「アスレチック」
「わ~い」「きょうくんおに~」「まってぇ~」「つかまっちゃうつかまっちゃう」「こっちにきてみろよ~」「あれ、いまだれおにぃ~?」
春が広がる公園で六人の母親はベンチに座って温かく自分の子供を見守っていた。
「もう、かえるよ~」
「は~い」
潔く母に返事をすると、京はアスレチックの上で変なものを見つけた。それは〇、五ミリくらいの絵に描いたようなケーキみたいな形をした三角のチーズ。
「なんだろ、これ?」
「きょ~う、帰るわよ~」
「は~い」
京はチーズを置き、アスレチックから去っていった。
「おい、王様にお出しする最高級のチーズはどこだ!」
片眼鏡をかけた老ネズミが額に皺をつけ怒る。
「はい、実は昨日置いといてあったところと数キロ離れた村にぽつんと置いてあったようで兵士を向かわせています。」
兵士のような格好をしたネズミが言った。
「至急、その兵士達に十二時の王の儀式に間に合うよう十一時にはうんていの前についとけと伝えておけ!」
「ハハッ!」
兵士ネズミは去る。
一人になった後、老ネズミは一人呟いた。
「...私はこの国が大好きだ。」
老ネズミは呟くと、腕をラジオ体操みたいに伸ばしせっせと動き、
「さて、王様のマントを着衣するため滑り台の前まで行かなければ」
そう老ネズミは言うと、そこを去った。