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第十二話 ひとかけら
窓。
村が赤く染まる。
その上の、濃紺の空。
月が昇り始める。
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飛行機の雲。
右から左へ。
車が通る。
左から右。
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窓を見つめる横顔。
目をゆっくりと、閉じる。
カチ、カチ。
徐々に音が小さくなる。
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テレビ。
アフリカのニュース。
鉄の刃物。
幼い子。
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チョコレート。
飛び跳ねる。
走り出す。
笑う。
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テレビを切る。
目を閉じる。
一拍の間。
少女の記憶。
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小さな両手に、チョコレート。
パキッ。
ひとかけら。
小さな腕を振る。
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幼い絵。
パステルの色。
黄色い太陽。
焦げ茶色の曲がった木。
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ー ルナ、これはどう?
ー ふくー、ふくーってなるー。
ー こっちは?
ー しゅーん、ろわー、ちろ。
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ー ビーントゥバー?
ー あぁ、まだ余り知られていないが。
ー アフリカへ行きたい。
ー いつから、いつまでなの?
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カチ、カチ。
音が戻る。
机に両肘を置き、手を組んでいる。
ひたいを支えている。
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窓の外で、月が少し高くなっていた。




