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第16話『銀河貴族の紋章と誓約の席』

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 帝都からの返信は、わずか一日後に届いた。


《条件付き受諾を確認。アマギ・サクヤ殿に対し、“臨時男爵”の地位を付与する》


《特例措置として、艦の保有および運用権は個人の裁量に委ねられる。ただし、軍事的暴走や治安破壊とみなされた場合、爵位は即時剥奪され、艦は帝国軍管轄下に置かれる》


 この文面は、一見“承認”に見えて、実際は“監視”と“制限”の継続だった。

 だが、それでも──俺はこれで、“帝国に名を刻んだ”ことになる。


 この日を境に、朔夜・アマギは正式に帝国貴族──辺境臨時男爵としての認可を受けた。

 それは銀河社会において、政治的・軍事的な正当性を得るということでもある。

 同時に、全方位からの注目と干渉を受けることも意味していた。



 式典は、帝国側から選出された中立地──辺境星ダリエルにて執り行われることになった。

 ダリエルは軍港としても知られる要塞都市であり、地表の大半を防衛拠点と議会施設が占めている。民間人の出入りは厳重に管理され、帝国でも数少ない“政治的無風地帯”だとされている。


 俺たちがアストラ・ヴェールで星系外縁部に到着すると、すぐに帝国艦艇の迎えがつき、厳重な識別プロトコルの下で入港が許可された。


 ナビスが淡々と報告を続ける。


《地上施設“セレス・ドーム”に式典会場を確認。会場規模は貴族中位階級の承認式としては異例の規模です。出席者には帝都騎士団関係者の名も見られます》


「帝国も、本気ってことか」


《はい。あなたを“形式的に認める”のではなく、“利用可能な存在として保有する”段階に進んだ証左です》


 式典が始まる前、俺は控室にて帝国儀礼服に袖を通した。

 黒と紺を基調とした礼装は、俺のような部外者にはいささか窮屈にも感じられたが、着てしまえば不思議と気が引き締まる。


 リィナがさりげなく襟を整えながら、ふと呟いた。


「……似合ってます。嫌味じゃなく、本当に」


「ありがとな」


 その声が、少しだけ緊張を和らげた。



 会場は、白銀の装飾が施されたホールだった。

 天井には透過結晶で作られたドームが広がり、外の星空が美しく映し出されている。

 中央に浮かぶ魔力投影の立体紋章──それは、帝国が承認する爵位者の証だった。


 階級ごとに分かれた席には、すでに百名以上の参列者が着席していた。

 その中には、帝国本庁の監察官、貴族評議会の代理人、そして外交観察団名義の貴族代表までが含まれていた。


 開式を告げる合図と共に、空中スクリーンに俺の経歴が表示される。


《氏名:アマギ・サクヤ/出生:不明/所属:不明艦籍アストラ・ヴェール/魔力適応率:Cランクを大きく超過/登録特例区分:異星来訪者》


 異星来訪者。

 その言葉が会場に響いた瞬間、空気がひときわ張り詰めた。


「本日、銀河帝国の承認をもって、辺境地帯防衛および艦隊管理を担う資格者として、アマギ・サクヤ殿を“臨時男爵”に任ずる」


 宣言と共に、空中に映し出された紋章が変化する。

 それはどの貴族家とも関係のない、完全に独自の意匠──

 流星の軌道を思わせる弧と、艦影を模した鋼鉄の意匠が融合した、“俺だけの家紋”だった。


 貴族たちの視線が一斉に俺に注がれる。

 驚き、嫉妬、侮蔑、そして興味。


 その中で、俺は前へと歩を進めた。


「この爵位を受け、俺はこの銀河の一角に責任を持つ存在となる。

 だが、俺は“誰かの命令”に従うためにここに立っているわけじゃない」


 ざわめき。

 それでも俺は構わず、視線を正面に向けて言葉を続けた。


「俺が守るのは、人だ。そして、俺自身の意志だ。

 それを妨げる存在があるなら──たとえ帝国であっても、俺は従わない」


 静寂が落ちる。

 誰もが、次の反応を窺っていた。


 その中で、最初に動いたのは、イレーナ・フローヴェルだった。

 彼女は立ち上がり、ゆっくりと、だが確かに拍手を送る。


「まったく……本当に厄介な“貴族”を生み出したものね、帝国は」


 皮肉交じりの微笑と共に、拍手の音が広がる。

 第三貴族連合の代表者たちも続き、やがて会場の半数が儀礼的な賛意を表した。


 その光景は、まるで“新たな時代の幕開け”を象徴しているようだった。



 式典終了後。

 控室に戻った俺に、ナビスがデータを提示する。


《正式な爵位登録が完了。アマギ家の紋章は銀河貴族データベースに追加されました。また、臨時爵位とはいえ帝都直轄区での航行許可も得られます》


「つまり、公式に“貴族社会の門”をくぐったってことだな」


《はい。同時に、今後あなたを利用しようとする者も増加します。敵意とは限らず、好意もまた、武器として機能します》


「面倒な世界だな」


 それでも、俺は立った。

 この銀河で、俺という“存在”が、確かに認められたのだ。


 ──なら、次はこの地に“自分の旗”を立てる番だ。



《告知:次回更新スケジュールについて、確認を推奨します》


──本艦(=作品)は、原則として22時に新たな航行記録(=投稿)を行います。

読者各位の情報取得効率を最大化するため、X(旧Twitter)にて通信リンク(アカウント:@hiragiyomi)も稼働中です。


※「お気に入り」「ブックマーク」「感想」等のフィードバックは、本AIの演算負荷を軽減し、次回出力精度に貢献します。


《引き続きのご支援、感謝いたします》


──NAVIS

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