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封印の門  作者: 冬泉
第一章「冒険者集う時」
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封印の門-02◆「破邪の魔剣士」

■ジョフ大公国/宮殿/訓練所→大広間


 エリアド・ムーンシャドウ――『阿修羅』を帯びる“魔剣士”と言った方が一般には判り易いのだろうが――は、ジョフ大公国が首府ゴルナの王宮の庭で鍛錬に勤しんでいた。


 コーランドにて漠羅爾バクラニの宝刀『震電』の奥義“重破斬”を見出して以来、日課には“気”の鍛錬とも言うべき、新たなメニューが加わっている。『震電』の剣尖唯一点に集中した“気”の力を解放することなくそのまま維持し、剣の刃の上を移動させる。そのくり返しによって“気”をより長く持続させ、自在に制御するすべを会得する。


 ある意味、直線的に作用することが多い“雷”の力を持つ『雷電』と異なり、『震電』の持つ“重力”の力は、自在に制御することができれば、より大きな可能性を秘めているように私には思えた。同時に、まともに制御できなければ、危険極まりない“力”となるであろうということも・・・。そして、こうした“気”の制御は、『雷電』にとっても、新たな“力”を見出すきっかけになってくれるだろう。そのためにも、こうした日々の鍛錬は欠かせない。


 そう、私の目指すものは、いまだ遥か彼方にある・・・。


「・・・そう簡単にはうまくならぬな。・・・が、まぁ、焦っても仕方あるまい。

 ・・・少し早いが、行くとするか。」


 呟くように言って、二振りの剣を鞘に収める。


「・・・ふぅ・・・」


 精神を統一するように深く息をする。

 そして、緊張した身体をほぐすように拳法の構えを取り、ゆっくりとした左右の連突きから、左足を軸に反転して右の回し蹴り。そのままくるりと一回転して、流れるように一連の動作を終えると、以前よりだいぶ短く切っている髪をかき上げる。


「・・・良い天気になりそうだ。」


 真っ青な空を見上げ、しばし彼方に想いを馳せる。


「・・・そう。旅はまだ、終わらない・・・。」


 小さく呟くと、私はゆっくりとした足取りで大広間へと向かった。


          ☆   ☆   ☆


 待っていた騎士に案内され、大きな樫のテーブルの置かれた大広間へと入る。まだ誰も来ていないだろうと思っていた大広間には、すでに先客がいた。


「・・・おはよう。」


・・・あいかわらず、早い・・・な。


 窓辺に立ち、遠くの空と山並みとを眺めていたヒラリーに、私はそのように声をかけた。




 「魔性の瞳」の主要登場人物の一人、エリアドの登場です。「魔性」から六年過ぎ、彼も多少は丸くなってきた・・・でしょうか? ・・・余り変わらないかも知れませんね(笑)。

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