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封印の門  作者: 冬泉
第二章「開戦前夜」
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封印の門-17◆「戦力の結集」

■ジョフ大公国/宮殿/宰相の部屋


「任せろ!」


 レアランの言葉を受けて、グランは勢い良く席を立った。


「部隊の緊急出動だ! 定数割れでもかまわないから掻き集めるだけ投入する。戦力の逐次投入は避けたいが、錬度の低い第四連隊は予備兵力とし主力は中央軍とする。LAG(親衛騎士団)も当然出撃だ。俺は直接陣頭指揮を執るが敵の陽動の可能性も考え、カイファートには戦線後方を含め全体の把握を頼みたい」


 そして、グランにしては珍しく、敢えてレアランに気を使わせないために珍しい台詞も用意した。


「この緒戦でジョフの軍隊の有り様を諸国に見せるぞ!!」


 だが、大げさな台詞の割には極めてグラン自身は冷静だった。


“出来れば楽に勝ち、無為に兵の命は失いたくないものだが・・・そうも行かないのが戦と言うものか・・・”


 己自身の命を戦いに掛けるなら何も厭わなかったが、多くの将兵を巻き込むことには、グランは強い抵抗を感じた。


               ☆  ☆  ☆


「・・・むろん、我らにできることがあれば。」


 エリアドはレムリアの顔をちらりと見て小さくうなづき、レアラン姫の言葉にそう応じた。


“・・・それにしても、ジョフの軍隊の有り様を諸国に見せる──ね。”


 小さく微笑んで、グランの言葉に続ける。


「・・・そういうことであれば、“守護者ワーデン”たる御二方はともかく、私やケイン殿のように、まがりなりにも“他国”に所属している者は、表立ってはあまり派手に動かない方がよさそうですね」


“・・・とすれば、こちらの役どころは“遊撃隊”といったところか。”


「まぁ、あちらの出方次第・・・になるのでしょうが」


“・・・彼ら──黒のアルカナたちが、絡んでいなければよいのだが。”


 とそこまで考えてから、エリアドは、あの夜の彼女たち──黒の女王と黒の巫女の言葉を思い出す。


『・・・貴方たちの活躍に敬意を表して、私たちはこの地を去りましょう。』

『もうこれ以上、・・・私たちがこの地の戦いに関与することはありません。』


 それはゴルナ奪還の夜。宮殿最深部の“喪神の宮”の跡地で、彼女たち二人と交わした言葉だ。その言葉が真実である保証など、どこにもありはしないのだが、しかし、それでもエリアドには、その言葉が嘘とは思えなかった。


“・・・もっとも、彼女たちの言った“私たち”が、“黒のアルカナ”全員を指しているとも限るまいが・・・。

 だが・・・、少なくとも、あの二人の関与はあるまい。”


 そう思えた。


「・・・あるいは、“龍泉峡”の御三方は、ある程度、このことを予想しておられたのかもしれませんね。

 もしそうだとすれば・・・。先に彼らの元に行き、話を聞いておく方がいいのではありませんか。」


 エリアドは静かにそう続けた。




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