表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
navy moon ー月はいつも丸いー  作者: A.O.C.DESIGN
第三章 Plat principal 収穫のあじわい
16/25

第十六話 続く道のり


カイとアヤンダ。


アヤンダの腕が伸びる。


カイの肩と、スマートフォン。


…カシャ。



ブルン、ブルル…


カイがバスのドアを閉める。


アヤンダがバスを走らせる。


バスを見送る。



都会のビルが立ち並ぶ、賑やかな通り。


カイはバス停の前に立っている。


照りつける日の光が、足元にだけ影をつくる。


通りの向こうを、子供が歩く。



裸足。


頭の上には、高く積んだバゲットの籠。


右手に木の枝の杖、左手に新聞紙の束。


胸を張って、堂々と。



カイは背筋を伸ばす。


歩き始める。


一歩。


溝のないスニーカーの底。



通りを進む。


人の波を縫いながら。


鳴り止まないクラクション。


どこからともなく聞こえる人の声。



『人材派遣』


受付カウンターの前のカイ。


書類を見る担当者。


深くお辞儀をするカイ。



担当者が優しく尋ねる。


これからどうするのか、と。


カイは恥ずかしそうに答える。


カカオを作り、チョコレートも作りたい、と。



カイの携帯が鳴る。


カシャ。


担当者とカイが並ぶ。


その向かいに携帯をもつ職員。



建物を出るカイ。


軽い足取りで通りを歩く。


立ち止まって標識を見る。


左に曲がる。



『ビール工場』


事務所に入る。


しばらくして出てくる。


辺りを見回す。



木の下で昼飯を食べているヤオ。


ヤオが叫ぶ。


周りから集まる人。


カイを囲む。



カイの肩に触れる者、手を握る者、帽子を掴む者。


ヤオはカイの前で片足をあげ、両手をパーにしている。


やがて皆が横一列に並ぶ。


カシャ。



手を振りながら立ち去るカイ。


立ち止まり携帯を見る。


太陽の位置を確認する。


また歩き出す。



ゴー…ゴン、キーン。


『機械工場』の大きな金属音。


作業を中断して並ぶ人。


カシャ。



『建設現場』


ガガガ、ドルルル。


現場監督とカイ。


カシャ。



『レストラン』


カシャ。


『スーパーマーケット』


カシャ。



カイは歩く。


右に曲がり、左に曲がり、また右に…


やがて、雨が降る。


土砂降り。



カフェの前で雨宿り。


カフェの客がカイを呼ぶ。


首を傾げながらカイは店に入る。


男がカイの前に立つ。



踵を上げて、後ろにスーっと滑る。


足がもつれる。


慌ててカイが支える。


二人は笑う。



雨が止む。


カイはお辞儀をする。


店を出る。


店の中で男が手を振っている。



ブルル。


カイのポケットで携帯が震える。


画面を見る。


電話をかける。



パー、パー、ブー、ブー。


車が真っ直ぐ並ぶ大通り。


早足に歩く。


ビルの中、事務所の前まで。



『カカオ栽培支援チーム』


深くお辞儀するカイ。


右手を差し出すリーダー。


両手で応えるカイ。



街並みが赤く染まる。


暗くなるビルの谷間。


南からの風。


カイは正面で受ける。


ひるまずに歩いて行く。


右側の教会で鐘が鳴る。


ガラーン、ガラーン。


歓声が上がる。


花びらが舞う。


カイは一瞬立ち止まる。


だが、歩く。


左へ曲がり、歩く。


足が少し重くなる。


振り返る。


また前を向き、歩く。


目の前に、月。


大きい金色。


足早になる。


また立ち止まる。


水たまり。


カイは足を揃える。


大きくまたぐ。


水たまりが揺れる。


カイの背中が映る。


次第に小さくなる。


柔らかい風が水を撫でる。


深い紺色の上。


金色の輝きが揺れる。


ゆら、ゆら。


霧笛が鳴る。


ボー。


街の喧騒をかき消していく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ