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5話

「凄すぎて何がなんだか分からない」

 彼はドローンを操作させながら、呆然としていた

 今見ている景色は、彼にとって完全に常識外のものである

 鬱蒼とした森が広がっていると思えば、その先に広がっていたのは

 広大な草原、さらにその奥に広がるのは岩肌が見える山々だ

 全ての地形を把握は出来ていないが、それでも非常に広大である事は分かる

「これを担当しろって・・・どう担当したらいいだろうか・・・」

 彼は溜息混じりに呟くとドローンを操作して、一旦帰投させることにした

 眉間に皺を寄せつつどうするべきか思考していると、通信機から

 音声が入り彼はビクッと背筋を正した



 どうやら、通信が入ったようで慌てた様子で通信機を取り

 出し急いで応答する

『――手野薬品工業株式会社の沢村です。江崎さんはいらっしゃいますか?』

 それは女性の声だった

「あ、はい、江崎です。お世話になっております」

 彼は緊張した様子で相手に応対した

 通信先にいるのは、恐らく営業部の女性だと思われるが、元の『世界線』でも

 関りもなく会ったことはない

 恐らくこの『世界線』での本人が関わっていたのだろうと、彼は思った

(・・・こんな綺麗な声の女性がいるのか)

 そんな失礼な事を考えていたりするが、相手がそんな事を

 知るわけもない

『XCP245『異世界水』は、そちらに到着していますか?』

 通信先の彼女はそう質問してきた


(あれか?)

 そう思いつつ除草剤の原液が入っている様な瓶を取り出し、

 眺める様に見る

 すると、やはりラベルには英語ではなく日本語で書かれた

『異世界水』という文字があった

「あ、はい、手元にはあります」

 そう答えた

『XCP245『異世界水』は以前にもご説明しましたが、製造停止の

 製品になっております

 また現在の『異世界水』の様な『異世界』からの冒険者を呼び

 寄せる性質ではなく、『廃棄異世界』からの開拓移民を

 呼び寄せる性質ですので散布される場合はダンジョン内部で

 お願いします』

 彼女は淡々と説明をしている

 彼は、その説明を聞きながら思わず面食らった表情になる


 その説明を聞きながらラベルに書かれている文字を見る

 この水は散布しても身体に影響はないと書かれてはいるが、

『廃棄異世界』からの開拓移民うんぬんかんぬんは

 書かれてはいない

『手野薬品工業株式会社が保管していたXCP245『異世界水』は、

 契約通りそちらの『ダンジョン』へと搬入させていただきました

 もし、緊急事態が発生した際は速やかに手野薬品工業株式会社へ

 ご連絡をお願いいたします』

 通信先の彼女が言うが、その声色は優しげなものだ

 それは彼を心配しているかのように思えた

(俺一人でどうしろと?)

 だが、彼はそんな事に気づく事は無く、思わず頭を

 抱えたくなっていた

「ご連絡ありがとうございます。緊急事態が発生したら

 すぐにご連絡させていただきます」

 彼は、通話先の彼女に言った

 その後、通信が切れた後、再び頭を抱えたくなった

(・・・どうするよ)

 説明を受けたが、額面通り受け取れば『廃棄異世界』という所から

 開拓移民を呼び寄せるらしい

 また、ラベルに書かれている注意書きには散布すると一定期間ダンジョン

 内部にいるモンスターを引き寄せる性質があると書かれていた

 彼は、この『世界線』の自分は想像している以上に大変な事をしていたようだ

(・・・でも、やるしかないか)

 彼は溜息を吐く

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