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navy moon ー月はいつも丸いー  作者: A.O.C.DESIGN
第五章 Dessert (タイトル未定)
21/24

第二十一話 テスト走行です

「はい!じゃーみんな、自己紹介するわよ。」


「なんでお前が仕切るんだよ。マナ。」


「知ってるでしょ?こういうの、あたしが一番慣れてるの。」


「はい。私は、ルナです。」


「ルナ!いきなりっ。」


「ルナさん、名前だけでは少し情報が不足しています。」


「そうね、レオン君。見本を見せてあげて♡」


「え、ちょっと待って!ダメよサラサラ、その振りは!」


「自己紹介します。

レオン・ヴァイス。

20歳、ドイツ出身。

工業高校でCAD設計とモデリングを専攻。

趣味はモータースポーツ観戦。

音楽はEDM、ダブステップを聴きます。

パティシエの技術や表現にはとても興味があります。」


「……」


「……長いっ!あと早い!何言ってるのかわかんないのよ!」


「マナ。文句言うなら、お前がやれ。」


「え?あたし? ふん、しょうがないわね。観てなさい。」


「あ…」


「え。ルナ、どうかしたの?」


「あ、ごめん、そういえば私、本名ルナじゃなかった。」


「あー!それ今言っちゃダメなやつ!」


「え?ルナって本名じゃないのか?」


「ルミエールさん、大丈夫よ。気にしなくて。これはまだ、本編じゃないからね。」


「テスト走行デス。」


「あ…」


「え、今度は何?ルナ。」


「たぶん、誰も名前、呼んでないよね。ローラン。」


「……」


「……影、薄っ!」


「誰がハゲだ、薄いんじゃなくて、剃ってるんだよ。」


「ルミエールさん、よく気がついたわね。

ローラン君、自己紹介やってみて。」


「オレは、ローラン・ベルナール。

23歳。

大卒っす。

文学部で、古典専攻。

…特に、詩を愛しています。

…そう、ヴィクトル・ユーゴーや、シャルル・ボードレール…」


「はいはい!長くなるからそこまでー。」


「おいこら、マナ、まだ全然紹介になってないだろ。」


「ローランの言葉、私は好きよ。」


「ルナ、本当ありがとう。

そう言ってくれるのは、お前だけだよ〜。」


「ルミエールさん、私もわかるわ。

ローランの感性は特別よね。」


「サラサラ先生も、ありがとう〜。」


「ちょっと、私はサラサラじゃなくて、サラよ。

サラ・アズール。」


「はい!ではー、先生のプロフィールは、あたしマナから。

コホン。

本校を主席で卒業。

一流ブランドのチョコレート・メーカーに就職。

その後、独立して個人ブランドを立ち上げる。

現在、マーケティングを学びながら本校の講師を務める。」


「コースから外れたのデス。」


「レオン、ストレートすぎるわよっ。」


「あ、だ、大丈夫よ。

レオン君、言葉をオブラートで包むってわかるかしら。」


「オブラートは紙デス。言葉は包めません。」


「レオンの素直なところも、私は好きよ。」


「ルナさん、ありがとうございます。

そのキレイな声で言われると、とても心が和みます。」


…ーン。


ルナの目が泳ぐ。


「私は、みんなのこと…」


…ブーン。


「あれ、なんか飛んできた。」


「…はっ!」


サラが、僅かに視線を上げる。


ガタン。

パタッ。

サササー…

バタン!


「あ!ルナー!...行っちゃったわ。

一体何よ、どうしたのよ。」


「ん、あーカメムシだ。」


「…うわ!ローラン、あんた手で掴む?それ!」


「…慎ましき虫、道をゆく蟻…」


「似合わないからやめてっ!」


「ルナさん、僕は追いかけます。」


「あ、それでは、今日はここまでね。」


「はーい。

じゃ、みんなまたねー。」


「おつかれー。」


「…あれ?

あたしは?

ちょっとー、あたしの自己紹介はー?」



レオンが追う。


「ルナさーん。」


ルナは外。


光を浴びる。


タッ。


タッ。


タッ。


ルナは、歩くように走る。


頭の上にお団子。


ほどく。


金色の髪が広がる。


ゆっくりと。


空には太陽。


風がそよぐ。


パリの街並み。


ルナは、振り返らない。



「追いつきました。」


ルナの横にレオン。


ルナは、見ない。


止まらない。


「やっとね。でもこれからよ。」


レオンは右手で顎に触れる。


「これから、お昼デス。」


歩く。


パリを。


Ooh-la-la,


Ah-la-la.

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