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navy moon ー月はいつも丸いー  作者: A.O.C.DESIGN
第四章 Fromage 悠々たる旅路
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第二十話 変わるよ

「ねぇ、新しい作業着、これどうかしら?」


カタログ。

写真を指差す。


エルアンは二度見る。


「ん?これ?

いやー、どうだろう。」


「N.A.V.Y.らしくて良くない?」


「わざわざ海軍に寄せなくてもいいだろ。」


「あなた言ったじゃない。

意味を変えてやるって。」


「言ったけどさ。」


クレールは付箋を付けてカタログを閉じる。

はっとする。


「あ、いけない。

忘れていたわ。

手紙が届いているわよ。

クアメさんから。」


「なんだって?

すぐに持って来てくれ。」


エルアンはクレールを追う。



窓。


外の光。


古い時計。


カチ、カチ…



かさ、かさ。


バナナの葉が風に揺れる。

光が照りつける。


「それって、海軍?」


カイが胸元を見る。


「あぁ、この刺繍のことだね。

海軍じゃないよ。

昔は憧れたけどね。

映画を観て。」


「違うんだね。

それじゃ、どういう意味なの?」


「自然な農業と葡萄の庭。

意味を変えたいんだ。

NAVYの。」


エルアンはカイを見る。

カイは首を傾げる。


「海軍もさ。」


「…そのうち、変わるよ。」



…カチ、カチ。


音が戻る。


ポ、ロン。

ポ、ロン。


静かに音が増える。

エルアンは目をゆっくりと開く。


机の上。

手紙と写真。


クアメから。



『ただ駄目になるよりは、試した方が良い。

あなたの畑の知恵を借ります。』


写真。


新しい苗、稲穂の列、細い水路。

枯れ草が広がる地面。


写真。


土に触れる手。

水を流す手。

バナナの葉を割く手。


写真。


村人たち。

堂々としたクアメ。

青年。

見開いた目。

固く閉ざした口。

カイの面影。



ポ、ロン。

ポ、ロン。


クレールが紅茶を淹れる。

小皿にチーズと菓子。


羊皮紙の本。

波打つ皮の上。

『秋の日のヰオロンのためいきの…』


クレールがページをめくる。


「…うーん、この言葉、何かしら。」

「ん?何だい?」


『月に代わってお仕置きよ。』


「…何だろな。」


本をゆっくりと閉じる。


「ねぇ、新しい作業着、あれでいいでしょ?」

「いやー、どうだろう。」


バン!


扉の音。


タッ、タッ、タッ。


足音。


「ただいま!」


ルナの声。


「お父さん!

アフリカのこと、

もっと聞かせて!」



窓の外。


赤い空。


大地に沈む太陽。


細い月。



鳥が旋回する。



静かな時間。

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