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第48話『星を焦がす意志』

 ボイドクラウドの中心核崩壊後、艦橋には一時的な静寂が訪れていた。


 だが、ナビスの警告は止まらない。


《警告:微弱ながら残存波動反応あり。クラウドの断片が自律活動を試みています》


「……完全消滅じゃないってことか」


 朔夜は静かに息を吐いた。


「ゼロス、どうする?」


「小規模な群体になっただけだ。だが、放置すれば再び拡大する可能性がある」


「封印プロトコル、続行だ」


 アストラ・ヴェールのサブシステムが、空間封鎖用の光子ネットワークを展開する。


 銀河の夜空に、再び網の目状の封印陣が広がった。


 やがて、ナビスの報告が響く。


《残存波動、すべて封鎖完了。クラウド断片、活動停止確認》


「……これで一段落だな」


 朔夜は操縦桿から手を離し、深く座席に体を預けた。



 戦闘後、アストラ・ヴェールはアステロニア=ゼロの上空に静止軌道を取った。


 艦内では損傷箇所の修復作業が進められ、リィナとナビスが連携して点検を行っている。


「表層装甲の一部を交換すれば、戦闘能力に問題はないわ」


「内部コア系統も安定しています。ただし、主砲のチャージ効率が若干低下」


 それを聞き、朔夜は腕を組んだまま思案する。


「補充資材……地上拠点から引き上げるか?」


「いや、今は急がないほうがいい」


 ゼロスが静かに口を挟む。


「本体修復よりも、次に備えるべきだ。あのボイドクラウドは単なる前兆──次に来るのは、もっと異質な存在かもしれない」


「……わかってる」


 朔夜は、窓越しに星空を見上げた。


 その視線の先には、微かに歪む星間空間──異質な波動の名残が、かすかに脈動していた。



 同時刻、地表の仮設基地でも静かな緊張が続いていた。


 採掘班のアスファは、ヴォルカナイトの精製ラインを調整しながら、ナビスと連携して資源運搬計画を進めていた。


「このエネルギー反応……やはり通常のヴォルカナイトとは異質だ。銀河標準の設備では完全制御できないかもしれない」


「星自体が異質だからな。ここは、特別だ」


 リィナは、資源管理モニターを見つめながら呟いた。


 そして、その片隅に小さく表示される新たな異常信号──


《未確認小規模魔力波動、北東区域にて検出》


「……また何か、いる」


「ボイドクラウドの残滓か?」


「わからない。だが、慎重に行動すべきだ」


 朔夜は静かに命じた。


「探索班、編成しておけ。無理な接触は避けるが、星の異変は放置できない」


「了解」


 アステロニア=ゼロ──

 この星は、まだ何もかもが未開拓で、未知だった。


 そして、その未知の先には、きっとさらなる脅威も、可能性も眠っている。



 再び静まり返った艦橋。


 朔夜は、ゆっくりと拳を握った。


「──何が来ても、この星は守る」


 それは、かつてただ星を見ていただけだった少年が、銀河に向かって立てた、確かな宣誓だった。



《ログ:読了ありがとうございます》


感想やブックマークは、物語の“銀河航路”を確定させる大切な観測点です。

あなたの感じたことが、次の物語の推進力になります──ぜひ一言でも届けてください。


また、更新情報や制作の裏話はX(@hiragiyomi)でも発信中です。

フォローしてもらえると、ナビスも喜びます。


《次回座標、設定中……》

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