマスカス鋼で造られたヴァンダル風の剣など、ペレウスはみたことがなかった。そいつが耳ざわりな軋む声でアングル語を発した。


「〈扉〉が開くのか? 今宵は新月じゃないことを忘れていやしまいな」


「おまえこそ忘れているだろう、プレスター。新月そのものは条件ではない。

 必要なのは闇だ。近くに炎がなく、日輪も月輪もみていないとき、われらの神は応えるのだ。このとおり雨は止みかけているがまだ空は曇っており、太陽も月も姿はない」


「わかったよ、ジオルジロス」


 アングル語でなされた賊たちの会話に、そのとき噛みつくようなファールス語が割って入った。


「ジオルジロス……古代に使われた名のひとつだな。蛮族の言葉で話していてもそれが貴様の名だと知れたぞ、悪党め!」


 落とし格子の向こうに、ふたりのジン族の姿がみえた。賊の首領と、両側から賊兵にはさまれて拘束されたファリザード。

 ファリザードは両腕をつかむ賊の手にあらがって身をよじろうとしながら、涙をあふれさせた目で、許さないとばかりに賊の首領をにらみつけていた。

 賊の首領――ジオルジロスというジンが、おもしろがるような表情になった。


「うむ、古名だ。この名の者はもうわたししかいない。

 ではわたしがジンの古老だとも察しはつくだろう。わたしはおまえの父の倍をはるかに超えた時間を生きているのだぞ。それなのにその口調、イスファハーンの姫は礼儀というものを知らぬのか」


「無為に長生きしたのみで信義のかけらももちあわせぬ輩につくす礼儀などないっ、とうの昔に、貴様は砂漠とともに干からびているべきだった!」


 衛兵たちを殺されたファリザードの怒声に、ジオルジロスが冷たい微笑をうかべた。


「薔薇の家の生まれにしてはなかなか気の荒い子犬だ。そういえばおまえの母方はホラーサーン公の妹であったな。〈剣〉の姪なら、このじゃじゃ馬ぶりも納得がいく。

 薔薇の公家と剣の公家のかけあわせとは面白い。本来の探し物は片鱗もみつからなかったが、この地に来た甲斐はまずまずあったな。最後にこんな戦利品を手に入れるとは。

 おっと、そうがなるな。これからめったにないものをみせてやるから、黙ってみていろ。そら、来たぞ」


 四人がかりで賊兵が、籠にはいった何かを運んできた。ファリザードを引きずるようにして、のこりの賊たちが曲輪のなかにふみこんでくる。


 そしてその何かは、曲輪の地面に置かれた。死んだ衛兵たちのかたわらに投げ出されるようにして。ごとんと、重々しい音がした。

 ペレウスも、屍のはざまからそれをみてとることができた。

 巨大な鳥の卵にもみえる、楕円形の黒い球体だった。直径は一抱えほどの大きさで、黒琥珀にも似てわずかに透きとおっているが、中心はけっして見透かすことができなかった。ゆらゆらと、黒い煙のようなものが内部でうごめいている。不吉な力をペレウスはその球体に感じた。


「……なんだ、それは……」


 ペレウスと心を同調させたように、ファリザードが球体をみつめながら息苦しげにたずねた。ジオルジロスが答える。


「なにといっても、ダマスカス鋼の玉だ。わが神の力をこめた宝器だよ」


 またしてもその魔法の金属かとペレウスは思い――ふと疑念を抱いた。


(……ダマスカス鋼は鳥の羽根なみの重さしかないんじゃなかったのか?)


 運ばれてきたとき、それは四人の男にかつがれており、とうてい軽い物質にはみえなかった。

 ファリザードの表情にもおなじ疑問が浮かんでいたのか、ジオルジロスは「ダマスカス鋼の本来の利用法を知らないのか、小娘?」といった。


「軽く鋭利な刃に鍛えられる物質とだけ思っていたのかね?

 この金属の最大の特徴は、魔術の(ばい)であることだぞ。魔法を起こし、起こした魔法をこめておける。閉じこめた力を呼び覚ます方法も、別のダマスカス鋼との接触だ」


 ジンの古老があごで指し示す――〈扉の宝玉〉は、衛兵のむくろが矢傷から流す血溜まりにひたされていたが、そのとき不気味に収縮したようにペレウスにはみえた。

 いや、気のせいではなかった。黒い玉は心臓のように鼓動を打ち始めていた。地面に溜まっていた血液が、黒い宝玉の表面を這いあがっていき、球体のすべてをおおう前に吸いこまれて消えていく。ず、ず、とすする音さえも聞こえはじめた。ペレウスは怖気だった。


(血を飲んでる……(ヒル)のように)


「この宝玉は命を吸うほど重くなり、力をたくわえる。

 そろそろよかろう、プレスター。やれ」


 ジオルジロスがうながすと、重騎兵の指揮官がうなずいて大剣を抜いた……それもまたダマスカス鋼の剣だった。ヴァンダル風ではあったけれど。

 プレスターと呼ばれたそいつが、ダマスカス鋼の宝玉にダマスカス鋼の剣先を擬し――貫いた。


 宝玉の輪郭がぶれ、ぐにゃりと歪み、そして溶けた。

 闇色の液体が広がっていく。半径一ガズ(メートル)の黒い円が曲輪の地面に展開していた。

 ペレウスもファリザードも、凝然と声もなく見入っていた。ジオルジロスが満足気にうなずいて、曲輪に馬をひいてきた軽騎兵たちをふりむいた。


「扉が開いたぞ。もっとも近いオアシスを死の泉に変えてつなげた。

 さあ行け、騎兵ども」


 オアシスを死の泉に変える――ペレウスは思い当たった。


(あの泉だ)


 今日、雨が降るまえに立ちよった砂漠の泉。塩辛くて飲めなくなっていたあのオアシス。


(ぼくらがきた道の途中に騎兵を送りこむって……これは……)


 最悪の想像が心にふっと浮かぶ――ジオルジロスのつぎの台詞が、その危惧が正しいものであったことを証明した。


「逃げた人夫どもは早くわれわれから離れようと馬を集めて急行していったそうだ。そろそろあちらに通りかかるころだろう、ひとりのこらず始末しろ」


 命令によって賊の軽騎兵たちが列をつくり、馬をひいて続々と黒い水にとびこんでいく。

 黒い水はタールの底なし沼でもあるかのようにどろりと揺れてかれらを呑み、だれひとりとして吐き出さなかった。

 三十名あまりの軽騎兵の大部分がとびこんでいったのを確かめてから、ジオルジロスがむきなおった。


「そういうわけで悪いな、ファリザード姫。やはりだれもかれも徹底的に口を封じさせていただくことにした」


 身動きのとれないファリザードが「殺してやる」と声を震わせた。


「――貴様らにはかならず罰をくだしてやる、邪教徒」


 ファリザードはいまだ昂然と顔を上げ、ジオルジロスをにらんでいた……だが変化はあった。いましがたの超自然の光景と、いよいよおちいった救いのない状況に、その瞳にいまではおびえの色がちらつきはじめていた。

 それでも彼女は強気に、あるいは強気をよそおって吐き捨てた。


「ぜったいに捕らえて父上の法廷で裁かれるようにしてやる!」


 それはせめてもの矜持を保つためと、死んだ臣下たちのための言葉だったのだろうけれど……わざわざ面とむかって告げたのは無思慮な強がりというしかなかった。(だめだ、ファリザード)とペレウスは肝が冷える思いでそれを聞いていた。


(人夫たちを一度逃がしてこちらを油断させた……衛兵を殺したあとから、邪悪な力をもって先に逃がした人夫たちを始末した……

 きみの目の前にいるその狡猾なジンは、イスファハーン公家に対し、平然とつばを吐いている。きみを傷つけることも、なんとも思わないかもしれないんだぞ)


 果たせるかな、賊の首領ジオルジロスは彼女に醒めた目をむけていった。そろそろこちらも片付けるかとでもいった調子で。


「きゃんきゃんと騒がしいことだ。先々のことは知らんが、今日の罰はわたしがおまえに与えよう。奴隷として売るならば、いささかその態度を矯正しておく必要もあることだし。

 ジョナサン、この姫を教育するように。顔は避けろ、売り値が落ちる」


「いつものようにやりゃいいんでしょ、ジオルジロス」と重騎兵のひとりが進みでた。屈強な体格のその男は篭手(こて)をはめた拳をにぎり、少女のみぞおちに無造作にたたきこんだ。

 前のめりに体を折ったファリザードの瞳がみひらかれた。

 彼女の顔色がいっぺんに土気色に変わる。足の力が抜けたようにすとんと地面にひざをつき、彼女はぱくぱく口を開けた。呼吸が吸えないかのように。


「ぁ…………かはっ…………?」


「大人の力で胃を殴られるのははじめてだろう。身の内にしみわたるその苦しさをよく覚えておけ。手間をかけさせるなら、それを何度でも味わうことになるぞ。

 おまえのこれからについてだが、ほんとうのところイスファハーン公に引き渡すつもりはない。奴隷として売ってもそこそこの儲けにはなる。ジンの子供にはめったにお目にかかれないし、そのうえイスファハーン公家の女児となれば、育ったのちはファールス帝の後宮への献上物にされるのが慣例というような極上品だからな」


 その絶望的な宣告すら聞こえないのか、ファリザードは腕をつかまれたままへたりこみ、丸めた背を震わせて苦痛に悶絶している。小さな身にかけられていくジオルジロスの声は、あまりに淡々としすぎていて、温情というものを微分もふくんでいなかった。


「われわれ傭兵ばたらきにはげむ者にとっても、金よりはさすがに命が大事でな。

 たしかにイスファハーン公はおまえという愛娘の身柄をひきとるためなら、だれよりも多額の身代金を出すであろう。しかしながら、われわれがうかつにかれに接触すれば、かれは取り引きが終わるやいなや全軍をくりだしてでもわれらを追跡し、捕らえて縛り首にしようとするだろう。ジンの怒りとはそうしたものだ。制約がなくなったとたん復讐に走る。

 そういうわけでわたしは、これ以上この地にいるのは危険だと判断した。われわれはここから速やかに去る。おまえの衛兵は死に、荷かつぎ人夫たちもこれから死ぬ。われわれがおまえを連れていったことを知る者はいない」


「わ……わたしを……どこ、へ……」


「おや、しゃべれるか?

 遠国とだけいっておこうか。おまえのような、血筋が高貴で見目のよい子犬であれば、ヘラスの都市の議員なりヴァンダルの王侯なり、大金をはたいて買ってくれる客をみつけるのは造作もないのだよ。

 和平派の筆頭であるイスファハーン公も、消えた娘が敵地に拉致されて虐待されていたと知れば、主張をたちまちひっこめるだろう。戦争は続き、さらなる血がふりまかれ、それはわが神の力をさらに取り戻させるだろう。われらに傭兵としての稼ぎ場を提供するだろう」


 ジオルジロスがそうまとめたとき、ファリザードの腹を殴った重騎兵が、甲冑をがちゃがちゃならしてかれに歩みよった。耳ざわりなアングル語で首領に話しかける。


「おかしら、お願いしていいですか。このお姫様の面倒は(しつけ)ふくめておれがみておきますから、役得ということでちょっと味見させていただけませんかね」


「だめだ。そいつは大事な商品であり、純潔性(べカーラット)を残しておけばそのぶんだけ高く売れる。強姦がしたいならほかの女にしろ、ジョナサン」


「そんなすげないことを。

 おれが好みの種類の()にしばらくありつけていないことは知っているでしょう。おれはこのくらいの年齢相手でないと勃たないんですよ。

 せっかく奪ったこの城には子供がいなかったので、同僚のやつらが城の給仕女相手に腰をふってるのをしらけて眺めてなきゃならなかったんですよ。そこへいまになって、こんな極上品を間近にみせつけられるなんて、とてもとても辛抱できやしませんって。

 膜が無事ならいいんでしょ? ほかの楽しみ方をしますよ。ちょっとだけ好きにさせてくれるなら、次もその次もおれのぶんの略奪品分配はなしでいいですよ。

 ねえ、すこしだけ。たのんますって。触るだけでも。どうせいっぺんくらいは売る前に処女膜をきちんと検分しなきゃならないでしょうが」


 獣欲をおさえかねて、息荒くしつこく食い下がる部下に、ジオルジロスがうざったそうに眉をしかめた。

 とうとう肩をすくめて賊の首領はいい捨てた。


「壊さない範囲でやれ。まかりまちがって姫の膜を破ったなら、おまえの頭の鉢を叩き割ってやるぞ。必要ない傷を体に残しても殺す」


「おう、礼をいいますよ」ジョナサンが声に喜びをにじませ、「ではさっそく」といいだした。


「……おい、すぐに手をつける気か?」


「我慢の限界ですからね」


 その賊兵はいそいそと身を返してファリザードのもとへ寄っていく。ペレウスは震えながら顔を伏せた。みるに忍びなかった……違う、この期に及んでも足が萎えたままの自分が情けなくて、面をあげられなかったのだ。

 だが、ほどなくして、「いやだ、触るな」と少女の声が聞こえてきた。抵抗しているらしく、先刻よりずっと弱々しいがもがく気配――それから、「黙れ」とジョナサンのアングル語が聞こえ、同時にまた殴打の音がとどいてきた。

 直後に少女のえずきの音。


「吐きやがった、こいつ」ジョナサンが心底楽しげにつぶやいた。「加減してやれよ、かわいそうに」と賊兵たちがいいながら合わせて笑っていた……混じって小さく、ファリザードのすすり泣きが聞こえてきて、ペレウスはショックを受けた。


 ぼくはこの光景を知っている、とかれは奥歯をかみしめた。

 のしかかってきたセレウコスのあぶらぎった目。無理やりいいようにされる屈辱。どうしようもない本能的な恐怖。


 ――おなじなんだ、いまのファリザードはあのときのぼくと。


 ――ぼくはあのとき、失禁することで助かった。屈辱と引き換えにもっと大きな屈辱をまぬがれた。


 ――でも、彼女が嘔吐しようとどうしようと、あの賊たちは手を休めそうにない。


 ――彼女がなにをしようと助からないし、だれも彼女を助けない。みんな死んだんだから……ぼく以外。


 ――ぼく以外。


 拳を握りしめる――左手にまだ盾を持っていることに気がついた。そして右手に、鞘に入ったままのダマスカス鋼の刀〈七彩〉(ハフト・ラング)をも。


 その感触が引き金だった。瞬間的な意志の力をかきたて、ペレウスは四肢を突き動かした。

 まだ左手に持っていた盾を地面につっぱり、片ひざを立て、口に鞘をくわえて〈七彩〉を抜き、駆けだした。


(これは狂気だ、狂気の沙汰だ) 理性がどこかで警鐘を鳴らしていた。(だからなんだ、もう走りだしてしまった)


 ペレウスは全体重をかけて刃をつっこんだ。しゃがんだ体勢からふりむこうとしたジョナサンの首筋に。

 ほかの賊兵たちは、あんぐり口を開けながらもあわてて反応していたが、かれのみはファリザードの下穿きを脱がせるべく没頭しており、ペレウスに気づくのが遅れていたのだ。

 鎖かたびらごと頸動脈をダマスカス鋼が切り裂いて、血が冗談のように噴き出し、宙に赤い橋をかけた。


 剥いた目玉でペレウスをみつめながらくずおれた男の向こうに、ズボンの紐をゆるめられて下腹部をあらわにされかけたファリザードがいた。唇が胃液で、頬が涙で汚れていて、うるんだ目が状況の変化についていけず呆然としていた。


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