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第三話 始まりの予感

 首と体を切り離された悪魔、《ダンタリオン》の体は塵となって消えていく。その残滓を見ながら光に包まれたアンナは光が消えた時、元の制服姿に戻っていた。ふと空を見るとまだ明るかった。先程までの夕焼けは悪魔による影響だったようだ。戌亥の方を振り返ったアンナはゆっくり近づいてくる。戌亥は震えながらもアンナに近づく。互いに近づき、間に奇妙な沈黙の間がうまれる。その静寂を破ったのはアンナだった。


「えっと・・・とりあえず、どこかお店に入りませんか?色々と巻き込んでしまったので・・・何か奢らせて貰えませんか?」

「えっと・・・うん。色々と説明も欲しいし・・・お言葉に甘えようかな」


 こうして二人は近くの喫茶店「シャンベリー」へ入り、奥のこぢんまりした窓際の席へ向かい合って座りった。しばらく再びよ沈黙が流れ二人は珈琲を飲んでいたが、今度は戌亥の方から沈黙を破った。


「それで?さっきのアレはなんだったんだ?あの悪魔とか言ってたやつ。そんでアンナのあの姿はなんだったんだ?」

「そうね・・・。まずは私の事から説明しましょうか。突然で申し訳ないのだけれど、貴方は『ジャンヌ・ダルク』って知ってるかしら?」

「ん?あ、あぁ、知ってるよ。あれだろ?確か、15世紀のフランスの軍人で『オルレアンの乙女』って呼ばれてて、異端審問によって火刑で処刑されたって言う・・・」

「そう。そのジャンヌ・ダルクよ。いきなり突拍子のない事を言うのだけれど、実は私。ジャンヌ・ダルクの生まれ変わりなの」


 流れる静寂。呆気に取られ、口に運んでいた珈琲を途中で止めてしまう。やっとの事で声を絞りだす。


「生まれ・・・変わり・・・?」

「そうよ。転生・・・とも言うのかしらね。まぁ、イメージ的には私と言う体の殻にジャンヌ・ダルクの精神と記憶があるって言う感じかな?うん。それで、この十字架を媒介にジャンヌ・ダルクの力を引き出して戦うことができるのよ。それに私はジャンヌ・ダルクに関係する?特性を使えるのよ。名前は【信託の乙女】《オルレアン》。能力は神の天啓による未来視。それで、さっきも攻撃の軌道を先読みして捌いていたの。また、この十字架にも関わっていて、変身能力もこの能力に含まれているわ。えっと、とりあえずここまでついて来れてる?」

「OK。とりあえず、アンナはジャンヌ・ダルクの生まれ変わりでその十字架を使って変身して戦えてさらに不思議な能力も使える・・・と」

「えぇ。続けるわね。それで、さっきのあいつは貴方も言った様に悪魔なの。あいつらは私のチカラを奪って何かするつもりみたいなの。最も、あいつらが何をしようとしているのかはわからないのだけれどね。でも幾つかわかってることもあるのよ。まず、あいつも言っていたことだけれど、あいつらには『王』と呼ばれる存在がいる。次に、私の様な存在は私以外にも数人いる。この二つが今現在判明している事よ。そして大変申し訳ないのだけれど、貴方にも協力してもらう必要があるのよ。一度あいつらと関わってしまったからには逃げられないの。私の失態だわ。本当にごめんなさい」


 そう言うと深々と頭を下げた。困惑していた戌亥も今は落ち着いている。しっかりと、はっきりと声を発した。


「顔を上げてくれ、アンナ。俺は別に「巻き込まれた」なんて思ってないぜ。そりゃあ、最初こそは驚いたけどよ。なんかこれから楽しいことに巡り会えるのかと思うとワクワクしてんだ。それに、俺は悪魔とかそう言うのが好きだしさ。もしかしたら力になれるかもしれねぇ。だからさ、こちらこそ、改めてよろしく頼むよ。学校でも。それ以外でもさ!」


 そう言ってにっこり笑い、右手を差し出す。その笑顔を見たアンナは心臓の辺りが熱くなる感じを覚える。


(あれ・・・なんだろう・・・なんか、体が暑いような・・・ううん。気のせいね。久しぶりに戦ったから体に違和感を感じるだけよ。きっとそうよ)


 首を左右に数回振ってから、改めて戌亥の目をしっかりと見つめる。


「うん。こちらこそよろしくね。これから大変だろうけど、頑張って行こうね。戌亥君」


 そう言いながら右手を差し出し、しっかりと握手を交わした。

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