ツイてる!
「あ、ラッキー!」
学校の帰り道。販売機でジュースを買い、取り出し口からジュースを取ろうとしたとき、俺の足元に500円玉が落ちていた。俺は取り出し口からジュースを取りつつ、その足元に落ちていた500円を拾った。
「500円とか、ケッコー大金じゃん♪今日の俺─」
「おお~すごくツイてるね~」
「ツイてる!」と言おうとしたら、通りすがりのおじいちゃんに言われた。
「でしょ、俺ツイてるよね~」
「ああ、たくさんツイてるね~」
「たくさん?そうだね、500円ってなかなか落ちてないもんね…あ、もしかしてこの500円、おじいさんの?」
「500円?いいや、ワシのじゃないよ」
「あ、そうなんだ。じゃあ俺もーらお!」
俺はそう言って、ジュースと500円を握りしめて走って家に向かった。
その後ほど無くして、少年は交通事故に遭った。少年が車に轢かれた後、少年に取り憑いていた複数の幽霊が少年の魂を抱えて、何処かに消えていった。
「…あんなにたくさんの幽霊を取り憑かせていたが、一体どこから連れてきたのかの~?それに何故か、幽霊たちはあの少年に怒りを向けていた。あの少年は罰当たりなことでもしたのかの~?でないと、あそこまで激昂しないじゃろうし。何にせよ…南無阿弥陀仏…」
そう言いながら、ワシは道に横たわる少年の亡骸に手を合わせた。