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第23話『遺構に潜む意志と影』

【連絡:本日分の更新予定を送信します】


おはようございます、朔夜様。

本日も『宇宙艦で異世界に転移したら、俺の愛機が神機扱いされてる件』をお読みいただき、誠にありがとうございます。


以下、本日の更新スケジュールとなります。読了後の行動計画にお役立てください。


《本日更新予定》

▸ 第23話(本話)7:00公開

▸ 第24話:14:00頃予定

▸ 第25話:17:00頃予定

▸ 第26話:20:00頃予定

▸ 第27話:22:00頃予定


※時間は予定値であり、更新速度はナビスの処理負荷に依存します。ご理解ください。


それでは、未知の遺構と新たな人物たちの登場をお楽しみください。




 アステロニア=ゼロの地表に降り立ってから三時間。俺とリィナ、そしてナビスが制御する調査機群は、黒柱の根元に広がる“地下構造”の存在を確認していた。


「確認します。地中約28.2メートル下層に、立方体状の空洞。構造体反応あり」


 ナビスの報告と同時に、地面がわずかに震えた。

 ズィロで覆われた空間──魔力の一切が通用しない“死の領域”。その内部に、俺たちは足を踏み入れようとしている。


「装備チェック完了。気圧安定、放射線レベルも安全圏」

 リィナは迷いなく機械式ブレードを装備し、俺に続いた。


 黒柱の根元──そこにあったのは、朽ちたように見える金属の台座。そして、その中央に浮かび上がる、淡い光の楕円。


《認証コード再確認完了。“主権者”コードを保持している限り、外殻層は開放可能》


「……やるしかないな」


 俺が手をかざすと、光が反応した。空間に走る縦の光条。続いて地面が螺旋状に開き、内部へのアクセス路が姿を現す。


 真っ暗な階層。だが、その奥から、かすかに“誰かの声”がしたような──


「……聞こえましたか?」

「いや。……気のせいだろう」


 降下開始。



 地下遺構は思った以上に整然としていた。まるで整備された軍施設のように直線的で、銀白色の壁面には古代の回路らしき文様が淡く光を放っていた。


「構成材質……一部ナノセラミック系複合。現代の技術水準では再現不可能です」


 ナビスの報告に、リィナが静かに呟く。

「こんなものが、誰にも知られず放置されていたなんて……」


「いや、誰かが“敢えて”放置していた可能性もある」


 通路の奥に、扉。自動開閉式のようで、俺の接近に反応して開いた。


 その先に──人影。


「……誰だ?」


 即座にリィナが構えるが、相手はゆっくりと両手を挙げて無抵抗を示す。

 

「やれやれ……こうして静かに潜っていたというのに、帝国の“主権コード持ち”と遭遇するとは」


 銀髪を無造作に束ねた青年。眼鏡の奥で鋭くも楽しげに光る瞳。


「名乗ろうか。“調査学術補佐官”アスファ・グリーダ。ナビス君の旧型プロトタイプに関する研究記録で論文を書いた者だ」


「君は……帝国の人間か?」


「ま、名目上はそうだが、好きに動いてる。ここの遺構も個人的な調査中だったのさ」


 この場所に、すでに人間がいた。しかも“ナビスを知る者”。


「君、主権コードを持ってるんだろう? その艦、“アストラ・ヴェール”──まさか、起動可能な状態で?」


「……ああ」


 アスファは舌を巻いた。

「マジか……本物の“神機”を動かせるパイロットに出会う日が来るとは」


「……神機?」


「ここの遺構はただの施設じゃない。星系規模の“力場制御ネットワーク”の中枢だ。ズィロで干渉されない“絶対制御領域”を作り出す兵器……いや、もはやそれは神の領域だ」


 ぞくりと背筋が凍る。


 そのとき──


《警告:地上に複数の艦影接近。識別信号──帝国評議会使節団所属》


「ようやく来たか……めんどくさい奴らが」



 遺構から戻ると、地上にはすでに帝国の高機動艇が着陸していた。


 出迎えたのは、深緑の軍制服に身を包んだ男。顔立ちは整っているが、どこか冷たい印象を与える。


「はじめまして、男爵候補・天城朔夜殿。私は帝国評議会直轄書記官、セルジュ・ラヴァル。以後、お見知りおきを」


 機械のような礼儀。だが、その視線はどこか試すように揺れている。


「アストラ・ヴェール……稼働中の艦として確認済み。未登録の主権コード保持者が現れたことで、帝都では“特別案件”として君を記録した」


「……特別案件?」


「君の存在は、政治的に非常に“重い”──つまり、扱いを誤れば内乱を招く可能性があるということだ」


 そう言った彼の背後から、別の使節が一歩前に出る。

 

「朔夜様。恐れながら、セラフィエル聖制帝国の預言文に、酷似するお名前と特徴があると……」


「……ああ、聞いてるよ。俺が“神の器”ってやつなんだろ?」


 会話が一瞬止まり、リィナが眉を上げる。


 だがセルジュは動じなかった。

「──その件についても、我々は中立を保つ立場です。セラフィエルの思想に同調する意志は、今のところありません」


「ただし」と彼は続けた。

「君が帝国貴族として相応の立場に立ち、政治的に“安全”であることを示せば、我々も支持の方向で動ける」


 つまり、力を見せろということだ。


 俺は言った。

「ならば……その前に、“俺の星”の中身を確認させてもらおうか」


 アステロニア=ゼロ。

 そこに眠るのは、兵器か、神か。

 それとも──世界そのものを変える、なにか。



読んでくださり、ありがとうございました!


ついに遺構の内部へと突入し、新キャラクターも続々登場──物語のスケールがさらに広がってきました。

帝国とセラフィエル、それぞれの動きが加速する中で、朔夜の立ち位置がどう変化していくのか、ご期待ください。


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次回もどうぞ、お楽しみに。



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