表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
封印の門  作者: 冬泉
第二章「開戦前夜」
17/32

封印の門-16◆「悪鬼の侵攻」

■ジョフ大公国/宮殿/宰相の部屋


「遅れて、すまない」


 真摯に詫びる言葉を口にすると、ヒラリーは空いている椅子に腰を下ろした。にこにこ笑いながら、ディンジルも彼女の行動に倣う。


「お待たせしました」


 最後に入ってきたレムリアは、丁寧に頭を下げると椅子に座った。不思議と、部屋の雰囲気が柔らかに変わっていくのだが、これも“人の和”を大切にするレムリアならでのは力なのか。


「ケインはまだみたいだけど、後で詳細はこちらから話しておくので、話を始めてもいいんじゃないかって思うけど?」

「確かに。貴重な宰相殿も時間を、我らは唯でさえ浪費しつつある。話を進めるのは賛成だ」

「他の皆様は如何でしょうか?」


 話を纏めるように、レムリアが聞く。


「方々。思うに・・・」


 レムリアの言葉を受けて話し始めたカイファートの言葉は、喨々と吹き鳴らされる角笛の音によって遮られた。


「む。これは警告の角笛。何か大事が起きたのか。」


 冷静にも壁に立て掛けてあった己の剣を手に取るのと、伝令が扉を叩くのが同時だった。


「入れ。」

「報告です! 強力なオークの襲撃団レイダーが水晶の霧山脈より現れ、平野部に侵攻中との報告が西の砦よりありました! その数、一万は下らないとのことです!」

「ふむ・・・一万とはな」


 低く唸るも、流石は偉大な宰相。躊躇したのは一瞬だった。


「大公女殿下。即刻必要な手立てを取らねばなりません」

「はい、判っております」


 毅然として顔を上げ、レアランはグランとカイファートに言った。


「遊撃軍の第四連隊に連絡。訓練を切り上げて公都郊外に集結のこと。中央軍と飛翔軍の出撃準備。指揮は──大戦士殿。あなたに御願いします。それから、コーランド軍司令官のレスコー卿に、至急わたくしが話たいと伝えて下さい」


 レアランの瞳には、強い輝きが宿っていた。


「カイファートさま。龍騎聖の方々にはわたくしから事態の説明に参ります。出来ましたら、戦力が出払う公都の防衛に力を貸して欲しいと、御願い致します」

「宜しいでしょう。わたくしは、戦える者全てを武器庫に送り、公都防衛の為の予備戦力を集めましょう。それから、魔導士に命じて騎士団領と王国に急をつげましょう。コーランドのラーライン女王陛下は、必ず更なる援軍を出して下さろうかと思います」

「御願いして下さい。手遅れになってからでは、どの様な助けも無駄となります」

「判り申した」

「心苦しい限りですが──皆さまも、ご助力頂けると助かります。伏して御願い申し上げます」


 深々とレアランはこうべを垂れた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ