14話 FIRST RIOT:WE R all MAD
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次の瞬間、オレはB地区の東側のエリアに立っていた。周りには誰もいない。
バトルフィールドにはランダムに転送されたようだ。
これでゲームは始まったのだ。オレは注意深く周囲を見回した。
辺りにはボロボロになった低層のアパートメント群。
「それにしてもここは随分とボロボロだな」
建物は経年劣化が激しく今にも崩れそうだ。地面にはあちこち亀裂が入っている。
人の気配は全く無い。まさに死んだ街、ゴーストタウンだ。
「この辺りは人が住んでねえ地域だもんな」
「Battle Start! 5、4、3、2、1、GONG!」
どうやらバトルが開始されたらしい。
オレは周囲を警戒しつつ中心部に向かう。東の方から赤い半透明の壁が迫ってくるのを確認した。
「これがゲームエリアの壁か。思ったより早く動くな」
『みんな今どこにいるの?』
チェリーから通信が入った。
『僕は西側だね。まぁぼちぼち中心に向かうよ』
『あたしは北よ。今NPCと接敵してるわ。NPCは場外にならないから気をつけて』
『了解』
Real-eyesは南、チェリーは中心部。みんなバラバラのエリアにいるようだ。
「リンゴくんみーっけた!」
肩を叩かれて振り向く。そこには紫の髪の少年がいた。誰だ?
「リンゴ、オレはお前を倒す!」
12歳くらいの少年。レザージャケット、首には猫を形どったチェーンのネックレス。
少年は人懐っこい笑みを浮かべる。
「オレはお前だ。わりぃけど退場してくれ」
「残念だが、そう簡単にはやられねえよ」
「そうかよ。じゃあ、早速行くぜ!」
次の瞬間、少年は電気を放電しながらこちらに向かって駆けてきた。
「って、急に来るのかよ」
オレは慌てて横に避けると彼は勢い余って前のめりになる。その隙を狙って彼の背後に回り込んだ。
「うお!」
オレはそのまま背後から少年に電気ショックを浴びせた。
「リンゴ、お前なら知ってんだろ。オレはお前だからな。つーまーり、お前の攻撃はオレには効かないんだよ!」
少年は生意気そうな表情をしながら電流を体外に逃がしてみせた。
「なあ、ならオレとお前は単純な殴り合いをするってことで良いのか?」「へっ?」
「だってそうだろ? お互いに電撃が効かねえんじゃ殴り合うしかねぇだろ?」
「あ……」
少年は口をぽかんと開けていたがすぐに慌ててその場を逃げ出した。
「おい、クソガキどこに行く!」
「だってお兄さん相手に殴り合いなんてムリだし、オレは逃げる!!」
「この野郎、絶対に逃がさねえぞ!!」
オレは少年を追いかけて路地裏の角を曲がる。しかし、そこに少年の姿はなかった。
「はぁ、はぁっ。ガキはやっぱすばしっこいな。でもおかげでゲームエリアの壁からは逃げ切れたぜ……」
オレは肩を上下させて呼吸を整えるとゆっくりと辺りを見渡す。
——ピュン!
銃弾がオレの方に飛んで来た。その軌道から飛んできた方向を予測し、同じ建物内へと逃げ込む。
「くそ、一体誰なんだ。RAPID-BOYか?」
オレは先ほどの攻撃を警戒しながら屋内を進む。すると1人、中からこちらに向かってくる気配を感じた。
オレは気配を殺すとゆっくり影から扉に近づき開ける。そこには見覚えのある紫のネコのヘルメットを被った少年がいた。
オレはこっそり後ろにまわって羽交締めにする。
「っ、は、離せ」
「お前は、さっきアリスと一緒にいたガキだな。ガキばっかのチームかよ」
「僕はガキじゃないよ!」
少年はじたばたと抵抗する。
「ぼ、僕だってもう12歳だ! 子ども扱いしないで!」
「なあ、オレが言いたいのはそういうことじゃねえ。オレと同じような格好をしたヤツはどこだ?」
「さあね。僕は知らないよ」
「言わないと電気ショックを喰らわすぞ」
「やってみろ!」
オレは電流を流そうとした瞬間、腕の中の少年が電気ショックを流してきた。というかなんでこいつが電気を使えるんだ?
「この野郎! オレから手を離せ!」
目の前にいたはずのネコメット少年がすり替わっていた。さっきの電気少年になっている。
「お前、さっきのガキはどうした?」
「ガキ?……誰のことだよ。いいからオレを離せ!」
「お前じゃない、もう一人のガキだよ!」
「オレはオレ一人だ。オレがこぴー★きゃっとだよ」
「は?」
オレは意味が分からなくて一瞬手を緩めてしまった。すると、彼は再び電気を発して逃げてようとする。
それをオレは引き寄せるとそこには1人の少女がいた。気が弱そうで眉毛が下がっている。
——むにゅり。
柔らかい感覚がオレの掌を襲う。何だこれは?
「そそそ、その……やめてください」
紫のネコ耳フードを目深く被った少女は顔を真っ赤にして口をぱくぱくさせている。目には恥ずかしくて涙が溜まっているみたいだった。
「あああ、あの。変なとこ触んないでくだ……ください」
少女に言われて自分の右手を見ると、その手は少女の胸を掴んでた。
「ああ、わりぃ……」
オレは驚いて手を緩めてしまった。
すると少女はするりと抜け出して駆け出していた。
「リンゴは変態なんだな! オレの胸を揉みしだきやがって」
ったくどういうことだ? 次々にガキが入れ替わりやがる。
「言っただろ?オレはお前だって。オレは……」
「僕は触ったことのある相手ならコスプレレベルに変身できるんだ」
コロコロと姿が変わる。
「あ、いけない。レッドエヴォルヴの効果が切れちゃうよ」
コピーキャットは背負っていたメッセンジャーバッグからレッドエヴォルヴを取り出して缶のタップに手をかけた。
「お前のゲームは終わりだぜ!」
オレは容赦しない。コケにされたと思ってはいないが凄くムカつくんだよな。相手の能力だって分かってるのにおちょくられている気がして来るのだ。オレは手に電撃を纏って構える。
その瞬間姿を現したのはReal-eyesだった。
「なぁ、リンゴ。お前その電撃どうするつもりじゃん? まさか、その子に使うんじゃ……」
「決まってんだろ?敵をぶっ倒す」
オレはそう言って少女に近づこうとするがReal-eyesはレッドエヴォルヴを持っている少女を庇うような立ち回りをした。
「何考えてるんだよ、こんな小さな女の子に。怖がってんじゃん」
「あ、バカ! 触れんな!!」
「あ……!?」
その瞬間、少女は猫耳のパーカーを着たサイボーグの少年に変化した。
「やったー! ラッキー。オイラどんどん強くなるじゃん。オイラの名前はこぴー★きゃっと。ホバボと一体化したサイボーグ、Real-eyesのコピーじゃん」
そう言ってホバボで飛び立つとビルの外に飛び立っていった。
「おい、バカバカバカバカ〜。小さい子でもこのゲームエリアにいるなら敵だろって!」
「ゴメンじゃん、マジで」
Real-eyesは頭を掻いて苦笑いしてる。
「あいつの能力めっちゃ強いぜ。変幻自在過ぎて何してくるか読めねえ」
「でも多分オイラたちの勝ちじゃん」
そう言うとホバボ少年は空の上で暴走していた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
ホバボ少年が喚きながら向かいのビルに突っ込んで行った。
「オイラたちが勝ちじゃん!」
Real-eyesは大笑いする。
「何が起きたんだ?あいつオレの能力はそこそこ使いこなしてたんだぜ?」
Real-eyesはニヤリと笑った。
「オイラのはホバボと一体化してるだけだから後はあいつ自身の運動神経じゃん。オイラの記憶があっても体幹や身体能力が違うから」
リンゴが空を見上げると、ホバボ少年がビルから飛び出してきたのを見た。
「やっべえええええ! オイラ、コントロールできねえ!ホバボが暴走してる! 助けてくれ!」
その時、ホバボ少年が真上に飛び上がった。
「おわわわわわわ!」
彼は高速で回転しながら空中に浮かんでいる。
「どうしようどうしようどうしよう! 助けてくれ! お願いだ! オイラを止めてくれ!」
彼は必死に訴える。
リンゴとReal-eyesは互いに顔を見合わせた。
「どうする?」
「どうするって……」
そして二人は同時に言った。
「「放っておこうぜ!」」
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