表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/40

8話 Gang Orca: She is a hero……

よろしくお願いします。

Twitter:@Arinkoln0719にあらすじ動画のリンクを投稿しています。

合わせてご覧ください

「ハァ、ハァ、もう無理。動けねぇ」

 Real-eyesは息を荒らげながらそう叫ぶ。オレもチルアウトもReal-eyesを救いあぐねていた。


 もう、どうしょうもねえのか? 彼は汗だくで肩を上下している。リンゴが電磁砲でチーフを撃ったReal-eyesがズタズタにされるのを座して見てるのなんてやだぜ。クソみたいな人生でも仲間は裏切らねえって決めてたんだけどな。


「ねえ、あんたたち。助けが必要?」

 と、声。黒髪の女。野生的で知的な顔。ぴっちりとした黒にライダースーツ。革製のグローブとブーツ。彼女は咥えていたパイプから泡を吐き出すとワーウルフの視界を遮った。


「だ、誰だ? オマエ」

オレは咄嗟にそう問いかける。女は不敵に微笑みながらこう言った。

「あら、人に名乗らせる前に自分から名乗ったらどうなの? 坊や」

「わ、悪ぃな。オレはリンゴって言うんだ。あんたは?」

オレがそう答えると女は少し驚いたような表情を見せたが、すぐに笑みを浮かべた。


「ふーん、リンゴくんっていうのね。あたしはTAKE-THR3E(テイクスリー); Morn’(モーン)よ。この街の外で良く()()()()()をしているの」

「つまり、あんたもエデンの住人ってことか?」

 危ない遊びをしてるっていうのは、この世界ではエデンの住人という意味を持っている。いつからかそんなスラングができてしまったらしい。都市外活動をしてると言うことはTAKE-THR3Eはジャンクハンターのようだ。

 エグザイラーにも集団ごとに決まった言い回しがあるらしいが、オレには理解できない。


「ええ、そう。よろしくね」

「まぁ、よろしく……あんたの名前なんて呼びゃいいんだ」

「テイクスリーでもモーンでもいいわ」

 なんだか調子が狂う女だ。とにかく今は猫の手も借りたいくらいだから丁度いい。

「助けて欲しい」

オレはそう頼んでみるが、TAKE-THR3Eはニヒルに笑うだけだった。


「あたしはね、一方的な関係って嫌いなの。だから助けて欲しいなら取引をしましょう」

 そう言ってTAKE-THR3Eはオレにタバコを差し出した。オレはそれを受け取ると、タバコを咥えたがすぐにむせてしまった。

「どんな?」

 TAKE-THR3Eは笑みを浮かべながら答える。


「あたしをあんたたちの仲間になさい。その条件が飲めるんだったら、助けてあげる」

「わかった。その条件飲むぜ」

 オレがそう言うとTAKE-THR3Eの口紅を塗られた口角がニヤッと上がった。

「いい子ね」

 TAKE-THR3Eはバラストを踏みしめるとReal-eyesを抱えて大きくジャンプした。


「ブリーチングって言う能力よ。良かったら覚えなさい」

 そう言うと彼女はトラムの上に降り立つ。

「めっちゃ助かったぜ。あんた身体能力すげえのな」

「ありがとう、リンゴくん」

 TAKE-THR3Eはそう言うと、オレたちに微笑みかけた。

「早速だけどあたしの戦い方を教えるわ。さっきの泡がホイッピング。ジャンプがブリーチング。それからエコロケーションは超音波を出す力よ」

 TAKE-THR3Eはパイプを加え直すと泡をたくさん放出した。更にエコロケーションで振動を加えることで相手の動きを封じていく。

「どうかしら、私の能力は結構便利なのよ。こうやって体の内部にダメージを与えることもできるの」

 すると、チーフはその場で蹲って動かなくなった。


「なるほどな。すげえ能力だな」

「私は誇り高きオルカのミュータントなの。この力で今まで仲間を守ってきたわ」

「モーンさん。オルカって確かシャチのことですよね」

 チェリーがそう問いかける。


「そうよ。シャチの遺伝子を受け継いでいるのよ」

「まぁ、オルカのミュータントは最強だよね。IQ高いし能力も多彩だし」

 チルアウトがそう言うとTAKE-THR3Eはフッと笑った。

「あら、ありがと」

「とりあえず、これであのクソオオカミどもは動けねえだろ。そろそろ夜も明けるし、大丈夫じゃねえか?」

 オレがそう言うと、TAKE-THR3Eはこう答えた。


「いえ、まだよ。あのワーウルフは死んでいないわ。彼が人間に戻っても油断は禁物よ」

「なんでだ?」

「あなたは、仲間を殺されて残念だったわねって引き下がれるの?」

「そりゃあ、許せるわけねえし……」

「まぁ、彼らも同じってことだよね。TAKE-THR3Eさん」

 チルアウトがそう言うとTAKE-THR3Eは頷いた。


「ねえ、見て! 花火が上がってる」

 チェリーがそう叫ぶんだ。オレとチルアウトは夜空を見上げる。そこには赤や青、オレンジなどの美しい花火が打ち上げられていた。

「この花火、トラフィックフライの愛のメッセージなんだよね。ロマンチック」

 チェリーは頬をピンクに染めながらうっとりと眺めていた。


「てかさぁ、こう言うの見てるとめっちゃ滑りたくなるじゃん」

「命の危機の後にそれかよ」

 オレがReal-eyesに突っ込むと、TAKE-THR3Eがニヤッと笑った。

「あら、花火にインスピレーションを感じて滑ろうってこと? いいアイデアね」

「おっ、モーン姐さんわかってんじゃん」

「じゃあ、私をエスコートなさい男の子」

 そう言うとTAKE-THR3EがReal-eyesのホバーボードに飛び乗るとトレインベースの空を走り始めた。


もしよろしければ、


・ブックマークに追加

・広告下にある「☆☆☆☆☆」から評価


三つ数えろ

[verse]

オイルライターが赤く燃える頃

Sha-ba-da-ba あたしは一人きり

オルカのとぶ背徳の街

誰もが欲に駆られる退廃の街


メッキに彩られて廻るroulette

ねえ、どこに行ってしまったの?

誰にも知られず傾けたバーボン

心の奥にヤイバを隠して


[chorus]

見えない夜を過ごして

失せ物に囚われて

こびりついた復讐の妄執

黒いライダースーツ


歩き始めた夜の路地裏

パイプの煙くゆらせて

心のサイレンが静かに唸る

黒い髪をなびかせて


[chorus2]

Bが止まらない

ボルツバーの喧騒

流れ始めたジャズ

あたしはまた

誰かを試してる


[verse]

日が沈み情報が錯綜する頃

La-ba-du-wa裏ぶれた裏通り

オルカのように泳ぐ情報

誰もが葛藤に囚われる監獄の街


熱気に隠された誘惑

君はいつもまっすぐね?

心の揺らぎに快楽を得る

心の奥のヤイバを欠いて


[chorus]

消えない傷に目を瞑る

失せ物に命を賭けて

こびりついた後悔の妄執

黒いライダースーツ


走り出した夜の路地裏

パイプの煙を吐き出して

心のサイレンが薄れかけた

黒い髪をなびかせて


[chorus2]

Rが鳴り止まない

ボルツバーの喧騒

擦り切れた心

あたしはまた

誰かを試してる

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ